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吐き出し

さて、本日の全市場値下がり率上位には先駆した仕手系に交じって、商品指数連動型ETFが上位に出ていたのも目に付いた。昨日の日経紙夕刊一面も「国際商品下げ加速」と題して原油や金などの主力級の値下がりが顕著になっている旨が出ていたが、切り返し急であった株式相場とは値動きを異にしている。

先月に当欄では需給は全てに優先するとして金に対してのプラチナの逆鞘が長期化している旨を書いたが、上鞘の金も中心限月が8日続落し時間外で約5年5ヶ月ぶりの安値に沈み東京金も8ヶ月ぶりの安値、プラチナに至っては節目である1,000ドルを6年半ぶりに割り込んでいる。

節目の大台割れと言えば貴金属以外でも原油が4日続落しザラバで50ドルを割れ約3か月半ぶりの安値を付けるなどドル高による割高感が直撃する格好になっている。こうした過程で金のETF残高は代表格のSPDRで700トン割れとリーマン・ショック前の水準にまで落ち込み、同ショック後の安全資産として買われた分が手放された格好になった。

各アセットが組んでいる国内連動型のETFやETNなども、間接効果があるだけに2倍型など吐いた分がどの程度原資産に影響してくるのかこの辺も今後注意深く見守りたいところ。


画竜点睛を欠く

連休明けの日経紙一面を飾っていたのは「東芝、組織的に利益操作」のタイトル。この連休中に不適切会計を調べてきた第三者委員会がまとめた調査報告書を受け、同社が公表したものには経営トップを含めた組織的な関与があったとしているが上に逆らえない企業風土などまさに4年前のオリンパスを彷彿させる。

そのオリンパスだが今でこそ完全復活してその株価も年初来高値に迫る値位置まで来ているが、当時は上場廃止が論議され実に10日続落で400円を割ろうかというところまで暴落したのが思い出される。東芝もそのポストが気になるところだが、2013年の制度改正から先ずは特設注意市場というところかという一部指摘がある。

この辺が今回の東芝が発覚後にストップ安一発で終わり、続々と前経営陣の呪縛が明らかにされる中でも本日のように株価が反発出来た一因でもあるが、企業の闇もさることながら監査法人の不手際も問われよう。奇しくも上記のオリンパスの監査法人はBIG4の中でもガリバー新日本監査法人であったが、東芝の監査法人もこの新日本監査法人である。

市場の番人としての責務を問われる場面も今後避けられそうにないが、おりしもコーポレートガバナンス元年を謳って早々のこの発覚、経済界に影響力のあるポストを多く輩出した「母校」の汚点で日本企業のブランド力が毀損する事の無いよう願いたいところ。


血は争えない?

さて、今週はまたぞろ法廷へと場所を変えて大塚家具の父娘対立の報が彼方此方でされていたが、父と娘といえばもう一つ話題になっているものにあの村上ファンドがある。週明けの値上がり率上位にランキングし年初来高値を取ってきた物の一つに黒田電気があったが、これは村上氏の長女がCEOを務める投資会社の14%超保有が明らかになり100%還元を求めるなど揺さぶりをかけている思惑から人気化したもの。

こうなるともう連想ゲームの世界だけに、週明けに大量保有報告書で同家の5%超保有が判明した黒田電気と同じ半導体商社のエクセルも14日はストップ高の比例配分で引け、また同6%超保有のこれまた半導体商社の三信電気も急伸し年初来高値を更新、また保有比率が高いアコーディアゴルフも本日は年初来高値を更新するに至っている。

当欄では5月にこの村上ファンドについて、「〜時代が今ならファンド側も企業側もまた違ったタッチになり、村上ファンド以外でもスティール・パートナーズなど外資勢の展開や企業の政策もまた変わっていたかもしれない〜」と書いた事があったが、あれからそうした意志が村上氏の長女に引き継がれ矢面に立つ時代になったか。

とはいえやはり血は争えないワケで昔懐かしいそのカラーは時を経ても健在、なかなか友好的な対話とはいかないがそれでも一連の投資行動は漸く機が熟したというか時代が同氏の思想に追い付いてきたという認識に基づいてのものなのかというところで、まだまだ今後の行動が注目されるところ。


指標多様化

本日の日経紙マーケット面には「底割れ救った個人買い」と題して、直近での下落局面で資金が流入した値動きが2倍のレバレッジ型ETFによって機関投資家を驚かせるほどの売り物吸収効果から19,000円割れが阻止された構図が載っていた。

5月にもこのETFやETNの間接効果をコモディティーで書いた事があったが、レバレッジ型もその構造上先物等への波及効果は良くも悪くも多大なだけに目が離せない。また波及効果といえばGPIFを筆頭とする所謂「くじら」勢の動向も同様に目が離せないが、先週末に公表された運用状況では国内株式が22%にまで上昇した旨も話題になっていた。

斯様に近年は金融商品の発達や「数匹のくじら」の出現等によって、マーケットを取り巻く環境も変わってきた。単純に三市場残とか外人動向だけを眺めるさまが既にセピア色にも見えなくもないが、今後もまだまだ市場を測る参考指標が増えてきそうだ。


カオス

さて、昨日はなりふり構わぬ介入劇に揺れる中国の株式について触れ、本邦の投信解約等にも影響が出てきた旨について書いたが、その辺はなにも株式関係に限らずコモディティーの方にも影響が及んでいる。

先週に上海総合指数が続急落を演じた8日には、LMEや上海先物取引所の銅も急落し6年ぶりの安値を付けるに及んでいる。なにせこの銅は世界需要の4割を中国が占めているといわれ中国景気減速への警戒感が織り込まれた格好になった訳だが、もう一つこれをテコに中国本土系ヘッジファンドも暗躍しているとの指摘も先週末の日経紙にあった。

そこには週前半から中国の大手ヘッジファンドの利用先である同国2位の大手先物会社がこの銅への売り越しを拡大させている旨が書いてあったが、6洗車以上ある中でもその代表格が「上海混沌投資」なるファンドという。なるほど中国の市場にはピッタリなネーミングだが、昨日記のPKOメニューにもあるような悪意のある空売り調査対象として魔女狩り的にココも挙げられるのだろうか?


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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