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休火山?

さて、先週末の日経紙マーケット面には「ひとまず去った嵐」と題して、週末のVI(変動制指数)が25.6となり8月21日以来の低水準に、また米国株のVIも節目の20を割るなど8月からの相場急変の嵐が一先ず去った旨が載っていた。

しかし当欄では先月に「変動率に商機」と題しリーマン・ショック以来の高水準を記録しているVIXを鑑み大手金融機関も変動率に注目した商品上場を検討する動きも出ている旨を書いたが、この手の話が盛り上がったところで一旦沈静化は定石通りか。そんな背景には米では年内の利上げ懸念が和らいだ上に、国内では先の緩和見送りで時価の月末会合では政策変更に動くともみられている事などがある。

全般に緩和トレードもいわれるなか個別も判で押したように緩和に敏感なポストが急速に息を吹き返し、またETF系でも8月中旬から9月にかけての近年稀に見るダイナミックな動きから、9月末から今月は急速に値を消し沈静化を辿っている。結局材料への感応度が都度の地合いでどの程度変わってくるかだが、今週も米中の重要経済指標発表や7-9月期決算が本格化する事もあり中央銀行政策期待と絡めその耐性が試されようか。


高島屋ウォッチメゾン

さて、8月末に当欄で「特定層への戦略」と題して高島屋が国内最多規模となる80強の国内外の時計ブランドを集めた時計専門店を日本橋地区で開設する旨を書いたが、はれて昨日に同店がオープンした。此処はたしか三井住友信託銀行があった場所だったと思うが建物の優美で重厚感のある外見はそのまま温存された格好になっている。

店内はさながら三越ワールドウォッチフェアが常設展?となったような感じにも見えるが、展開する全83ブランドのうちスナイパーはじめ3ブランドが日本初進出という。二階は所謂ハイブランドが揃い、フランクミューラーのコーナーには三越のワールドウォッチフェアでも見た事が無かった3億6千万円を超える値札が付くエテルニタスメガ4が鎮座するケースも聳えるが、その隣にはこれと裏腹に親近感?のわくリペアコーナーがある。

こうした部分から顧客のターゲットとして国内層を見据えての意図も感じられなくもないが、実際に高島屋は直近の6〜8月に前年比48%増にまで伸びた時計売上げのうち貢献したのが殆ど日本人で意外にもインバウンドは2%程度という。

確かに浮沈の激しい新興国勢の購買力も水モノともいえ本邦勢の安定感こそ重要なポイントとなろうが、それでも国慶節で再度爆買いが報じられているようなインバウンドの追い風があるうちに国内需要をどう取り込んでゆくのか、そういった次の展開を見据えた同社戦略の行方を注視している向きも多いだろうか。


次期システム

本日の日経紙マーケット面には昨年11月に上場したJPX日経400先物の累計売買高が昨日は1,000万枚を超えた旨が載っていた。投資指標として同指数を活用する投資家が増え9月の売買高は過去最高になった事が書いてあったが、内訳は海外投資家が72%、証券会社が24%を占めるという。

ところでこの先物といえば同紙週明けの風速計の頁にも「取引所システム、来年も難所」と題し、先の5年ぶりのアローヘッド刷新にホッとする間もなく来年夏にも導入のはこびとなる開発の難易度が高い次期システムへ焦点が向けられている旨が載っていた。

この辺に絡んでは同様のシステムを導入したシンガポール取引所が昨年末に2度の取引停止事件を起こした件が浮かぶが、コモディティーも視野に入れてとりわけデリバティブ分野の強化に関しては新CEOが世界標準に並ぶのを見据え課題として常々挙げてきただけにその動向が注目される。


回転鈍化

さて、昨日の日経紙マーケト面には「広がるリスク過敏症」と題して、急落から戻りを入れている日経平均においても海外発の材料に相場が振り回され、リスクを取っても運用成績が上がらないなかで年金等のお金の出し手も安定志向を強めている旨が載っていた。

全般でもMSCIオールカントリー世界指数は年初来で6.6%低下し、7-9月はこの4年で最大の下落率となった旨をブルームバーグが報じている。もう一つ、MSCIといえば上記日経紙の文中には同社が算出した相場全体より値動きが小さくなるよう設計されている最小分散指数も登場していたが、同指数連動のETFは日経平均を上回り格差が年初来で最も大きいという。

この辺を鑑みてブラックロックは再来週にも日本初となる同指数のETFを上場するというが、ここへきて米利上げ観測が遠のいた事もあって日経平均は約2週間ぶりに18,000円大台を回復。とはいうものの大台回復の昨日の商いは1ヶ月ぶりの低水準となりアクティブ系がチャブつく動きの典型ともいえるが米利上げ、日銀追加緩和何れかが実施されるまでこんな地合いが継続されるか。


現代の黒船

週明け本日の日経紙一面を飾っていたように、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加する12ヵ国が大筋合意に達する見通しとなっている。この合意によりはれて域内の大半の関税が撤廃され、アジア太平洋地域に世界全体のGDPの約4割を占める巨大な経済圏が生まれることになる。

国内市場の縮小に直面する日本企業も近年増加しているなか域内市場でこれまでより自由な活動が広がり海外市場開拓の機会が増えるのが期待されるが、消費者側も食品がモノにより安価になる等のメリットが今後期待できる反面その裏では食への安全やら一部農業関係者の不安が募る一面がある。

とはいえ一先ずは蒸し返しでも歓迎ムードで反応するのが株式市場で、6月末にも一度当欄で取り上げた六甲バターなどは本日再度動意づいて急反発し上場来の高値をほぼ3か月ぶりに更新。同じ食品系では他にプリマハムや林兼、井関農機から日本農薬まで一斉に動意づいていたが、この辺が新たに市場の矛先を変えるような事になるのかどうか今暫く注目したい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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