3ページ目

規制の匙加減

先週末の日経紙夕刊マーケット面には、「上海株、監督強化に揺れる」と題し銀行監督当局の高利回り個人向け運用商品への締め付けに加え、最高指導者による資産バブル抑制強調姿勢が示されたために今月に入ってから上海総合指数の下げが加速するなど動揺している旨が載っていた。

この上海総合、足元では本日まで3日続伸となっているもののGWにあたる労働節後の水準にはまだ戻らずといったところだが、個別でも一部個別が売買停止の憂き目に遭っているようで、先月中旬に中国証券監督管理委員会トップが市場秩序を攪乱する行為に断固として立ち向かうと表明していた件が背景にはあるようだ。

中国証券監督管理委員会といえば先に中国不動産大手の万科企業に1年越しで敵対的買収を仕掛けた投機筋の宝能投資集団や、ライバル企業であった中国恒大集団にその資金源となっていた事業の今後10年間禁止等を命じる厳しい処分等を下しているのが記憶に新しいところで習氏同様に悪い芽は片っ端から摘む姿勢を見せている。

またこうしたホットマネーの源がやはり高い投資リターンを謳った投資型生保であったあたりが冒頭の理財商品とも絡んでくるというものだが、ここ噂されているA株(人民元建て中国株)を米指数算出会社のMSCIが新興国株価指数に組み入れるとの件もこの辺の浄化?を見極めてということになるのだろうか。


嵐の前の静けさ?

本日も円安を支えに日経平均は続伸となっていたが、その円も12日続落と2012年2月に17日続落して以来の続落記録となっている。記録といえばマーケットからもう一つ、今週はVIX指数も週明けには23年4ヶ月ぶりの低水準で一ケタ台を付けたのも目に留まる出来事であった。

この辺に連動するように昨日取り上げた金も国際価格が3月中旬以来の安値圏まで下落、また東証一部の騰落レシオもホワイトデー以来の水準まで上昇しているが、恐怖指数といわれるこのVIXについて当欄で触れたのは昨年の米大統領選の時で、取り上げた当時は9日続伸し20の大台を超えていたから実に半分以下の水準になったという事になる。

これに歩調を合せVIX短期のETFなども年初来安値を更新しているが、算出ベースになるS&P500種は昨晩も史上最高値を更新しておりこれら低水準も合点のいくところか。過去最も低水準となったのは93年の大晦日の8.89、対してリーマン・ショック後には89.53の高水準を記録している。

この過去同水準だった上記の冷戦終結時と違って地政学リスクが数多燻る現在は対極という構図だが、オプションのセルボラ等もこの現象に一役買っている模様だ。対極環境下でこのユーフォリアも束の間と見る向きも多いが、オプション市場では大台を挟んでの各々の攻防が来るべき変動を睨んで続いている。


旬な素材

さて、「金」を取り巻く事件に関しては当欄でも直近では先月の中旬に(売り子)等を取り上げているが、本日の日経紙社会面でも「金取引 現金決済が標的に」と題し相次いで起きた高額な福岡の事件や、先の銀座での強奪事件と絡めて金取引独特な現金取引原則の商慣習が書かれていた。

共通事件の連鎖性の不思議に関しては過去にも書いた事があったが、それにしても最近は金に絡む高額の事件が多い。報道の中でも腑に落ちない点は数多あるものの、その後の詳細も一切報道されないあたりがこれまた釈然としない感を一層深めているがまあいろいろと伏せたい部分もあるのだろう。

この15年で金価格は3.5倍に上昇し一昔前とはその取引量も違ってきている事でそうした素地が整ったという事もあるが、強奪以外でも密輸等はそのイグジットに至るまで特異な商慣習のあるところに芽有りの如く過去最多となった昨今とはいえ今後もまだまだ手を変え品を変えの温めている青写真があるのは想像に難くない。


コンサバ堅持

本日の日経紙投資情報面には「緩和競争に揺れる東証」と題して、世界的なカネ余りのなかの資金調達手段としての上場誘致の為に、世界の主要取引所が議決権に格差のある種類株等の上場を解禁するなど緩和に向けた動きが各所で出ている旨が載っていた。

種類株といえば2006年の会社法施行で国内発行が可能とはなっているが、上場企業となると記憶にあるところでは3年前に上場したマザーズのサイバーダインくらいしか思い当たらない。他にLINEなど上場時期がずれ込んだ背景にはコンプラや決算書関係の他にこの種類株発行がネックとなったとの報が記憶に新しい。

株主平等の原則を重視する東証としての譲れない部分があったのだろうが、同紙文中の末尾にも「三越理論」という言葉が出てきておりこの辺に関しても他との温度差は否めない。先月末には「デリバティブ市場混戦模様」として世界の取引所を挙げたが、世界標準をどの程度意識してゆくのかが今後焦点となって来ようか。


消えゆく定番

さて、GWも終わり小学校等ではそろそろ運動会のリレー走者を選出するような動きが学校によっては始まっているが、運動会といえば先週末の日経プラスワンのくらし物語りには「東京五輪で定着「秋の運動会」今は昔」と題し、運動会定番の季節である秋から開催時期を発に移す学校が増えている旨の記事も見掛けた。

背景には都市部での中学受験増加や、近年の地球温暖化の影響で秋口の残暑が厳しくなり熱中症予防の観点等もあるという。また競技内容も騎馬戦や組体操などに代表される「見せ場演目」が、子どもの体力が落ちている事を背景に危険な種目とされて廃止や縮小の傾向も出てきているともいう。

この辺に関しては当欄でもちょうど昨年の6月に一度取り上げた事があったが、その時に近年の児童がこれらに対応出来ないほど身体が付いてこれなくなったのかと書いたのがどうやら現実問題として捉えられているようだ。そういえば最近もプールの飛び込みの是非を問う論議が喧しい。

体力低下といえば、今では文具店でも小学生向けの鉛筆のセットは(2B)が標準だが、この柔らかさは近年の子どもの筆圧低下に合せたもの。鉛筆は(HB)という向きは大体年がバレてしまうというものだが、それは兎も角も体力低下が過保護政策を助長させたのかはたまたその逆なのか、何れにせよ体力の二極化が進行するなか淡々と消えゆくものの多さに懸念を感じざるを得ない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2017

5

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31