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原油彼是

さて、今週は原油が米国指標のWTIもアジア指標のドバイも揃って一カ月ぶりの高値にまで戻してきたが、この原油に関しては先週末の日経紙商品面にも「原油市場、膨らむ売買」と題して、価格が急落する中、ファンド等の投資家が大幅な価格変動を収益確保の好機ととらえその国際市場の取引規模が2014年11月末に比べて約2割増えている旨が載っていた。

上記のようにヘッジファンドなどの大口投資家が売買を膨らませているものの、個人投資家も物色が旺盛になってきており、日本でも東商取では先物が1ヶ月ぶりの高値を付けその売買高に至っては約10年3ヶ月ぶりの2万枚台まで回復してきている。

また原油に連動する主力の金融商品系ではETFやETNがあるが、今週の全市場値上がりランキングを見ていてもやはりNEXT日経・TOCOM原油ダブル・ブルETN、WTI原油価格連動型上場投信、NEXT・NOMURA原油インデックス上場など普段は目にしないような銘柄が顔を出していた。

こちらもTOCOM同様に商いが急増しており上記の野村原油インデックスは昨年秋口には出来高数千株の日も少なくなかったものが年明けは300万株を超える日も出て、同じ野村でもETNの方は同100株台の日も少なくなかったものが、年明けは40万株を超える日も出て、同ETNのベアに至っては5株にも満たなかったものが年明けの年初来高値を取った日には10,000株を超える商いを作っている。

先月末の日経紙には「値動き2倍ETF活況」と出ていたが、株式のみならずこの手のコモディティーものも斯様にレバレッジ系に人気が集まる構図か。原資産の乱高下が収まった後もある程度リクイディティが確保できていれば玉も解れるのだろうが、一気に萎む構図が続くうちはこの辺がやはり課題になってくるか。


政治格付け

本日の日経紙国際面には「米S&P、1,760億円で和解」と題して、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズが2008年の金融危機の一因になった住宅ローン担保証券の格付けを巡る訴訟で、総額15億ドルを米司法省はじめとし19州政府や米最大の公的年金のカルパース等に支払うことで昨日和解した件が載っていた。

さて米の格付け機関といえば双璧のムーディーズがあるが、このムーディーズも2008年の金融危機発生前に自社業績を優先させ証券化商品により本来より高い格付けを付与した疑いがあるとして、米司法省が調査している旨を今月はじめのウォール・ストリート・ジャーナル紙が伝えている。

こうなってくると自国の最高格付にはじまり、本邦国債も既に中国や韓国を下回る水準に置かれるなど随分と不遇な扱いを受けているのも改めて何だかなという思いもあるが、今回の訴訟では同社の行為に違法性を認めることなく和解に至っている。この辺に意図的な政治背景を感じられなくもないが、そう考えるとモノは全く違えど何故か証券会社のレーティングからはてはミシュランまでがふと頭に浮かんでくるものだ。


鉄火場祭り

本日の日経平均は米株式の急反発にもかかわらず債券先物急落を嫌気して大幅続落、そんな地合いの中で全市場総合で値上がり率・出来高共に第一位となったのは昨日挙げたスカイマーク株で、昨日同様に1億株以上の出来高を集め50%以上の値上がりとなっていた。

とはいえこの株、パンクして整理銘柄に指定され昨日東証が値幅制限ルールを撤廃した為に一気に30円台にまで暴落して寄り付いており、まさに値幅というより率で勝負の所謂祭り銘柄。本日も昨日の16円安値から前場は2倍以上となる32円まで化けるなど相変わらず祭りに参加するホットマネーは健在である。

しかし昨日ストップ高で買い物を残したオンキョーやsantecなど本日は揃って値下がりランキング4位と5位に顔を出すなど資金の逃げ足は速く、この辺は逆に腰を据えた物色対象難というのを浮き彫りしている。本日も一部のディフェンシブ系が年初来高値を更新しているあたりもこれと併せ一寸不気味なところでもある。


壁の厚さ

本日付けでヴァージンアトランティック航空が日本から撤退しその25年9ヶ月の歴史に幕を下ろしたが、エアライン関係と言えばもう一つ入ってきたビッグニュースには先週29日に各紙面を飾った国内航空3位のスカイマークが民事再生法の適用を申請した件がある。

つい最近当欄では昨年の上場企業の破たんゼロと書いたばかりであったが、これで早くも今年の第一号が出てしまった。これは2013年8月にパンクしたジャスダックにあった物流会社ワールド・ロジ以来となるが、パンクまでドタバタが続いていたロジ社同様にこのスカイマークもここ最近はJALやANAとの提携交渉話が二転三転するドタバタ劇が続いていた。

もともとあのエアバスの件で昨年から経営不振が続いていたものだったが、此処までに至ったのにはJALの時同様今回も国土交通省絡めた政治によって翻弄された背景がある。破綻回避へ期待を持たせる話が出る度に乱高下を繰り返した株価を見ていると、まさにJAL破綻の時を彷彿させる。

しかし、今でこそ規制緩和を背景に新興勢が第三勢力を目指しての参入であったが、日経春秋にも出ていたようにかつてあの東急も大手2社と対抗すべく東亜国内航空(懐かしい!)を作ったものの志半ばでJALに吸収されてしまった経緯があり、やはりこの壁は時代を経ても破れない厚さなのか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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