嗜好の賞味期限
さて、先週に気なった決算の一つに日本マクドナルドHDがあったが、2014年12月期決算は11年ぶりの最終赤字に転落となり、営業赤字は実に上場以来初の出来事となっていた。最近では昨年の期限切れ鶏肉問題やそれが冷めやらぬうちに今度は異物混入問題が追い打ちをかけまさに泣きっ面に蜂状態であった事からこの辺も致し方ないところか。
ところが本家の米も近年は顧客である若年層達の健康志向の強まりを背景として、個々の注文に応じる競合店等にシェアを奪われる苦戦が続いている模様。先月末にはCEOの引責辞任発表と併せての社長交代で、この客離れが進む米国再建の報道もなされている。
この健康志向といえば先週の日経紙夕刊でも「健康志向の打算」と題して、米コカ・コーラ社が取り上げてあったが、マックCEO引責辞任の2日後にはこの競合店の新興勢の一つであるシェイク・シャックがニューヨーク証券取引所に上場、公開価格の2倍以上の値を付ける人気を集めたが、この背景には具材のこだわりを強調しフライポテト一つ取ってもトランス脂肪酸不使用などを明記し上記の健康志向にもマッチしているという点がある。
以前に当欄ではアパレルも世界同一基準を謳いつつも現地の嗜好性を取り入れたラインナップを展開するのが普通になってきたと書いたことがあるが、昨今のファストフード業界もまた然りか。全世界に同一商品を投入するというマック創業以来のビジネスモデルが、消費嗜好変化に対応出来なくなったというのはある意味時代の自然な流れなのだろう。