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経営者が占った2023年

今年の株式市場は能登半島の被災者に捧げる黙とうで始まり、取引の鐘も鳴らさないという異例の大発会で3日続落でのスタートとなったものの、先週は2,000円以上も値を上げ週明けの本日も続伸し5営業日連続でバブル後の最高値を更新、約34年ぶりの高値水準と辰年らしい登り龍の様相となっている。そこで今年もまた新春恒例の日経紙「経営者が占う」シリーズで株式市場を振り返ってみたい。

昨年の日経平均の高値予想平均は31,200円でその時期は9割以上の向きが10~12月との回答であったが、時期は大方の予想通りとなり値段も予想平均を2,600円以上上回る好パフォーマンスとなった。一方で安値平均予想は25000円台でその時期は3月を挙げる向きが多かったが、こちらは結局大発会が安値となったことで平均25,000円台に当て嵌まった格好になった。

今週の日経紙投資情報面では「注目銘柄2024」と題し、個別の有望銘柄を順に取り上げているが、こちらの1位に昨年選ばれたのはソニーG、一昨年は3年連続でトップに選ばれながらも40%以上の下落の憂き目に遭ってしまったが、昨年は大発会の10,120円から6月高値の14000円台示現まで約40%の上場と面目躍如となった。

さて今年の経営者各氏の予想はというと、日経平均高値の平均は約37,900円で年末高を予想する各氏が多く、安値予想の平均は31,250円でこちらは逆にその時期は1~3月を挙げる向きが多かった。有望銘柄は3年連続トップだったソニーGが4位に沈む一方で昨年2位だったダイキン工業が今年はトップに。昨年3位だったトヨタ自動車も5位に沈んでいる。

また今年は日経平均の史上最高値を塗り替える予想を挙げる経営者も散見されるのが印象的だったが、証券会社団体の年初の集いでは野村、大和、SMBC日興の大手三社のトップが揃って4万円台の大台を示し万年強気にも一層拍車がかかっていた。ただ昨年は東証のPBR1倍割れ是正要請や経産省の買収における行動指針が出て市場は様変わりの様相を見せており、昨年が水準訂正第1弾だとして次のステージで何処まで更なる水準引き上げが叶うか、今年も市場の新陳代謝から目が離せない。


世界10大リスク2024

今週は国際政治学者のイアン・ブレマー氏が率いる米調査会社ユーラシア・グループが、年初恒例の「世界10大リスク」を発表している。昨年の1位は「ならず者国家ロシア」であったが、今年の1位には「米国の分断」を挙げている。11月の大統領選に向けて国内の政治的分断は悪化し、米国の民主主義がこれまでになく試される年になるとの予測だ。

成程、今年は大発会の日にも書いた通り世界規模で史上最大の選挙イヤーである。今週の台湾総統選を皮切りにして、来月のインドネシア大統領選、そして3月には昨年1位に挙げられた「ならず者国家ロシア」でも出来レース?の大統領選がある。このロシアも米大統領選でバイデン氏の再選か「もしトラ」かで命運が大きく変わって来る可能性があるが、その結果如何で世界のあらゆる問題にも大きく影響してくるであろう。

そして2位に挙げられたのが「瀬戸際の中東」、ロシアによるウクライナ侵攻もこの現代にあってまさかの出来事であったが、にわかに勃発したイスラエルとハマスの衝突も衝撃であった。いずれも今なお終息が見えないが、斯様に世界各地で落ち着いていたかに見えた紛争も活発化の可能性の高まりで世界は更なる紛争に戦々恐々とする事になってゆくのか不気味である。

また3位に挙げられた「ウクライナの事実上の割譲」もなんともやるせない感だが、この辺は上記も書いた通り米大統領選の結果次第か。そして4位にはAIのガバナンス欠如が挙げられているが、世界経済フォーラムも国際社会を取り巻く2024年の報告書にて誤情報と偽情報を短期リスクの1位に挙げている。昨年2位に挙げられた中国の不透明感も一段と増す事も予測されているが、いずれにせよ今年もまた各方面で予期せぬ事態に身構える1年になりそうだ。


今年の値上げは?

