今度は食品?

さて、週末に入ってきた報にチョコレートの「ゴディバ」が、日本企業との国内販売契約を2015年3月で終了するという件があった。これまで販売元の食品関連商社に委ねていたものを、日本法人に切替えて全店直営にして売り場の統一を図るという。

しかし、近年は長年日本企業と蜜月の関係を築いてきた欧州ブランドのライセンス打ち切りがけっこう目立ってきた感がある。今回はチョコレートであったが、直近では先月に「バーバリー」が三陽商会と結んでいたライセンス契約を来年6月で終了すると正式発表、業界では前々から噂になっていたものの当の株価の方はサプライズな反応で暴落したのが記憶に新しい。

更に遡れば「マーク・ジェイコブス」とルック、「ラルフ・ローレン」とオンワード、「アディダス」とデサント、「クリスチャン・ディオール」とカネボウ、その他諸々といった具合にいろいろ挙げられるが、当然ながらライセンスブランドへの依存度が高かった企業ほど大きな打撃であった。

もっとも、金と時間が限られるなかで著名ブランドを企画販売出来る旨みは選択肢として1から育成してゆくより魅力的に映るのもまた事実。一方ブランド本体の旨みは「損失限定・利益無限大?」となにやらオプション取引のようだがそういった色が強い。何れにせよネットの影響もあってローカライズそのものを見直す気運というところなのだろうが、今後もこの辺含めいろいろ話題を提供してくれそうだ。


株主総会模様

さて、近年では株主総会の分散化が随分と進んではいるものの明日あたりが株主総会のピークで、株主総会決議通知など順次発送されているというところだろうか。ところで、いま世界中を釘づけにしているワールドカップではレッドカードが切られるシーンも目にするが、今年の株主総会も各社でけっこう退場者が出ている旨が見出しで何気に目立つ。

本日の日経紙で機内インターネットサービスの全面広告を出していたJALが日本武道館で行った株主総会では2名が強制退場、またこのJALと同日株主総会を開催したドコモの総会では質問打ち切りに不満をぶつけた株主が退場させられ、ソニーの株主総会でもヤジる株主に退場勧告が出た模様である。

斯様に退場者といっても今や普通の?一般株主である。一昔前のように社員株主で最前列をがちがちに固めたり、総会専用に選任されたような脇役員がデキレースで纏めるシャンシャン総会のようなイメージでなく他一般株主に同意を求めるようなマイルドな光景から時代の流れを感じる。

個人株主といえばお土産を楽しみに出向いている向きも多く、今年はこの土産廃止した企業の総会出席者数が3割から7割も減った企業もあったというからなんとも顕著だ。またアクティビスト復活とも言われているがこれまで意外?にもそういたファンド勢は静観の構え、ただ先日書いたようにスチュワードシップ・コード導入もあり今後その辺がどう意識されてくるかこの辺が注目である。


成長期待を買う

本日の株式市場はこのところの過熱感を警戒し反落となったが、そんななかで昨日マザーズ市場に鳴り物入りで上場したネット広告配信枠取引プラットフォーム等を提供するフリークアウトが、上場2日目となる本日に2,000円の公開価格から実に3.5倍となる7,000円で漸く初値が付いた。

その過熱ぶりに現金即日徴収や自己、成り行き注文等の規制措置が打ち出されるまでになっていたが、サイバーダイン同様に依然として成長期待の高いビジネスモデルに対する関心が高い物の人気は旺盛なようだ。

このIPOに絡んではちょうど本日の日経紙に「新規上場7年ぶり高水準」として、今年はこれまで26社と前年同期から3割増えるなどその復調ぶりが鮮明になってきている旨も書いてあったが、後半戦に再上場となるすかいらーくやリクルートHD、そして最大の話題株であるLINE等を控え個人マネーの動向がますます注目される。


インセンティブ多様化

週明けの日経紙には「新型の株式報酬」として、自社の株価が一定水準を満たす場合のみ新株予約権を全て行使できるようにした三井物産や、株式をあらかじめ決められた株数でなく事前に設定した金額に換算し交付する仕組みを採用したADワークスなどの例が出ていた。

この手の報酬といえば今年の1〜5月にストックオプションの付与を決めた企業は前年同期比で24%増の178社となり、1〜5月としてはリーマン・ショック前の2008年以来、6年ぶりの高水準になったとも週末の同紙には書いてあったが、ここ数年で随分と身近になってきた感が強い。

そんな一例で従前は役員向けのイメージが強かったが、近年では役員はもとより正社員でないバイトまでもストックオプションの権利を配る範囲を広げている例もあり、この辺もまた企業のカラーが出ていて面白いというものだ。

ストックオプションの報酬を巡っては今年の初めにこれを使って得た2年分の所得を隠し、所得税法違反の罪に問われたクレディスイス証券の元部長に対し東京高裁で無罪判決が出たのが記憶に新しいが、役員報酬としての株式譲渡の場合交付金額を事前に確定させておくと企業側が税務当局から費用として認めてもらえる利点もあるとの一文もあったが今後ますます多様化が進みそうだ。


注目される帰趨

過日たまたまユニクロの大店の前を通ったのだが、相変わらずの賑わいを見せていた。そういえばココはといえば昨日の日経紙・日曜に考えるに、「99価格」求めたユニクロと題しカジュアル衣料の同店が値上げした旨を取り上げた記事も載っていたなと。

周知の通り同社は先に今年の秋冬物から順次5%の値上げを実施してゆくというが、同じような「デフレ勝ち組」に君臨した日本マクドナルドHDなどもアベノミクス以降ここ近年は売上増を図りながらも浸透が難しく右往左往しているところも少なくなく、株価など先行きを読んで各々がおもいおもいの動きをしている。

このユニクロことファーストリテイリング株はこの値上げ発表直後には下落したものの、先週末までに往って来いの戻りとなっている。高寄与度の裁定銘柄だけにファンダメンタルズが如何ほど作用しているか疑問符も付くが、上記のマックなど売上減継続の依然厳しい環境下のなかジワジワ上げ続け、このユニクロが値上げ発表した10日には年初来高値更新となっている。

長引くデフレ下で他を寄せ付けぬ圧倒的な低価格構造を構築し勝ち組として勝負してきたこれら所謂デフレビジネスであったが、従前のそういった形態から今度は値上げの浸透と同時に売り上げもキープし続けてゆくというインフレ型の構築へ転換を図れるかどうか、ユニクロだけでなく上記のマック含めたかつてのデフレ象徴の手腕が問われる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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