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基準地価2024

本日の日経紙第二部にみられる通り恒例の国土交通省がまとめた今年7月1日時点の基準地価が発表されている。全国では住宅地がプラス0.9%、商業地がプラス2.4%、全用途がプラス1.4%といずれも昨年に続き3年連続での上昇となり、その上昇幅も拡大していた。そんな中にあってやはりというか下落率が大きかった10地点は住宅地・商業地共に全て能登半島地震の被災地となっている。

対して住宅地の上昇率上位10地点は沖縄と北海道と南北両端で占めることとなり、住宅地1位は沖縄恩納村の29%アップであった。また商業地では台湾の半導体メーカーTSMCの工場進出で昨年トップの熊本県・大津町が今年も1位で33.3%の上昇となりこれを含め上昇率トップ3を今年も熊本勢が占めていた。ちなみに全国最高額地価は不動の19年連続、「明治屋銀座ビル」で1平方メートルあたり4210万、昨年から200万ほど上がった。

そういえば当欄では先週末に「グラングリーン大阪」を取り上げたが、うめきた再開発の一期地区にあるグランフロント大阪南館は大阪圏で1位、全国でも6位になっていた。このグラングリーン大阪の先行開業で更なる活況が期待されるが、先にも書いたようにビジネスの集積地ともなり、関西万博も控えインバウンドの視点から見ても有利になって来るだけに今後も引き続き注目としたい。


経済効果と経済損失

連休明けの今日もまた9月とは思えぬ暑さであったが、週明けの日経紙社会面でも「猛暑いつまで?」と題し今週の気温も平年よりかなり高くなり猛暑日となる地点もある見通しとの旨が出ていた。気象庁によれば今年6~8月までの夏の全国平均気温は平年比で1.76度高く、統計のある1898年以降これまで最高だった去年に並び最も高いタイ記録だったことが報じられている。

猛暑といえば7月末に当欄で猛暑対策展のイベントを取り上げた際に「一部シンクタンクでは夏の平均気温が1度上がる毎に2600億円程度の押し上げ効果があるとし、今月の平均気温は平年より2度ほど高いといわれている事で5000億円近い押し上げ効果で消費の盛り上がりが期待出来るという。」と書いたが、こうした経済効果の逆で経済損失に関しては例えば農作物への影響が今後5年間で5兆ドルの損失という試算や、暑さによるストレスの影響で生産性が落ち2030年度には2兆4000億円の損失という負の予測もある。

気象庁は異常気象分析検討会を開き平年に比べ突出して高温になったのは長期的な地球温暖化の影響や海面水温の上昇など複合的な要因があったとしているが、地球温暖化対策に関する多国間の国際的な枠組みのパリ協定では産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える目標を掲げている。この産業革命以前の基準とされる1850年~1900年の平均気温の推定値と過去1年の平均気温を比較するとおよそ1.64度高かった模様だ。

これに絡んでは企業による取り組みも重要になって来るが、東証プライム市場企業では既に二酸化炭素の排出量開示が企業に実質義務付けられている。気候変動リスク分析には煩雑な事務作業の手間が発生し、CO2の排出削減に寄与する事が企業価値が本当に向上することになるのか否か明確な答えは出ていなく、先に当欄で書いた「再生エネの建前」というような事例もあるものの、投資家にとっては企業選別において一つの重要な判断材料になるだけに現実と向き合いながら各々の取り組みを進めてゆくことが要求されるか。


大阪最後の一等地

私事だが先月に「グランフロント大阪」で開催されたイベントの応援のためそれこそ10年以上ぶりに大阪に行ってきた。久しぶりに歩いた梅田の街並みは懐かしくKITTEなど新しい商業施設等も出来ていたが、新しい商業施設といえば先週末にはこのグランフロント大阪の目と鼻の先に「グラングリーン大阪」が先行開業しており、日経紙でも大々的な全面広告が出ていた。

