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植物への想い

先週から日経紙文化面には「植物幻想十選」として仏文学者の巖谷氏の連載があるが、週明けは酒井抱一の「白蓮図」が取り上げられ、昨日はエミール・ガレの「キノコ文火器」が取り上げられるなど、いずれも私が個人的に好きな作者が立て続けに登場し久しぶりにこの欄が目に留まった。

このうちエミール・ガレは、昨日まで「芸術と自然のふれあい ガレ・ドーム展」として日本橋三越で催し物があった。ほぼ定期的にある催し物ながら毎回あまり作品がかぶっていなく、なんといっても名品が間近に見ることが出来るのが素晴らしいところ。

美術名鑑に載るような作品も稀に出てくるが、今回の展で目に留まったのはドームの「トンボとアイリス文花瓶」か。形状が「トリステスの花器」に酷似していることで最初はガレかと思ったくらいだが、淡いパープルのグラデーションがなんとも美しく時を経た金彩の絶妙具合も然りで今年もまた良いものを見せて頂いた。


隠蔽で拡大

さて、本日の日経紙社会面には「14厚生基金で106億円損失」として、投資運用会社プラザアセットマネジメントなるところが運用していた2つのファンドの資産価値がゼロになった結果、少なくとも14の厚生年金基金で多額の損失が発生、2008年以降資金繰りの悪化を説明せずに新たな勧誘を続けていたという件が載っていた。

既にココは昨年に金融庁から業務改善命令が出て多額損失が喧伝されていたが、上記の資産価値がなくなってしまった2つのファンドは米国の生保を売買対象とする投資商品で、これは当欄では2年前に一度「〜契約も解約より換金率が高いことから契約者との成約もし易く、その契約者の生死で運用利回りが決まるので外的なファンダメンタルズとの相関性がほとんど無いというのがウリ〜」と取り上げた事があったのを思い出す。

年金に絡んだこの手の事件では一昨年のAIJ投資顧問の年金消失発覚が記憶に新しいがココは同社の投資先の一つ。資金繰り悪化を隠蔽して新たな勧誘継続というのは以前の安愚楽牧場事件もあったが、年金モノの場合はトップの裁量というのもあり信託の問題性とも絡めてまた議論が再燃しそうだ。


何所が違う?

さて、先週15日付けの日経紙夕刊社会面には「早大OBらを強制捜査」として、証券取引等監視委員会がネット株取引において所謂「見せ玉」を使い、不正に株価を吊り上げていた疑いがあるとして早大の投資サークルOBらの関係先を強制調査していた旨が載っていた。

これを見た時は数年前の早大OB事件が何故今更?とも思ったが、2009年のその件ではなく今回はまた別件であった。同じ投資サークルの同胞が挙げられたにも関わらず同様の手口でまた挙げられるというのも全く学習していない気もするが、近年ではアルゴを逆手に取るようなテクを駆使する輩も出てきて個人レベルも日進月歩である。

しかし、この行為自体を擁護するつもりはないものの摘発の境界線とはどの辺に敷かれているのだろうか?市場には外国籍含め魑魅魍魎のヘッジファンドがウヨウヨしているが、所謂「狩り」行為も横行しており個人でやっているこれらと何所に違いがあるのだろうか?というアルゴなど頻繁にある。

むしろ上記のような狡猾アルゴを逆手に取った方が摘発されるなどこの辺が逆に不信感を募らせている部分もある。2009年の事件の時に当欄では末尾で「活躍のフィールドが変わればまた貴重な力となるのは否定できないところ」と書いたことがあるが、この背景はこんなところからも来ている。


ガラ法?

今週気になったニュースとして政府の規制改革会議が客にダンスと飲食をさせる営業とダンス教室について、風営法が定める風俗営業から外すべきだとの提言を纏めたという件があった。

当欄ではこの辺に関して昨年初めに今の風営法を、「額面通りに受け取れば学習指導要領も再考しなければならない」と書いた事があったが、この規制改革会議では「健全なダンス文化や関連産業の発展の支障になっている」という理由から風営法所管の警察庁に同法改正案の査定を促すという事で、ヤレヤレ果たしてといった感じがする。

更に風営法に関しては8年くらい前に第2号というよりは手軽に第5号に流れている旨を書いた事もあったが、つい最近も3号営業絡みで起訴された経営者に対し大阪地裁が無罪判決を言い渡した件もあった。

同紙にも書いてあるがもともとこの風営法、戦後に客と踊り子との売買春の温床になるとして規制されてきたものだが、先進国においてこんな埃をかぶった法を現代社会まで継続させてきた方が驚く。風営法では無いがこれと似た件には小中学校等で行われてきた「座高測定」と「寄生虫卵検査」も近々廃止される事になったという報もあった。

携帯でさえガラケーなどと揶揄されるが、さしずめ上記のアレコレはガラ法とでも呼ぶのだろうか?この煽りで数々の文化を生み出したクラブが消えていったがある面では被害者だった側面もあろう。


リスクオンもまた

本日の日経紙マネー&インベストメントでは「商品市況でリスク先読み」として海外情勢に敏感な商品市場の動きに目を光らせれば、商品投資だけではなく株式や外国通貨への投資でもリスク回避などに役立つ情報が多い旨が載っていた。

この辺に絡んでは今月1日に「本当にそうなの?」として、ウクライナ情勢に絡んだロシアの経済混乱でパラジウム等の供給が細る事で末端までいろいろ影響が出ている旨を書いたが、本日は商品面にも「ニッケル5割高」としてこのロシアの供給不安等でLMEの地金価格が2年3か月ぶりの高値を付けている旨も載っていた。

これらの材料を基に上記のようにリスクオフもいいが、非鉄の低迷相場が一変したような時こそ関連株を拾わない手はない。代表格の大平洋金属なんぞは2月の安値から実に6割近くも上昇し週明けは年初来高値を更新、ほか別子も3月安値から4割近くも上昇し年明けからの低迷相場の中で異彩を放っている。

アベノミクス相場で総かさ上げの時は市況敏感株も今一つ連動性に欠けたものであったが、年明けから往って来いの全般低迷相場期には水を得た魚の如く動く習性もまた健在である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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