3ページ目

名門のキッチンカー

先週のゴールデンウイーク期間中に、東京国際フォーラム敷地内にて他のキッチンカーに交じって久し振りに帝国ホテルのキッチンカーが出店していた。帝国ホテルのキッチンカーといえば食事のテイクアウト需要の高まりを背景に昨年秋口から此処にお目見えし、確か今年の1月くらいまで出店していた記憶があったが再登場というはこびか。

一般の会社勤めの向きには商談以外では普段使いでなかなか気軽に利用し辛い帝国ホテルの味が気軽にランチで味わえるワケだが、キッチンカーといえばこの帝国ホテルに先行して東京会館も早くから丸の内界隈で展開している。こちらも伝統の正統派フレンチのレシピで作られたカレーやフリカッセ等々、こちらも普段使いのランチでは一寸ハードルの高い同レストランの味が安価で気軽に味わえる構図だ。

こうしたテイクアウトの利用を切っ掛けとしてホテル等の利用へも繋がればとの思惑もあるだろうが、一昔前では帝国ホテルや東京会館のレストランで提供されているメニューが路上でテイクアウト出来るなど想像も出来なかったものだ。昨日書いたホテルのサービスアパートメント然りでコロナ禍を期に新たな試みが加速しているが、今後も斯様に新たな価値を生み出す動きが続くのは想像に難くないか。


ホテルに暮らす

さて、ゴールデンウイーク前にはホテルニューオータニからGW限定プール&ステイの案内が来ていたが、此処は先月末にも日経紙夕刊のホテルレストラン公告特集でサービスアパートメントの募集広告を載せていた。このサービスに関しては当欄でも約1年前に先陣を切った帝国ホテルを取り上げていたが、インバウンドにかわる新たな顧客を獲得すべく他のホテル各社も長期滞在型に活路を見出している。

帝国ホテルと共に「ホテル御三家」であるこのホテルニューオータニが新規展開したサービスアパートメント事業だが、既存客室を長期連泊向けに改造し大容量冷蔵庫やドラム式洗濯機・ミニキッチンを備え、浴室には檜風呂を備えたスイートルームは30連泊から利用可能で料金は約280万円。他に冒頭広告の30泊36万円や6泊15万円から泊まれるリーズナブル?な客室などニーズに合せたプランをラインナップしている。

先駆けの帝国ホテルも更に事業を拡大し、タワー館の約350室全てで長期滞在が出来るようにしている。斯様な長期滞在用の客室稼働率は事業開始以来、およそ8~9割の高い水準で推移。ホテルニューオータニも元々長期滞在プランはあったが予想以上に旅行に行けない向きの利用客があり、去年の連泊の予約数はコロナ前2019年の約5倍に及んだという。新たな市場の存在が改めて再確認され、長期滞在が安定的収益を齎すようになってきた事で今後これらの形態が拡大してゆくかどうかこの辺も興味深い。


皐月の値上げ

恒例となった月替りの値上げメニューだが、今月は明治がミルクチョコに果汁グミやアポロ、それにレトルトカレーを約3~11%値上げ、またコカ・コーラは一部を除き大型ペットボトル商品を約5~8%値上げ、キッコーマンはケチャップを約3~10%、デルモンテ飲料を約5~10%値上げする。

また外食では2日から松屋が定食の一部メニューを値上げしているが、身近なところではローソンの看板商品でもあるからあげクンも月末から値上げの予定となっている。からあげクンは発売以来、36年間一度も値上げをしなかったが、そういえば創業以来一度も値上げをしなかった回転寿司最大手のスシローも先週に秋から税抜き一皿100円を終了すると発表している。

このスシローの発表を受けF&LC株が日経平均続落のなか急反発となっていたが、川上からの値上げを小売価格になかなか転嫁出来ない国内需要依存型の食品や小売り等の中でも株式市場では値上げに踏み切った企業への評価が高まっている。値上げが通り易いBtoBの業種は好調だが、今後何所まで川下系の価格転嫁が進むかこの辺を注視しておきたいところ。


鎖国ニッポン

ゴールデンウイークも終わり今日から通常の日々が戻りヤレヤレという向きが多いと思うが、3年ぶりに行動制限の無かった今年は各交通機関で去年を大きく上回る予約状況を記録した模様だ。新幹線は東北線で前年比200%、東海道線で同239%と何れも去年の2倍以上に、空の便の方は国内線予約数がJALで約2倍、ANAで約1.5倍と大きく増加し各地での賑わいが連日報じられていた。

また国際線の予約数もJALで昨年の4.2倍、ANAで去年の5.6倍と急増した。特にツアーが再開となったハワイが寄与し人気だった模様だが、マスク無しで繁華街を闊歩できる解放感を満喫する一方でゴールデンウイーク前の当欄で書いた通り大幅な物価上昇の波に加え、この20年ぶりの円安のダブルパンチでアクティビティやら買い物やらに散財するいつものテンションも自粛モードになった向きも多かっただろうか。

そうなるとちょうどこの逆もまた然りで、政府の水際対策強化の悪影響がこのタイミングでクローズアップされ、鎖国状態が続く日本は商機を逸している感は否めない。そんな危機感もあってか政府は6月をメドに外国人観光客の新規受け入れ再開の調整に入り、これを受けた先週末の株式市場では早くもインバウンド関連が動意づいていたが、内需回復の決め手ともなるだけに円安で稼ぐ力を生かせるような環境整備が喫緊の課題だろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2022

5

1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31