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取引所切磋琢磨

本日の日経紙・一目均衡には「東証はさらに強くなるのか」と題しPTSの最大のウリであった株価の刻み値を細かくしている部分を、東証も今年の1月末に呼び値単位の縮小を公表した事で昨年のPTSのマル信解禁の対抗策と見る向きがあるなどそのシェアを巡る思惑が台頭している旨が出ていた。

文中にもあったが東証の刻み値は欧米株比で大きな事から、執行コストの観点で海外大手機関投資家は刻み値縮小を賛成な反面HFT業者はやり辛くなるが、チャイエックス・ジャパンなど早くから東証と比べ売買スピードを意図的に遅らせるHFTを実質的に排除する仕組みを設ける等務めてきた経緯がある。

PTSを巡ってはかつて東証が取引時間延長構想を進めていた時期に、ニワカジャーナリストなどが取引所外取引を締め出して株式取引を独占したいという本音があるなどと彼方此方で書いていたのを思い出すが、ネット証券系は早くから投資家にアンケート等を募り格差是正と利便性に取り組んできた経緯があり斯様に同じ方向での切磋琢磨で競争も促されるといえようか。


暖冬コンビニ模様

本日の関東地区は天気が回復に向い冬の冷え込みが一転して4月なみの陽気と暖かさを感じる場面もあったが、ただでさえ今年は暖冬傾向でこの影響から雪不足で破綻するスキー場まで出る始末だが、街のコンビニでもローソンでは日中の気温が高い為にカイロの売り上げが前年同期比で2割減少と過日のTVで見かけた。

こんなコンビニの光景を見るに今から4年前の同様な暖冬時を思い出すものだが、当時もセブンイレブンやミニストップはおでんや中華まんなど冬の定番が伸び悩む一方、アイス関係の売り上げが前年同期比で3割増となった経緯があったが、今年も同様の傾向とはいえその内容は冬に人気のクリーム系より夏に売れるようなガリガリ君などの氷菓系がローソンでは前年同期比で約8割伸びているという。

他にはコーヒーもホットよりアイスの売り上げが昨年比3割増、冷やし麺など同15%伸びているというが、上記の通り中華まんなどは厳しく井村屋は売り上げが前年比で11.7%減少し株価の方も先月末に年初来安値を更新、また中村屋も20年3月期は12億円の赤字となる見通しでその株価も先週木曜日には年初来安値更新の憂き目に遭っている。

総じてコンビニを取り巻く環境としては、キャッシュレス決済利用者の客単価が高い傾向にあり政府が家計支援策として導入したキャッシュレス決済のポイント還元が追い風になっているようだが、売れ筋の異変でその中身は思惑外れとなった各社の苦悩も見え隠れする。


Valentine’s 2020

毎年如月に入り節分が終ると次のイベントはバレンタイン商戦となるが、この前哨戦として恒例の「サロン・デュ・ショコラ」が今年も先週まで開催されていた。年々その規模も派手になり昨年は過去最多となった112ブランドであったが、18回目を迎える今年も同じ数の出店だった模様。

ここ数年はビーン・トゥー・バーが台頭し雨後の筍のようにこれに絡んだ店舗の増殖が顕著で、昨年は80年振りの新カテゴリーといわれた第4のチョコといわれたルビーチョコが登場し市場にもすっかり浸透してきたが、今年のテーマは「すべては出会いだ」ということで原点回帰という感も。

今年もこの場ならでは入手出来るワールドチョコレートマスターズ優勝作品などに始まり毎度お馴染のセバスチャン・ブイエのリップスティック型のチョコまでマニアを魅了させたが、コスメに絡めたモノではこの逆のパターンでエチュードハウスのハーシーズチョコをイメージしたアイシャドウなどバレンタイン限定コスメも近年は盛り上がっている模様。

ところで日本のチョコレート市場は継続的に伸びているようで、中でもサロン・デュ・ショコラの斯様な盛況にみられるよう高級品が人気で平均単価も上昇傾向という。こうした事もあって昨年末には伊の有名老舗ヴェンキが銀座に初上陸するなど商機を睨んだ動きも出て来ておりショコラ好きは今後も要注目の展開か。


原油下落の是非

さて、最近給油した際にガソリンが一頃より安くなっているなとふと思ったが、それもそのはず新型肺炎の拡大で中国成長率が5%を割るとの試算も出るなど世界経済の減速懸念からエネルギー需要が落ち込むとの警戒感で、年明けに60ドルを超えていた週明けの原油先物指標WTIは再度50ドルの大台を割り込み昨年1月以来、約1年1か月ぶりの安値まで沈んでいる。

燃料費の変化がそのまま反映される仕組みは上記のガソリン以外にもいくつかあり、例えば電気料金や都市ガスの料金などの身近な公共料金も安くなり家計に恩恵となるものも部分的には出てこようが、これを手放しで喜べない事情として景気への影響という観点で考えるとこれから新型肺炎の影響はジワジワ広がってゆく可能性があり応分の警戒が必要となるか。

既に自動車産業界等はサプライチェーン寸断で工場が操業停止となり、レストラン等の売り上げも7割からワタミなど9割減まで落ち込み一時撤退を決めている。先のトヨタ自動車20年3月期業績予想では純利益の上方修正が好感され年初来高値を更新していたが、これも中国の業績は数カ月のタイムラグを経て反映される傾向があるだけに素直に上方修正を囃してよいものかどうか?

大手シンクタンクでは影響が1年ほど続くと見込んだ場合、インバウンド減少やリスク回避による円高ドル安・更に世界経済減速が進む事で日本の実質GDPは0.9%押し下げられ20年は0.4%のマイナス成長と試算しているが、これまで続いて来た緩やかな景気回復基調が止まり景気後退へ向かう事になるのかどうか今後も注視が必要だ。


行政裁量の歪

さて、総務省によるふるさと納税制度からの除外を不服とする大阪泉佐野市が国と争った注目の訴訟だが、大阪高裁は先月末に返礼品が突出して極端で是正すべきであったと指摘し除外が違法であるとはいえないと国の主張を認め勝訴の判決を下し、市側はこの判決を旧態依然の中央集権的な総務省を正当化する判決で不服として最高裁に上告する方針だ。

本件では新法施行前の事実関係で処分されるのは遡及適用か否かといった点が焦点であったが、判決は総務省は幅広い裁量を持つとしたうえでこれにはあたらないと認定した形になった。確かに税収全国1位にまでなったその寄付集めは自治体のブランドイメージを失うようなお世辞にも品のよいモノとはいえなかったが、一方で総務省もまた制度設計に不備があった点も否めない。

ともあれ今回の裁判は総務省が自治体に権限を及ぼすことで動かして来た地方自治の在り方を問うものとなったが、地方分権一括法の観点で対等な関係とされた国と自治体がこの流れに沿ったふるさと納税制度を巡って双方が司法の場で争い合うなど分権が影を潜めることにならないかも危惧される課題の残るものである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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