さて年が明けても巷で関心が高いのが飲食料品等の値上げラッシュの行方について。帝国データバンクによれば昨年のそれは累計で3万2396品目と一昨年の累計である2万5768品目を6628品目、率にして25.7%上回る事となった。年間で3万品目を超える水準というのはバブル崩壊以後の過去30年間でも例を見ない規模であり、記録的な値上げラッシュであったといえよう。

今月の値上げは日清オイリオのドレッシングやごま油に味の素の調味料などだが、今年の値上げで最も多い食品分野は冷凍食品類やパスタソースなど「加工食品」の2137品目で全体の約半数を占めており、次いでトマトケチャップや出汁・つゆ製品など「調味料」の784品目となっている。

そうした裏でここ数年続いた値上げラッシュに消費者の購買力が追い付かなくなり買い控えをはじめとした値上げ疲れが食品の売り上げにも影響を及ぼし始めている。食品スーパーではPBへ人気が集中、相対的に値上げ品目商品は購入個数が減少したり販売数量の減少も見られ結果、後半以降の値上げの勢いが大幅に減速する事となった。

そんなことや輸入物価の下落等を背景に24年は4月頃までは比較的抑制された状態が続くと想定されるが、昨年に進行した円安の影響や人件費などの動向次第では変化する可能性もある。サービス価格では既に後者の人件費増を反映した上昇傾向が顕著にみられるが、今後は食品分野にも波及することも想定され値上げの内容の部分の変化には要注目である。


4年ぶり1億円超え

先週から大手百貨店各社の初売り商戦が本格的に始まっているが、新型コロナの5類移行後で初めての正月ということで今年も各社共に好スタートをきっている。三越伊勢丹は1月2日~3日の売り上げが主力3店累計で前年同期比2%増加、高島屋も同6.4%増加し大丸松坂屋も同期間の売り上げが前年を上回り、初売りを今年から1日遅らせた松屋銀座では3日だけで昨年1月2日~3日の8割を超える水準を確保した模様だ。

これらを牽引しているのは国内富裕層に加えやはりインバウンド客によるところが大きいか。免税カウンタ-の混雑は円安の恩恵を物語っているが、国内百貨店の昨年7~1月期の免税売上高は過去最高を更新しており昨年のインバウンド全体の消費額は5兆円とも試算されたが、大手生保系シンクタンクでは今年はそれを上回る6兆円に達する可能性を指摘しており今年もこの辺はインバウンド客にかかっているといえようか。

ところでこれと並ぶ年初の風物詩、マグロの初競りも先週末に豊洲市場で行われたが4年ぶりに一番マグロの値段が1億円を超える結果となった。昨年も一昨年の値から約2.1倍とコロナ禍以降では最高額だったが、今年は更にその3倍を超える値がついたことになる。注目の競り落とした向きは今年もまたすし店経営の「ONODERA GROUP」と仲卸の「やま幸」であった。

彼らが一番マグロを競り落とすのはこれで4年連続となった。今年は上記の通り4年ぶりの1億円超えだったが、思い起こせばマグロの初競りにおいて初の1億円超え落札を演出したのは言わずもがなあのすしざんまいの「喜代村」であった。豊洲移転直後の史上最高値3億円超えの歴史を作ったのも喜代村であったが、代名詞的存在であっただけにまたどこかで返り咲いてほしいものだ。


辰巳天井

能登半島地震につきまして
2024年1月1日に発生いたしました能登半島地震で被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復旧をお祈り申し上げます


皆さま、あけましておめでとうございます
本年もどうぞよろしくお願いいたします

本日の大発会は3日続落でスタートをきった。昨年の大発会の当欄では「今年の干支は卯。相場格言では「卯跳ねる」と昨年に続き勢いは良さそう」と書いていたが、日経平均の大納会の終値は前年末比7369.67円高の3万3464円17銭と2年ぶりに前年を上回り、年末株価としてはバブル経済期の1989年以来34年ぶりの高値となった。年間での上げ幅は89年以来の大きさとまさにウサギも跳ね過ぎた印象が強い。

ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化など地政学リスクに翻弄されながらも、新型コロナイルスの5類移行で経済活動が回復したことに加え、外国為替市場で円安・ドル高が加速し輸出企業などの業績が上向いたことも株価の援軍になったか。というワケで今年だが、干支では辰。相場格言では「卯跳ね、辰巳天井」といわれ、跳ねた卯年の後の辰年と巳年は高値をつけるとされている。

実際のところ過去の辰年の日経平均の平均年間騰落率をみると、戦後の辰年は4勝2敗で十二支の中でも最もパフォーマンスが良くその上昇率は27.9%を誇る。ウサギが大きく撥ねたので大手証券関係者は何処も超強気で、先の大納会値にこの平均上昇率を乗じた計算で今年は日経平均史上最高値である38915円87銭を更新し史上初めて4万円の大台に乗せるとの予測も多く聞かれる。

とはいえ今年は世界規模の史上最大の選挙イヤーでもあり、冒頭の通り昨年のウサギは卯年の過去平均の倍近く上昇と跳ね過ぎた感も強くそう期待通りに事が運ぶか否かだが、斯様に兜町界隈から株価の強気な数字が並ぶなか今年は新しく「新NISA」制度がスタートする。『貯蓄から投資へ』の流れが大きく加速する象徴的な年となり相場格言通り高パフォーマンスで高値を付けに行くのかどうかこの辺に注目したい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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