導線の変化

さて、今週は渋谷の宮下公園跡に複合商業施設の「RAYARD MIYASHITA PARK」が開業の運びとなったが、商業施設といえば先月も「ウィズ原宿」が開業したほかコロナ禍の影響で開業が予定日より延期となっていた「Otemaachi One」や「有明ガーデン」、「ウォーターズ竹芝」から「東京ミズマチ」などなど続々と開業の運びとなっている。

上記のウィズ原宿は施設内に原宿駅から竹下通りに抜けるウィズ原宿ストリートが設けられ新駅と明治神宮とも併せて今後は人の流れが大きく変わりゆく事も予想される。そうした点では東京ミズマチも浅草を結ぶ隅田川の歩道橋すみだリバーウォークも開業し川からも公園からもアプローチ出来る最短ルートとなるだけにココもまた導線の変化が。

また上記の原宿駅も新駅が出来たが時を同じくして「高輪ゲートウェイ駅」が開業、6月には「虎ノ門ヒルズ駅」も開業となり各棟が地下で直結となるなどこれらでまた人の流れが変わる。上記の各々個性を持たせた商業施設も然りだが、各エリアの開発も「永遠に完成しない」東京ディズニーリゾートの如くまだ続くのは想像に難くないか。


ESG強化

さて、昨日の日経紙大機小機は「ESG経営 社員に向き合え」、また同日夕刊の十字路では「ポストコロナのESG評価軸」等々のタイトルに見られる通り最近は一層このESGが取り上げられる機会が増えているが、その非財務的な価値を見出すところにおいて経営方針から投資まで非常に重要視されてきている。

とはいえ先に破綻した独DAX構成銘柄のワイヤカードは、ESGの評価機関や格付け会社等で普通ランクや中間の評価をされていたのに見られる通り外形的評価が解り易いとされるGの部分一つ取ってもその見極めも難しいのは否めないところ。一方で同じく独DAX構成銘柄のソフトウェア大手SAPなど先月から温暖化対策事業に乗り出すなど粛々と動きは進行している。

2015年に採択されたパリ協定の温暖化目標を達成するため、EU欧州委員会は50年までに域内の二酸化炭素の純排出をゼロとするカーボンニュートラルに移行する方針を昨年打ち出すなどとりわけ欧州はこれを重要視する傾向が顕著となっている。これに絡んでは独の自動車セクターなど宿命的な立場だが、何れにせよ各社ニューノーマルの経営判断となってゆくのは想像に難くないか。


普段使いの乱高下

梅雨明けを望む声も虚しく活発な梅雨前線の居座りで今日も降ったり止んだりのダラダラとした空模様が続いたが、こんな日照不足の影響から巷ではジャガイモやキャベツなどが通常の価格から約2倍以上に跳ね上がるなどの他、タマネギやほうれん草等々所謂普段使いの野菜価格が軒並み上昇している模様だ。

つい数か月前には余剰感からフードロス対策云々で救済策が取り沙汰されていた様も一変といった感だが、緊急事態宣言の外出自粛によるお家ゴハン需要等も絡め今年は各種共に乱高下が著しい。しかし天候を睨んだ価格の不安定はここ数年特に取り沙汰されている事で一昔前に上場していた野菜先物ではないがヘッジの枝葉はどの程度あるのだろうか?

ところで廃棄の懸念から一転しての品薄感といえば今年は突然の休校や飲食店営業縮小を受けて過度な余剰感が出ていた牛乳もまた夏場の乳牛のコンディションによる生産量減少の素地に、夏休み期間の短縮が重なり需給バランスが今から懸念されることころでもあるというが、野菜と共に消費者も右往左往と翻弄されているコロナ禍の夏である。


総合取引所始動

本日JPX(日本取引所グループ)は貴金属や農産品等の市場を東京商品取引所から大阪取引所に移管しこれで株価指数先物から商品先物まで一体的売買が可能な総合取引が本格的に始動した。市場も各社も起死回生の最後の切り札として期待するところだが、これで大証では新たな証券会社が商品先物を扱う見通しとしている通り規模拡大でその競争環境もまた変って来ることも予想される。

ところでそんな初日を飾る?ように金先物が大幅続伸となり中心限月としては最高値を更新、本日の時間外取引でも国際指標のニューヨーク金先物が2011年9月に付けた1トロイオンス1923ドルの史上最高値を約9年ぶりに上回り、現物の国際指標であるロンドンでも同じく11年に付けた史上最高値を更新してきている。

斯様な状況で国内でも金地金の方も小売り価格が消費税導入前の80年代以来約40年ぶりに最高値を更新して来たが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の金融緩和拡大で米など実質金利が過去最低となったのを背景にドル安が進行、加えて直近ではEU首脳が難航していた7500億ユーロの復興基金で合意しユーロ高が進行した事もこれに拍車をかけている。

上記の通りの各国の金融緩和拡大から世界中で金利がほぼ消失している折、金利が付かないという金の弱点解消が囃されるのには十分な局面か。思えば新型コロナ第一波の時に全部安の如く一緒くたに売られた場面も絶好の拾い場であったが、上記ドル安以外に米中対立深刻化などの地政学リスクも燻り代替資産たる金への資金シフトはまだ暫く衰えそうにもないか。


土用の丑2020

さて本日は土用の丑の日、土用の丑といえばウナギだがこれまで当欄でも度々取り上げた不漁で高騰していた様が今年は国内稚魚の漁獲が6年ぶりに過去最低を記録した昨年から約5倍に増加した上に、中国や台湾などの東アジア全域でもよく獲れている事を背景に末端価格もやや落ち着きを見せた事でその商戦が近年になく活況を呈している旨が彼方此方で報じられている。

確かに今年は各社共に立派なパンフが用意されいつになく早くから予約を募っていた感もするが、漁獲量漁の減少と共にウナギの卸値も毎年の如く高値を更新し蒲焼もウナギならぬ秋刀魚や穴子、はては茄子や蒲鉾を加工したものまで登場したり近年ではパンガシウスなどの珍魚?にまで転用が進んだものだったが再度ウナギのみ並ぶ昔の光景がスーパー等で戻って来たか。

ところでウナギの一服は斯様に一安心だが、一方でウナギの転用にまで使われた上記のサンマが昨年は漁獲量が過去最低を記録し豊洲では真鯛を上回る値が付くなど珍現象が見られたが、今年も先の初セリではこれまでの最高値を更新するなど凡そ慣れ親しい大衆魚のイメージから離れつつある。

国際自然保護連合より絶滅危惧種に指定されるほどのウナギはまあまあ諦め?がつくが、王道の秋の味覚サンマも昨今のこんな背景で乱高下が目立ってきたのは穏やかでない。そういえば秋の味覚といえばマツタケも今月にIUCN(国際自然保護連合)のレッドリスト最新版にて新たに絶滅危惧種として初めて記載される事になるなど日本人の味覚がまたも遠のく気配だ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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