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仮想通貨操作

さて、直近ではスノーボードの元オリンピック選手が大麻取締法違反の疑いで逮捕されたというショッキングなニュースがあったが、今朝のTVでは有名な金融トレーダーのKAZMAXなる人物が麻薬取締法違反の疑いで渋谷区にあるクラブから出てきたところを逮捕されたというニュースが流れていた。

同氏は仮想通貨の売買が盛んだったビットコインバブル期に所謂マスコミが煽った”億り人”なる造語と共に頻繁に取り上げられたが、その勢いに乗じて同氏に肖りたい投資家を集めた会員制オンラインサロンを立ち上げ最盛期には5000人を超える会員を煽り”サロン砲”なる価格操作の手口を使い仲間内で私腹を肥やしたという黒い噂が報じられた事もある。

ところで仮想通貨の意図的な操作といえば、先週は米の大学教授らによって或る特定の市場参加者がテザーを使ってビットコイン価格の操作を行っていたとする論文が発表されている。その規模は両者で全く違うものの、国内では仮想通貨は金商法の対象外となっている事で罰則は無いだけに改正法施行まで先行参入した向きの中にはヤリ得だった輩は相当数居るのは想像に難くないか。


1%包囲網

先週末の日経紙夕刊・十字路では「外為法改正 悪魔は細部に か」と題し、10月に閣議決定された国の安全上重要な企業に対し株式の保有比率が10%以上になるなら事前届け出を求めてきたものを、1%以上と厳しくし外国資本からの出資規制を強化する外為法改正案が書かれていた。

ここでは中国を念頭に米などと歩調を合わせて目を光らせるという米に忖度する旨も書かれていたが、もう一つ近年は株主要求が通り易くなったのを背景に重要提案を目的とする株式の新規・追加取得の集計が過去最高水準になっているのにみられるように、世界の「物言う株主」が日本企業への投資を増やしている事への防衛?の観測も一部出ている。

この事前届け出対象となる株式保有割合をG7各国で見てみると緩いところでフランスの33.3%、従前の日本と同様の10%がドイツ、もう少しキツいところでイタリアの3%があると先月の日経紙にも書いてあったが、この3%前後でも企業への重要提案が通る事例もあるだけに1%という数字を弾きだしたのにも合点がゆく。

とはいえ機関投資家への配慮から経営参画しない投資については免除が新設されているものの、その具合的な線引きや審査の実効性など課題は多い。上記のように安保上のリスク管理の側面と投資誘致の規制緩和のバランスをどう図ってゆくのかまだ紆余曲折がありそうな感も否めないところ。


フォーエバーではなかった?

本日の日経紙社説には「流通業は閉鎖の次の一手を」と題し、冒頭はアパレルなど流通業に店舗閉鎖の嵐が吹き荒れているとの書き出しであったが、店舗閉鎖といえば先月末で米フォーエバー21が日本の全店舗の営業を終了し完全撤退した。完全閉店セールと題しファストファッションとはいえ全品50円の張り紙と併せ空虚な在庫処分そのものの様相を呈していたが、さほど話題にもならずにひっそりと消えゆくさまは開店当時に想像も出来なかった。

思い出せば今から10年前に当欄では黒船来襲の如く同社がH&Mと共にファストファッション市場を席巻、激戦区の原宿に1000人を超える列を作って出店を果たし当時の松坂屋銀座店でもグッチが撤退した後にココが入る運びの旨も書いたが、まさに盛者必衰とは斯様な光景のことか。

ココはイオンモール等のSCにも入っていたが米国では消費を牽引してきたSCがそれらを支えてきたテナント小売店がネット通販に押され集客力低下を背景に苦境が鮮明になっており、国内もゾゾタウンなど新興ネット勢の破壊力は凄まじかったがSCのみならず百貨店との蜜月関係も破綻しつつある。

ファストファッションの中で成長率を維持しているのが唯一ユニクロくらいであるが、他の競合も近年はエシカル消費の流れでファストからH&Mが先行したエコやZARAが取り組むサステナブルへと傾斜しつつある動きも見られる。生き残った新興勢もまた新たなフェーズに入って来たというところか。


改正と投資誘致

昨日の日経紙社説には「ガバナンスの実効性上げる会社法改正に」と題し、情報開示の負担等の課題は残るものの政府が株主総会を形式ではなくより対話の場にする見直しや、株主一人が株主総会で提起できる議案数を10に制限するなどの会社法改正案を閣議決定した旨が書かれていた。

ココには過去に野村ホールディングスに対し社名を野菜ホールディングスに変える等の提案が大量に出された旨が出ていたが、これ以外にも取締役の社内呼称はクリスタル役?とするとか、オフィスの便器は全て和式とする等々100項目にわたる一般的理解を超える株主提案が為されていた記憶がある。

今回の改正案でもまだ米などと比較するに緩いとする意見がある一方、日弁連などは提案権の不当制約等でまた意見を異にするようだが、概ねガバナンスの潮流に合せるような改正案となった事で改めて自社のそれを再考する機会となり、投資家にもこの強化をアピールし海外からの投資を呼び込める狙いが叶うかどうか今後も注目したい。


三強の野望

さて、先週は旧興銀系の不動産会社ユニゾを巡るTOB合戦を取り上げたが、TOBといえば規模が桁違いに大きいものとして直近でそれを計画している可能性があると話題になっているのが仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンによる米宝飾品大手ティファニーへの買収提案だろうか。

買収提案額は提案前の値に22%のプレミアムを乗せた1株120ドルといわれ、この報を受け当のティファニー株は前週末比30%以上も急騰しこの提案額を早速上回って引けたが、同社の経営陣にはLVMH擁するブルガリゆかりの人脈が居る関係もあって一連の買収案仲介の背景にはブルガリの影が見え隠れするとの噂も出ている。

LVMHは此処を手中に収める事により他のスイスリシュモンやケリング等との競争に備えると見られているが、冒頭の急騰劇では一日で実に時価総額が約4000億円も膨らむような規模案件だけに実現が叶えば欧州企業による今年最大の買収案件となる。折しも3強の一つケリングもまたスイス高級時計ブランドの買収観測が浮上しているだけに、今後の再編と併せその勢力図変遷にも注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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