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調整役不在

本日の日経紙一面には「日産・ルノー統合強制せず」と題し、フランスのルメール経済・財務相が同紙のインタビューで日産自動車と仏ルノーの経営統合に関して仏政府として強制する考えはないとの立場を強調した旨が書いてあったが、直近では来る定時株主総会の議案にルノー側が投票棄権の意向を伝えている。

カルロスゴーン被告逮捕の経緯からコーポレートガバナンスを意識しまさに改革に動こうというタイミングでなんともな誤算だが、実際に4割超の株を握る筆頭株主が棄権するとなれば特別議決成立の条件である三分の二以上の賛成というハードルのクリヤは事実上不可能となるだけに厄介だ。

この行方も大いに気になるところだが、日産といえばカルロスゴーン被告が役員報酬等について主導的な立場を取っていただけに今年の有価証券報告書もまた其々注目度は高そうだ。これらも含め何かこう年々外部からの目が一段と厳しさを増しているようにも見えるが、これまで巣くっていた一部商慣習も異常だったのもまた否めずこの辺の浄化は粛々と進行しようか。


廃プラ機運

さて先週末の日経紙社説では「企業は廃プラ削減で知恵を競え」と題し、廃プラスチックによる海洋汚染問題含めた諸問題の解決に向け企業が新たな対策を打ち出している旨があり、スタバや大手ファミレス等も今年から来年にかけプラスチック製ストロー全廃に向けた動きの旨が書いてあった。

このストローといえばちょうど先週末にブランチに招待されアンダーズ東京に行って来たのだが、タヴァングリルで噂?の紙製ストローなるものを初めて此処で体験した。イメージと違いふやける事も無く使い勝手も良かったが、思えば昨年秋以降ハイアットグループはプラスチック製ストロー全廃を表明していた経緯があり成る程アンダーズはハイアットだったなと。

来るG20サミットでも廃プラ問題は議題になるが、大題は歓迎としてここでも出ていたようにプラ製品回収の物流コスト等課題は多い。例えばこれ以外でもコンビニ等ではマイバッグ客への対応から売上、総量としての削減可能か否か?当欄でもこの問題に絡んでは昨年9月に取り上げていたが、企業と共に消費者もまたこの辺の理解は不可欠だろう。


今年のウナギ商戦

さて、街のスーパーや百貨店等のエントランスにはそろそろ今年の土用の丑に向けた蒲焼などのパンフが並び始め今年のウナギ商戦もスタートといった感じだが、本日の日経紙商品面には「丑の日 ウナギやや高め」と題し国産ウナギの稚魚が不漁で多くの店舗では蒲焼やうな重が前値よりやや高めとの旨が出ていた。

この辺に関しては先週の日経紙にもシラスウナギの今年の国内漁獲量は前年を6割下回り6年ぶりに過去最低になった旨が載っていたが、国内産が斯様な状況の一方で国産でカバーし切れないものは海外産を使って何とか価格も据え置きの努力をしているような旨をTVで見掛けたように、輸入分は増えて来ている模様だったが全体では数量の水準は上がっているのだろうか?

冒頭のような状況から近年ではウナギそっくりに作ったパンガシウスの蒲焼や穴子や秋刀魚の転用が登場し、今年は鮭腹身や蒲鉾を使った蒲焼が一部で登場している。ふるさと納税返礼品のウナギも総務省の御達で一頃から比べると何所も随分とボリューム感に乏しいモノに成り下がってしまったが、高値の花でなくなる時期はいずれおとずれるのか否か関心を持ってマーケットを見てゆきたい。


煽りにAI

本日の日経紙には「不正取引摘発へSNS監視強化」と題し、金融庁がAI(人工知能)で遣り取りを解析し投資家を煽るような投稿で株価を吊り上げ自ら高値で売り抜けるような不正な取引を摘発する為にSNSの監視を強化する旨が出ていた。

SNSの進化で現代では射幸心を煽る手段も多岐にわたって来たが、ネット系で大捕り物のハシリとして記憶に残っているのはやはりバブル期に名を馳せた伝説の仕手筋を語り開設したサイトで新日本理化やルック等の株価を銘柄によっては5倍化まで急騰させ約60億円の売却益を抜いた事件?か。

しかしこんなSNS監視強化とかまさに現代ならではという気もするが、投資家を煽って誰かが売り抜けるのは今に始まった事ではなく一昔前では某雑誌の占いコーナーで選定されたというフレコミで二部品薄株を中心とした小型株が発売日からストップ高連発となったのも記憶に新しく、新聞の尋ね人で暴騰した銘柄もあった。媒体は変遷するものの悪知恵と人の欲は時を経ても不変か。


持ち合い株売却加速

さて当欄では先月22日に「買収防衛策廃止加速」と題し、その末尾では持ち合い慣習とも併せダブルコード導入で今後もまだ実施企業の減少傾向は続きそうだと書いていたが、この持ち合いといえば先週末の日経紙には上場企業が取引先との関係維持などを目的とした政策保有株式の圧縮に動いている旨が出ていた。

近年は所謂「物言う株主」がすっかり市民権を得る一方、斯様にコーポレートガバナンス・コード改定を経て政策保有株圧縮を求める圧力もあって「物言わぬ株主」が対照的に減少しつつあり、これが企業統治の向上や市場の効率化につながりそうだとの期待が大きくなってきている。

こうした動きが活発化してくると持ち合い株売却資金の振り分け先もまた課題となろうが、有価証券報告書の開示が今月末から始まることでこのディスクロで持ち合い株を新たに売却した旨の報告が為される企業が増加してくるのかどうか、先ずはこの辺に注目というところだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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