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SIXPAD上場

昨日の日経紙にはあの「SIXPAD」で有名なMTGの全面広告がひときわ目立っていたが、この日はマザーズ市場にはれて同社が上場のはこびとなった。注目の初値は公開価格5,800円に対してこれを12.6%上回る7,050円で初値形成となり、引けは7,350円で初日の取引を終えた。

この上場に先駆けて代官山にシックスパッドステーションなる電気刺激型ボディースーツを用いた進化形ジムも展開させているが、同社は先月に上場したフリマアプリのメルカリに次ぐ大型案件となる。今年のIPO資金調達額は前半段階で既に前年同期の2.5倍に膨らんでいるが、これで更に上乗せされる形となる。

マザーズ市場の時価総額ランキングもこれまでミクシィが長らく首位を独占しサイバーダインが続くという構図であったが、先月のメルカリと昨日のMTGのIPOでこの構図も変った。立て続けの大型上場を機にマザーズ市場が活況を取り戻すかどうかだが、以前より本邦勢のユニコーンは世界規模で見劣りするといわれこの手が育つ土壌を培ってゆく工夫が今後も焦点となってこようか。


貿易摩擦と商品

週明けの米株式は貿易摩擦に関する新たな悪材料が出なかった事も安心感につながり300ドル超の大幅3日続伸となったが、これを受けた本日の日経平均も3日続伸となった。周知の通り米中貿易戦争がついに幕を切ったが、高揚感に乏しいなかを一先ずは灰汁抜け感からカバーが先行するようなかっこうになっている。

斯様にここまで主要先進国の株式も通商政策に絡むものは大きく売られてきたが、モノの動きを敏感に映し出すコモディティーもまたそれぞれが反応している。大豆は米シカゴ先物が直近高値から約2割の下落を見せ9年半ぶりの安値圏に沈み、また中国経済の悪化懸念から銅も指標のLME3ヵ月物は直近高値から約1割強安値水準に沈んだ。

ここからまたぞろ貿易摩擦の影響が深刻化していった場合には利上げの関係から他に金など再度の上昇軌道を描く可能性もあろうが、何れにしても米は11月には中間選挙を控えその辺の思惑も燻るだけに米中双方が落としどころを模索してくるのかどうか今後も市況と共に目が離せない。


25%超のこれから

昨日の日経紙社説には「長期的な成果へ公的年金運用を透明に」と題し、冒頭に156兆円の資産を持つ年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2017年度に10兆810億円の収益を挙げた旨が載っていた。14年に国債中心だった運用を変更し株式などリスク資産を増やしてきたが昨年末には国内株の運用比率が初めて25%の目安を超えている。

文中には環境や社会との共存も意識しつつ企業が経営効率を上げ、評価が高まれば運用収益の底上げに繋がると期待できるとあったが、この辺に関しては昨年から所謂ESG企業に絞った投資を開始し1.5兆円を投じている模様で、これらの企業は長期で株価上昇や安定した配当が期待出来るという見方をしている。

斯様にスチュワードシップ・コードへの取り組みなどが注目される一方でもう一つのコード、コーポレートガバナンス・コードに絡んでは逆行する部分があるなどの指摘は依然として喧しい。クジラの如く幅広く買い漁るさまから現代版PKOとも揶揄されて久しいが、株価嵩上げの構図が一区切りしたとされるいま上記のESG含め次の一手が注目される期に差し掛かっている。


NUDE

さて、先月の日経紙・STYLE/Artでは「ピカソの中に透ける浮世絵」と題し、浮世絵の葛飾北斎との親和性を引き合いにピカソの裸婦シリーズの中の作品が紹介されていたが、今年は各所の展でもピカソの絵を観る機会が多い。直近では先月末に終了した横浜美術館の「英国テートコレクション・NUDE」でも日経紙とは違った裸婦モノを観た。

もともとピカソ目当てでは無く、此処ではパンフレット表紙にもなっている目玉のオーギュスト・ロダンの「接吻」を観に行ったのが、美術館では珍しく撮影もOKと緩く流石に圧巻であった。彼方此方でレプリカが販売されてはいるがやはりテートコレクションのオリジナルは艶が違う。

という事で一方のピカソ。日経紙STYLEに出ていたのは1932年の「横たわる裸婦」だったが、先月の私の履歴書でも作家の阿刀田高氏がおそらく1909年のフェルナンドシリーズのピカソの裸体画に触れている。浜美の同展では晩年に近い1968年の作品「首飾りをした裸婦」であったが、フェルナンドとは全く異なるタッチで氏の情感が窺える作品であった。

他にピカソのものではエッチングも2点あったがいずれも貴重なコレクションで、人間にとって最も身近といえるこのテーマに向き合ってきた約200年にわたる裸体表現の歴史を一堂に会して観られ、また時代と共に変化してきた表現も同時に見ることの出来るなかなか濃い展であった。


貴金属安と鉱山問題

本日の日経紙マーケット面では、プラチナが主産国である南アの通貨安に加えて産業用に多く使う事から米貿易摩擦深刻化の思惑で売りが先行、日本時間3日夕方時点でNY先物が1トロイオンス810ドル台と約10年ぶりの安値圏に沈み、国内の先物も9年半ぶりの安値を付けた旨が書かれていた。

金に対して下鞘に沈んでからはや3年半、その後も両者の価格差は拡大を続けているが、米貿易摩擦問題に絡んでは中国が米国に対して報復関税の発動に踏み切れば更に一段安の懸念も言われている。一方で金もまた2日のNYで先物中心限月が一時1,240.6ドルと、中心限月としては2017年12月以来の安値を付けた旨が昨日の日経紙夕刊に載っていた。

文中ではRBCキャピタル・マーケットのストラテジストがETFの見切り売りで金価格の下げにも拍車がかかったとしているが、スパンを変えて見てみるとWGC纏めでは今年5月末のETF残高は2484トンとトランプ大統領当選時期から積み上がりを見せ、15年12月末からは2年半で5割強が増加した旨が報じられている。

ドルの逆の動きをし易い金は上記のプラチナと共に更に一段安との予測も出ているが、生産量漸減傾向に見られる金採掘ピークアウト論も中長期的な下支え要因として言われており、こうした生産減少は主要生産国のプラチナの鉱山にも先行き言われている事で今後はこの辺も頭の片隅に置きながら両者を見てゆきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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