池坊2018

さて、今週は本日まで開催されていた「池坊展」を今年もお誘いがあったので観て来た。ここ数年春の展は三越が多かったのだが今年は久し振りの会場復帰で、うえの桜まつりもあり花見客で賑わう雑踏を抜けちょうどブリューゲル展も開催されている東京都美術館へ。

今年も華督の方々の若松に枝垂桃、オクラレルカなどこの季節が旬な素材を駆使したオーソドックスな立花正風体が安定の素晴らしさで、また立花新風体の方も竹筒を刳り貫いた様々な素晴らしい花器にカンガルーポウや変わり種のオーキッド等珍しい素材を縦横無尽に駆使した意欲的な作品が多く見られた。

池坊展といえば昨年は映画「花戦さ」の公開があり、その公開記念という事で織田信長の所望で岐阜城大座敷に活けられた見事な昇竜松を主体にした雄大な大砂物など実際に撮影で使われたものが展示されていた圧巻な展で、その残像比で今年はこじんまりとした感も無いわけではなかったがそれでもやはりこの期に相応しい素晴らしい展であった。


地合いの好機

さて、昨日まで続伸で200日移動平均線まで戻した日経平均だが、本日は3月期末の配当落ち分の影響もあり急反落、昨日はこの配当権利付き最終売買日で配当関連の需要も多く買わなければならなかった上昇だったが其の需要が剥げたここからが正念場か。

ところでこの配当と共に企業が稼いだ利益を株主に還元する手段として自社株買いがあるが、先月に始まった世界的株価下落で買いの好機と見た企業が自社株買いの枠を設定する動きが顕著化し、日本は2017年度に2年ぶりの高水準となり米国も減税策を背景に18年の実施額が前年比2割増程度になる見通しと先週末の日経紙に出ていた。

今月上旬にはコーポレートガバナンス・コードを促す政府の思惑とも一致し海外からのアクティビストが一層関心を向ける事が予測される旨を書いたが、狙われやすい低ROEの企業など自社株買いや増配などで不要資本を如何に減らすかが課題となっており地合いも臨機応変に利用する好機と捉える傾向になって来たか。


運用と世論

本日の日経紙投資情報面には「マネーの力は社会変えるか」と題し、米フロリダ州の銃乱射事件を切っ掛けに市民団体などが銃の製造・販売企業への投資を止めるよう働きかけている事に対し世界の資産運用会社が自社のレピュテーションリスク等を考慮し悩んでいる旨が載っていた。

確かこの手の件に前回触れたのは確か昨年の米ラスベガスで起きた銃乱射事件の時だったと思うが、この時も防衛心理や規制懸念の駆け込み需要期待から過去最高値を更新したオーリン始め他の銃器メーカーが軒並み高となり、SRI投資の真逆をゆくVICEFUNDの上昇が米株全体を上回った旨を書いていた。

しかし史上最悪といわれたこのラスベガス銃乱射事件から半年もしないうちに起きたこの高校での銃乱射事件勃発で、さすがに運用会社も日経紙にあったように無為無策は許されないとの雰囲気が出てきたという感じか。近年は収益追求だけでなく社会を良い方向に変える事を求めSRI投資など出てきたが、簡単に変れない銃社会を尻目に運用の世界では一足早く収益追求を超えた行動成果を意識するようになってきたか。


中東産原油先物上場

さて、本日より中国で人民元建ての原油先物取引がスタートとなった。既に米国を上回り世界最大の原油輸入国となった中国は、米国や欧州での取引が指標となっている現状に不満を強めてきており、原油市場での影響力拡大を追い風に中国の需要を国際価格に反映させ国債指標に育てたい考えという。

上記の米国や欧州での取引とは言わずもがな米WTIに欧州の北海ブレントだが、この商品を上場する上海国際エネルギー取引所は対象商品として中東産原油を採用し欧米との違いを打ち出している。またここ近年で中国は株式や債券などの規制緩和を断続的に進めてきたが、商品先物市場として初めて外国人の取引参加も認めた。

ところで同じ上海では鉄筋先物が昨年4年ぶり高値を更新し、一昨年には大連の鉄鉱石先物も投機に沸いて乱高下に大商いを演じた経緯もある。斯様に中国の商品先物市場といえば売買の多く個人投機家が占め、その投機的売買で実需を反映しない値動きをする事が珍しくなく当局の規制に実需家が振り回される懸念も残る。

今回の上場では原油取引のドル支配にも一石を投じ人民元の国際化と地位向上につなげる狙いもあるというが、利下げや規制緩和は時として投機を発生させ易い土壌を創造する。鉄筋先物や鉄鉱石先物の乱高下を鑑み過度なバブルに影響されにくいインフラの構築が図れるか否かが国際化への試金石となろうか。


株主提案急増

さて、昨日の日経紙投資情報面には「3月総会、増える対決型」と題し、12月期企業の株主総会が本格化するのを前にスチュワードシップ・コード改定を背景に株主提案が前年の2社・4件から18件・5社に増え、議案数は3月総会で過去最高になりそうとなるなど株主と経営陣が対立する事例が相次いでいる旨が書かれてあった。

同紙には片倉やGMOインターなどへ提案するオアシスや、帝国繊維へ提案するスパークス等が挙げられていたが、他にもAVIによるTBSHDへの持ち合い株解消提案や、村上ファンド系による最近TOB価格引き上げを引き出した東栄リーファライン、昨年一転して会社側の反対を抑えファンドが推す社外取締役の提案の承認にこぎ着けた黒田電気など実績も伴ってきている。

この黒田電気の株主提案など8年ぶりに叶ったワケだが、背景には過去の破天荒な提案から他株主にも整合性を持たせた合理的提案で賛成を引き出す格好に変ってきた事もある。本日の株式市場では積極的な自社株買いの発表を出した企業が比例配分でストップ高となっていたが、以前にも書いたように今後は海外からアクティビストが流入してくる事が想定され対象にされそうな企業は一段と緊張感が高まることになるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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