経済効果と経済損失

連休明けの今日もまた9月とは思えぬ暑さであったが、週明けの日経紙社会面でも「猛暑いつまで?」と題し今週の気温も平年よりかなり高くなり猛暑日となる地点もある見通しとの旨が出ていた。気象庁によれば今年6~8月までの夏の全国平均気温は平年比で1.76度高く、統計のある1898年以降これまで最高だった去年に並び最も高いタイ記録だったことが報じられている。

猛暑といえば7月末に当欄で猛暑対策展のイベントを取り上げた際に「一部シンクタンクでは夏の平均気温が1度上がる毎に2600億円程度の押し上げ効果があるとし、今月の平均気温は平年より2度ほど高いといわれている事で5000億円近い押し上げ効果で消費の盛り上がりが期待出来るという。」と書いたが、こうした経済効果の逆で経済損失に関しては例えば農作物への影響が今後5年間で5兆ドルの損失という試算や、暑さによるストレスの影響で生産性が落ち2030年度には2兆4000億円の損失という負の予測もある。

気象庁は異常気象分析検討会を開き平年に比べ突出して高温になったのは長期的な地球温暖化の影響や海面水温の上昇など複合的な要因があったとしているが、地球温暖化対策に関する多国間の国際的な枠組みのパリ協定では産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える目標を掲げている。この産業革命以前の基準とされる1850年~1900年の平均気温の推定値と過去1年の平均気温を比較するとおよそ1.64度高かった模様だ。

これに絡んでは企業による取り組みも重要になって来るが、東証プライム市場企業では既に二酸化炭素の排出量開示が企業に実質義務付けられている。気候変動リスク分析には煩雑な事務作業の手間が発生し、CO2の排出削減に寄与する事が企業価値が本当に向上することになるのか否か明確な答えは出ていなく、先に当欄で書いた「再生エネの建前」というような事例もあるものの、投資家にとっては企業選別において一つの重要な判断材料になるだけに現実と向き合いながら各々の取り組みを進めてゆくことが要求されるか。


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