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対話力

注目された先週のFOMCだったが、周知の通りFRBは0.25%の利上げを決めた。これで利上げ幅は2会合連続で縮小し通常のペースに戻った。一方で欧州も英イングランド銀行が前回同様の0.5%の利上げを決定、更にECBも前回同様0.5%の利上げを決定した。これで3中央銀行の金融政策が出揃ったが、CPIの鈍化の違い等を背景に欧米で違いが出てきた。

さて中央銀行といえば目下のところ本邦では日銀人事が話題になっている。10年間にわたりトップを務めた4月に任期満了を迎える黒田総裁の後任について政府は人事案を2/10に国会に提出する方向で調整しているが、民間エコノミストの予想でも票が一番多かった副総裁の雨宮氏に早くも政府が就任を打診した事が一部で報じられている。

総裁人事に関して政府はコミュニケーション力を一つの重要な要素としていたが、確かに昨年末の唐突な長期金利上限引き上げサプライズなど市場との対話を軽視しているとの批判があった。新総裁のもとで金融政策はどうなるか?先ずは副作用が大きいYCCは修正の方向へ向かうとの指摘が多いが、いずれにせよ如何に金融市場に配慮しながら上手く正常化出来るか、中央銀行のマーケットに伝える力が今後より重要になってくる。


文春並みの投資会社

ここ最近の回転寿司店を巡る迷惑動画でスシローを展開するFOOD&LIFE COMPANIESの時価総額が一連の報道を嫌気し一時約170億円減少した云々と喧しいが、こんなモノではない実にグループ時価総額の約半分が失われたと話題なのがインドの新興財閥アダニ・グループだ。米投資会社のヒンデンブルグ・リサーチが不正会計疑惑を指摘したのがきっかけになっているが、中核会社の公募増資が撤回を迫られるなど窮地に立たされている。

この手の空売りを仕掛け企業の不正や疑惑の告発で株価下落を狙う手法の投資会社は以前からあり、当欄でも7年前に日本市場に参入し第一弾として伊藤忠商事に矛先を向けた米グラウカス・リサーチ・グループや、日本電産を狙った米マディ・ウォーターズ・キャピタル、また共に会計処理に疑義があるとしてSMCを狙ったウェル・インベストメント・リサーチ等を取り上げたことがあった。

他にもサイバーダインの割高を指摘した米シトロン・リサーチなど幾つも出てくるが、このヒンデンブルグ・リサーチもこれまでの実績?として新興EVの米ニコラやローズタウン・モーターズの問題を指摘しニコラはその株価が半値に暴落し会長は投資家を欺いた罪で有罪にもなっている。

狙われた企業はたまったものではないが、彼らも物言う株主の村上ファンド等と同様にコーポレートガバナンスコードを背景に企業に是正を促す切っ掛けを与え緊張感をもたらしているという点である意味同類か。とはいえこの騒動、印中央銀行が国内銀行に対しエクスポージャーの報告を求め始めるなどインドの金融システム全体に影響が及ぶリスクも懸念されておりしばらくはこの動向から目が離せない展開か。


南南東

明日は節分。今年の恵方巻き商戦の様子は先週書いた通りだがもう一つ、この節分を前に大手雑貨チェーン「3COINS」では先月販売した子ども向け節分グッズ、トラ柄の鬼のセットアップや恵方巻になれる?ベストから鬼のこん棒に鬼のウィッグまで多くのアイテムを展開したKIDS節分なる商品に大勢の客が殺到し店内が阿鼻叫喚の騒動になった件が物議を醸し出していた。

さてその物議は地獄絵図となった当該店舗だけにとどまらず、これらの発売日と同時にこの争奪戦となった戦利品?が早速ネット上でフリマサイトにラインナップされ、例えば上記の鬼のセットアップなど定価が550円のモノが10倍の5500円という法外な値段で出品されるなど、毎度転売ヤーの醜い行為が露わになった。

ところで転売ヤーといえば先月に惜しまれつつも会社を廃業した佐久間製菓の「サクマ式ドロップ」も依然としてネット上では定価の何倍もの法外な値段で出品されている。スリコの鬼グッズと共に商材にされているワケだが製造元は方や廃業、方や飛ぶ鳥を落とす勢いの成長産業と明暗を分ける。とはいえこの度の廃業も新陳代謝が遅いと言われて久しい中では評価されるべき価値のある英断ともいえるか。


二月逃げる

今日から二月逃げるの如月入り。先月に書いたように今月は22年以降で2番目に多い規模となる5000品目以上の食品類の値上げが予定されている。特に冷凍食品など加工食品が多く値上げされ、本日納品分からニッスイが家庭用や業務用の冷凍食品を約6~25%値上げするほか、ニチレイフーズも同じく家庭用・業務用の冷凍食品を約5~25%値上げする。

他にも本日納品分からマルハニチロが家庭用・業務用食品、永谷園はふりかけ、カゴメはトマトケチャップ、山崎製パンはランチパックなどを1年ぶりに再値上げし、菓子・スナック類では大塚製薬がカロリーメイトやSOYJOY等を初の値上げ、江崎グリコはポッキーやパピコを、飲料類では雪印メグミルクが家庭用乳飲料や果汁飲料等、アサヒ飲料はエナジードリンクのモンスターを、メルシャンはワインや梅酒などを値上げする。

また値上げの波は生活用品にも及び、日本製紙クレシアは本日出荷分からティシュやトイレットペーパーなど家庭向けの紙製品を全て15%以上値上げする。ガソリン補助金上限も年明けから段階的に引き下がるが、一方で東電など大手10社の電気料金や都市ガス料金など2月請求分から政府の物価高騰対策の補助金で値下がりする。とはいえ東電は約3割の値上げを国に申請中、政府が製粉会社等に輸入小麦を売り渡す価格の改定も今後控えているだけにこれらの動向もまた注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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