このJR大阪駅北側の“うめきた”は大阪の最後の一等地といわれているが、広大な公園の南北を挟む形で北街区には商業施設やホテルが、そして南街区にはオフィス等が入り総事業費は6000億円という。これら様々な機能がそれぞれ有機的に結びつき街全体が盛り上がる姿を目指しているというが、そういえば都市戦略研究所が発表している「都市特性評価」では4年連続で大阪市が1位だったのを思い出す。

このランキング、交通アクセスのよさや経済力が評価されてのものだが、一方で大型オフィスの少なさやホテルの少なさは否めずそういった事で東京一極集中も長年目立っていた。今回はこの辺の課題を埋めてゆくもので、オフィスエリアへは来年に塩野義製薬やクボタなど大阪発祥のプライム企業が本社を移転し、ヒルトンは日本初進出ブランドのキャノピーを開業している。

こういったビジネス空間だけでなく斯様に広大な緑地公園を中心として商業施設や観光等で国内外から人の誘致を狙う街創りは、最近の東京でも「虎ノ門ヒルズ」や「麻布台ヒルズ」に見られる通りで“都市のオアシス”を謳い都市と自然の共生がコンセプトになっている。おりしも今後は関西万博も控えており、この大阪でも自然と都市の融合を掲げた新しい街が未来に繋がる拠点になってゆくかどうか注目したい。


優等生維持も限界?

9月に入り外食などは何処も“月見商戦”が始まっているが、月見といえば本日の日経紙マーケット商品面では「鶏卵20年ぶり2割高」と題し、一般的に暑さで鶏卵が傷みやすく重要が鈍る8月に鶏卵の卸値が月間で2割上昇した旨が出ていた。8月としては20年ぶりの上昇率で異例の騰勢というが、生産調整でニワトリの淘汰が進んだところに猛暑の影響で食欲不振から産卵状況も悪くなったという。

卵といえば長年「物価の優等生」といわれてきたが、鳥インフル騒動を経て潮目が変わりここ数年、特に昨年は外食ではタマゴメニューの販売を中止、コンビニでもタマゴ商品の販売休止に追い込まれるなどもはや死語になりつつある。他にもこの部類では今年は豆腐や納豆も原材料の高騰でもはや“優等生”が維持出来なくなってきており、“おかめ納豆”で有名なタカノフーズでは全商品の出荷価格を来月以降に12%以上の値上げとしている。

しかし冒頭の卵の生産調整でついでに頭をよぎったが、週明けに書いたコメの品薄もまた政府が続ける生産調整による供給不足も原因の一つではないかとも思う。この辺も今後再考の余地があろうがそれはそれとして、上記のタカノフーズのように価格転嫁が直ぐに出来る向きはまだいいが、これが直ぐにかなわぬ向きの廃業も増加しているという。優等生扱いされてきた食品類は他にもあるがこの辺の動向も今後は要注意だろうか。


バラエティーでも金ネタ

本日のTBS系、マツコの知らない世界では「金ゴールドの世界」としてゴールドが特集されていたが、同番組で取り上げられたのはこれが初めてではなく11年前の2013年にもゴールドを取り上げていた。その当時は過去30年で金価格が今が1番高いとして紹介されていたが当時でg/約5000円、約1年前の昨年8月にg/1万円の大台を突破したあたりで再度ネタにされるとも思っていたが、ここへきて漸くの再登場となった。

番組中で示された金価格推移のグラフでは2000年代前半のg/約1300円が起点で今やそこから10倍化しているワケだが、もっと長いスパンでみれば半世紀では70倍を超えている計算になる。逆にもっと短いスパンということで今年だけを見ても金の年初来パフォーマンスは20%超となっており、主要なアセットとされる世界株や米国株をもアウトパフォームしている。

昨年10月に当欄で金を取り上げた際には国際社会分断を背景に物色の矛先が向うさまが一際不気味だと書いていたが、世界中で台頭する地政学リスクの拡大がますますこの分断を助長しドル離れで各国中銀が挙って金を積み増すさまはやはり不気味だ。こうした事も背景に上記のパフォーマンスに見られる通り米国の金利が上がる中でも上昇してきた金の輝きは一寸これまでとは違っていたが、今後は米利下げが更に追い風となってくる可能性があるだけに引き続き注目が怠れない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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