米ETFの強み

本日の日経紙グローバル市場面には「ETF、世界で流入最高」と題し、世界のETF(上場投資信託)への資金流入額が昨年は1兆5400億ドルと前年比で85%増加し3年ぶりに過去最高を更新した旨の記事があった。中でも米国の一強は鮮明で、昨年は現物ビットコインETFが承認された事もあり流入資金のうち7割が米国に上場するETFとなった。

昨年11月には当欄で米ビットコインETFの資産規模がゴールドETFの3分の2水準まで迫ってきている旨を書いていたが一強とされる米市場の魅力はその商品の多彩さにもあり、この辺では先月には期限が1日のゼロデーオプション等を組み入れたカバード・コール型のETFやリクイディティーの低い数百の融資債権に分散投資するETFなども取り上げている。

他にも昨年はマグニフィセントセブン等の大手テック株の台頭を受け、米ではシングルストックETFの商品数も拡大し取引高も増加した。同ETFは個別1銘柄の値動きをベンチマークとしたETFで2倍までのレバレッジをかけられるが、ボラが倍という点で信用取引とも似ているが仮に相場が読みと逆に動いたとしてもマル信のように追証や強制決済も無く、元本そのものがマイナスになる事態にはならない点で異なる。

ETFといえば日本でも昨年は6月に日経半導体ETF、また12月にはサウジ株ETFが上場しており、今月に入ってからは世界を代表する米テクノロジー企業10社に均等投資するETF「iFreeETF FANG+」も上場している。ただ上記のETFに見られる“攻めた”商品という点では腕に覚えのある投資家は今一つ食指が動かぬ点は否めないだけに、指数だけでなくシングルストックのようなマル信代替となるような商品拡充も望まれるところだ。


牛歩

周知のように日銀は先週に開いた金融政策決定会合で政策金利を0.25%から0.5%への引上げを決定している。利上げは24年7月の会合以来で政策金利は17年ぶりの水準に乗せることとなるが、この昨年の会合では市場からサプライズと受け止められあの令和のブラックマンデーのトリガーとなった反省を踏まえ今回は会合前の講演等で利上げに向けた地均しが奏功?したか株価は横這いとなり影響は軽微に終わった。

横這いといえば為替もまた然りで公表を挟んで一時円高に振れる場面があったものの、ほどなくして元の水準に戻りこちらも総じて横ばい。利上げ決定でも横這い、利上げ見送りなら円安進行という構図は典型的な売り相場になっている事を物語っており、実際ここまで日本の利上げに米の利下げで両者の政策金利差は縮小してきているものの足元のドル円相場はマイナス金利解除直前の150円水準より円安は進行してしまっている。

日銀は賃金と物価の好循環を謳いここ肯定的に捉えているが、現状日本は食料自給率やエネルギー自給率において前者は40%弱、後者は10%そこそこという構図から今の円安による生活コストの上昇で苦しんでいる向きは多い。日銀は物価の番人としてこれをいかに適切にコントロール出来るかが問われているが、先に書いたように物価目標未満のところで中途半端な利上げを続けることになると物価の番人としてのスタンスが疑問視される。

また賃金といえば一部外資系証券では年平均ベースで1ドル157円を超える円安になると実質賃金の上昇が難しくなるという試算がある。今の水準からわずか1円そこそこでこれに抵触してくるわけだが、上記のような構造的な円安素地に加えトランプ氏の関税政策如何によってもこのトレンドが加速する可能性も秘めてるだけに、不確実性に備えながら為替を睨み適切なタイミングでの利上げ決断が今後ますます求められようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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