オミクロンバブル?

周知の通り南アで新たに見つかった新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」だが、WHOは早々にVOC(最も警戒レベルが高い懸念される変異型)に分類することとなった。緊急事態宣言が全国で解除され、客や旅行者が徐々に回復しつつあった飲食店や観光地も水際対策の強化で再度冷や水を浴びせられた格好になる。

当然ながらマーケットも典型的なリスクオフ相場ということになり先週末に続いて週明けの日経平均も大幅続落の憂き目に遭っていたが、この辺は暗号資産もまた然りで代表格のビットコインなど先週末には8%超の下落を演じていた。そんな中でこれまで殆ど表舞台に立った事の無い暗号資産「オミクロン」が、その名が今回の変異株と同じという話題性だけで26日の約70ドルからその2日後には700ドル超と10倍以上の大化けを演じていた。

まるでネトフリの人気ドラマ、イカゲームのブームに乗った詐欺的?なイカゲームコインの異常な急騰を彷彿させるが、まさに暗号資産マーケットのバブル的状況を示す非合理性の最たるものともいえる。何れにせよ来年早々には北京五輪も控えこの辺にも影響してくるのか否か先ずはこの変異株の明確なデータ待ちというところだろうか。


企業とジェンダー

さて、今年の9月に当欄では歌手の島谷ひとみ氏が新型コロナウイルスの抗原検査サービスを手掛ける非上場の株式会社Checkの社外取締役に就任した件を取り上げた事があったが、先週は女優のいとうまいこ氏が不動産テック事業を展開する株式会社タスキの社外取締役に就任する見通しとの報道があった。

こちらは昨年マザーズに上場した企業となるが、女優の上場企業社外取締役といえば東証一部の不二家の社外取締役に就任した酒井美紀氏も記憶に新しいところ。有名人の社外取締役就任は斯様に話題にはなっているが、過日の日経紙では女性や外国人の取締役が主要上場企業の5割で入っていないなど上場企業で取締役の顔ぶれの多様化が遅れている旨の記事が一面を飾っていた。

同頁には欧米では主力の指標となっている米S&P500株価指数や英FTSE350種総合株価指数の構成企業で女性取締役の居ない企業は無く、いずれも取締役総数の3割を女性が占めている旨が書いてあったが、ジェンダーに関する配慮がビジネスにおいてもはや常識となっている証左で本邦との差が浮き彫りになっているだけに今後も世界標準に倣う動きが一層促進されて来ようか。


急展開二様

さて、本日に予定されていた新生銀行の買収防衛策の発動の賛否を諮る臨時株主総会だが、直前に突如としてこれを中止するという突然の幕切れとなった。およそ2割を保有する政府が発動に賛成しない方針と伝わっていたのが背景にある模様だが、銀行初の敵対的TOBは幕切れという事になりSBI傘下入りの公算が大きくなった。

TOBといえばもう一つの注目案件、H2O傘下の食品スーパー2社との経営統合を巡る関西スーパーマーケットの方は、一度はTOB提案を取り下げたもののこれに疑義ありとし食品スーパーのオーケーが差し止め請求していた件で神戸地裁は今週はじめにこの訴えを認める仮処分決定をしている。前回取り上げた際に司法に委ねられる事になると先行きは混沌と書いたが、一先ず司法が待ったをかける事態となった。

司法が介入し仮処分決定となったケースは過去にも三菱UFJ等のメガバンクやライブドアとフジテレビの戦いでも記憶に新しいところだが、ともあれこれを受けて昨日の株価の方は差し止め請求と伝わった翌日に続く2度目のストップ高を演じ、今後はこの状況下でホワイトナイト探しに走るのかはたまたH2O側もTOBに切り替えるのかどうかというところか。

しかし新生銀行も複数の議決権行使助言会社からお墨付き?をもらい、一点の曇りも無く全く問題無いと主張してきた関西スーパーマーケット共々絶対の自信を表明していただけに当事者としてはとんだ誤算の展開だろうが、何れにしろ公的資金が絡む前者も今後いかに企業価値を上げられるか、また後者も如何に株主の承認を得られるかが焦点となって来るか。


FridayからMondayへ

さて、今週金曜日に本番を迎える大型商戦「ブラックフライデー」を前にネット系大手など先週からいち早くこれをスタートさせていたが、イトーヨーカドーやイオン等の大手も新聞の折り込みチラシなどでこのブラックフライデーを全面にPRしている。セール内容として特にこれといった目新しさは無いものの、米国のシーズンセールに倣って名前だけでも乗ろうかというこの商戦も今年は出足から好調な模様だ。

上記のイトーヨーカドーなど去年の2倍となるセール商品をラインナップし、発祥といわれる玩具のトイザらスのアクセス待ちは一時45000人にも達しスタートから1時間の売れ行きは去年の数倍以上にも達するなど購買意欲の高まりを感じるものとなっている。背景にはコロナ禍の緊急事態宣言でこれまで叶わなかった消費熱が、ブラックフライデー等の大々的セールを機に購買意欲が刺激されている事など所謂リベンジ消費に因るところが大きいか。

このブラックフライデーの本場、全米小売業協会の年末商戦の予想では過去5年平均の約2倍以上の伸びが見込まれている模様だが、このブラックフライデーが終れば今度は12月のサイバーマンデーが控える。これらホリデー商戦の行方を占う試金石となるだけに先ずはその動向に注目というところか。


二つのレガシー

さて、先週末の日経紙地方経済面では「五輪閉幕後も広がる輪」と題し、東京五輪・パラリンピックで活躍したボランティアが大会後も活躍の場を広げ、ホストタウンだった自治体も独自の登録制度を続けるなど五輪で生まれたボランティアの輪をレガシー(遺産)にしようとしている旨の記事があった。

ところで東京五輪・パラリンピックのボランティアに絡んでは、一方で道案内を担うはずだった都市ボランティアのユニホーム約2万8千人分が余っていた事も同じ日の日経紙が報じている。大会の延期やコロナ禍での事態が相次いだ事が背景になっているが、税金で購入されたその調達額は全体で17億円超となっており各所でこの活用法に苦慮している模様だ。

さて宴の後のナントカではないが更に大きな問題としては、世界にお披露目を果たした総額約1600億円もの公金を投じて新設された国立競技場もこれから年間24億円もの維持費が現実問題として重くのしかかる。これ以外にも各選手が大活躍した東京アクアティクスや有明アリーナなど、東京都が約1400億円もの巨費を投じて新設した計6か所の恒久施設も辛うじて黒字が見込める有明アリーナを除いては赤字運営の見通しという。

一般に五輪の開催国負担は重大災害に匹敵するといわれているが、今回の東京五輪もコンパクトを謳った割には誘致当初の見積もりから実に3倍近い増額という結果になった。華々しい選手の活躍を改めて思い出す頃、冒頭の通り五輪で生まれたボランティアの輪をレガシーにしようという動きの裏で斯様な負のレガシーともいえる問題も現実化してくる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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