プレミアムフライデー1年

さて、先週末でプレミアムフライデーが導入となってからはや1年が経過したが、政府の旗振りで仕事を早く切り上げ働き方改革や消費喚起を促すこの官民一体のイベントも首都圏の観光・商業施設などは期待したほど客足が伸びず、営業戦略を見直したりサービスを終了したりする動きが相次いでいる旨が日経紙に書かれていた。

当初このプレミアムフライデー構想が出て来た一昨年には勤務形態に関る部分など企業側の理解を得る事が前提と当欄では書いた憶えがあるが、ある調査では勤務先が奨励・実施しているのは11%にとどまりほぼ導入当初と変わりない結果となり、また実施されても早帰りの日の過ごし方として最も多かったのが自宅で過ごしたという回答で約半数を占めていた。

斯様に果たしてというか上記のような流れで冒頭に書いたような観光・商業施設の思惑とはギャップが生じる結果となっている。この1年で認知度は導入当初から上がった模様だが、
以前当欄で消費構造の変化を把握しなければ米国に倣った消費喚起も名前負けになってしまうとしたように先ずはこの辺が不発の背景にあるという事の把握が課題か。


日本選手団快挙

本日は平昌冬季五輪で17日間の熱戦を繰り広げた日本選手団の帰国報告と、解団式が東京ミッドタウンで行われた。冬季としては史上最多の13個のメダルを日本にもたらし、その内容も金メダルラッシュとなった女性陣の活躍や、66年ぶりの連覇など各方面で記録尽くしの快挙であった。

斯様な日本勢大健闘との報道の裏ではこの期に及んでなおドーピング疑いの選手が何人も挙げられ、フィギュアスケートの審判の一人がどう見ても不可解なジャッジをしていた旨が物議を醸し出すなど残念な報道も見られたが、コーポレートガバナンスコードよろしくオリンピックにおいてもこうした概念の徹底が求められようか。

それはさて置き、活躍した女性選手など各局から引っ張りだこで早くも芸能事務所からCMまで虎視眈々と狙っている模様だが、選手の地元のふるさと納税が急増している話も聞こえてきている。肝心の勝負どころで本人の力が最大限に発揮されるべく、全ての有力選手に大企業をバックにつけている選手並みの最高の環境やインセンティブが施され更なるレベルアップが図れるよう切望したいところ。


今年もイタチごっこ

先週末の日経紙総合面には「金密輸 4年で100倍」と題し、23日に財務省が公表した昨年1年間で全国の税関が摘発した金の密輸状況が、摘発件数で前年比66%増の1,347件と過去最高を4年連続で更新、消費税増税前の13年は12件であった事から実に4年で100倍以上に増えた旨が書かれていた。

この金密輸といえば今年に入ってからJALの機内トイレに金塊を隠し国内に密輸しようとした男女6人が逮捕された事が報じられているが、先月末にも中部国際空港で韓国からのツアー客7名が体内に金塊を隠して密輸入を謀ろうとした事件が発覚しているが、それにしても度々当欄でも取り上げている通り金密輸事件は絶えない。

今回の件含め体への巻き付けやスーツケースやアクセサリーの一部に隠したりとその手法は原始的な方法が殆どだが、中には海路を使ったり主流の空輸にしてもLCCが登場して以降はイグジットを想定し国際線と国内線の共同運航に着目するあたりなるほど目敏い。

上記の体内に隠した件では消費税と罰金相当を納付すれば金塊は返却するそうだが、財務省は関税法の罰金上限をこれまでの500万円から大幅に引き上げるなど抑止効果を高める事を図っている。以前にも書いたように金密輸成功率からの試算例では、年100億円が国庫から奪われている計算と看過できない額となっている事で今年も対策が焦眉の問題である。


尻尾に振り回される胴体

本日の日経平均は、FOMC議事録要旨を受けた長期金利の上昇を嫌気した米株式続落を受け反落となった。このところの戻りで日経平均VIは週明け2週ぶりの低水準となったが、
半値戻しを達成したDOWのVIXは火曜日から再度20を超えてきておりまたぞろ警戒感が台頭する気迷いの景色となっている。

このVIXに絡んでは週明けの日経紙・オピニオンで「誰もがそれをやっていた」と題し、二月に入り世界の株式市場を動揺させた突風の正体も一寸前まで多くの投資家に適温の湯加減を楽しませた金融取引であり、ディズニー映画のファンタジアに似せてその騒動の様が書かれていた。

空前の低利回りが世界を覆い株式市場は波音一つ立てないと大多数の投資家が抱いていた背景から変動率の売りを組み込む金融取引はここ数年で急速な拡大を見せたが、先の当欄でも書いたようにインバース系の商品の中には一晩で9割以上の価値が消滅するモノが世界中で続出し、直近ではこのVIXが不正操作されていたとの告発がSECに為される等のオマケ付きだ。

しかしこの現象、かつてのサブプライムローン絡みの証券化商品然り、「天災は忘れたころにやって来る」を痛感したその後2011年の東日本大震災時のオプション市場でのセルボラパニック然りで何度もその阿鼻叫喚な光景を見て来た筈なのだが、少なくともやはり個人が投資で保険会社の真似をするのは応分の覚悟を持って取り組むべきだろうか。


二大消費国の存在

本日の日経紙商品面には「金、中国需要4年ぶり増」と題し、ドル安を材料に堅調持続している金が昨年市場で存在感を高めている中国の宝飾品需要堅調などを背景に、通常は実需に逆風な価格上昇のなかその実需が16年比4%増と13年以来4年ぶりに前年より増加した旨が書かれていた。

この宝飾需要の実需堅調は上記の中国のみならずもう一つの消費国であるインドも昨年導入のGST(物品サービス税)で一時消費が冷え込んだものの、現地通貨建ての金価格が下落した事や農村部の好天で農民の買い意欲が高まった事もあって中国を上回る前年比12%増と大きな伸びを記録している。

当欄でちょうど一週間前に金を取り上げた際に末尾では、WGC報告書で株式市場への資金流出が目立ったことで世界需要が2年ぶりに前年を割り込んだ旨を書いたが、こうした投資需要とは対照的な堅調ぶり。国内では昨年の田中貴金属工業の金地金販売量は16年比で3割減と振わなかった模様だが中国ではちょうど今日まで春節、果たして購入動向はどうであったか注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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