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TAX裁定

さて、昨日も書いたようにファンド勢の金売り鮮明化で今週は週明けのニューヨーク市場時間外取引で金相場が1トロイオンス1,050ドル近辺まで下落、COMEXでは中心限月が約5年10ヶ月ぶりの安値まで沈んでいる。FRBによる年内の利上げ観測の強まりで、利息が付かなく米ドルの代替投資先である金の需要が弱まるとの見方からなかなか底が見えてこない。

ところでこの金といえば、直近では先月下旬に韓国から下関港にフェリーで到着した活魚運搬車から20キロの金塊が見つかり運転手の男が関税法違反の疑いで逮捕された旨が報じられている。昨年4月の消費税率引き上げ以降は、斯様に海外で手当てした金を売却して消費税分のサヤを抜こうとして摘発された密輸件数が前年の22倍となったという。

さてこれで思い出したのは5年くらい前の関空で見つかった密輸事件で、これまた利ざや狙いで韓国から日本へ金地金の密輸を謀ったものであった。当時は特に付加価値税と関税合せて13%の還付、加えて国内での売却で消費税5%(当時)もゲットし計18%をそっくり抜こうというもの。

他にも香港やらオーストラリアからの摘発例も昔からあったが、時が過ぎて消費税率が変れど悪知恵の働く連中のスキームは不変。しかし国内だけでも消費税アップに乗じ価格変動リスクを考慮しなければ正当?に上昇分だけの鞘抜きが出来る云々の話もかつて喧しかったが、更にもう一歩踏み込む悪知恵のセンスといたちごっこはまだ続くというものだ。


プラチナハンティング

本日の日経紙マーケット面には「ファンドの金売り鮮明」と題して、CFTC(米商品先物取引委員会)が公表した先月末時点のニューヨーク市場でのファンドの買い越し幅が前週に比べて半減し10年ぶりの低水準になった件が出ていた。

また同じ貴金属のプラチナも1日には1トロイオンス840ドル前後と約7年ぶりの安値圏となり、こちらの買い越し幅も前週比で19%減の18,426枚となったものの金より大きい旨も出ている。この辺はプラチナ相場が底値になっているとみるファンドの存在があるとの指摘だった。

さて、このプラチナといえば国内でも価格下落による割安感から個人投資家向けの販売量が過去最高水準に達した旨も先に伝えられている。ちなみに大手の田中貴金属では1〜9月の販売量が前年同期比3.6倍にまで膨らんだと報じられているが、VWショックも重なり工業需要減退が言われる対で投資需要が伸びつつある背景には斯様な逆張り本邦勢の存在も寄与する部分が大きいか。


限日好調

昨日の日経平均は続伸し8月末以来の19,000円の大台を一時回復し約2ヶ月ぶりの高値をつけたが、2ヶ月ぶりの高値といえば金相場もまたこの日は東京商品取引所で2ヶ月ぶりの高値水準となっていた。ドル建て金がこのところ底堅い推移となっていたこともあるが、やはり円安効果が大きいか。

さて、金といえば5月に上場した金の限日取引「東京ゴールドスポット100」は、この日建玉が初めて7万枚を超え、プラチナを上回りオプションを除く上場17品目のなかで金に次ぐ規模になった模様だ。またこの「東京ゴールドスポット100」、先週22日には初めて50枚のEFP(先物と現物の交換)による取引も成立している。

斯様にこの東京ゴールドスポット100の好調に加えて今年は原油もETF絡みの賑わいも寄与し、東京商品取引所の4-9月期の連結最終損益は前年同期の2億7777万円の赤字から2000万円程度の黒字になった模様。緩やかに業績は改善傾向を見せつつあるが、このまま売買減少に歯止めがかかり固めに入るのかどうか引き続き注視しておきたい。


販売量急増貴金属

本日の日経紙マーケット面には「プラチナ2ヵ月ぶり高値」と題し、ファンド筋のショートカバーから指標となるニューヨーク先物相場が昨日時間外取引で1,010ドル台の動きとなり、直近安値の10月初旬に比べて100ドル超高い水準まで戻りを入れている旨が載っていた。

ところでこのプラチナといえば先週末の同紙でも田中貴金属工業が今年の1月から9月のプラチナ販売量が前年同期比で3.6倍の9,891キログラムに達し、既に昨年の年間販売量の2倍以上になった旨があった。上記の通りの低迷で、取引価格が金を大きく下回り割安感が強まった事で販売が伸びた模様だ。

両者の逆鞘長期化はこれまで当欄で何度か触れているがこの辺はやはり需給が全てに優先、金の15分の1以下の生産量で希少性が光る時が再びおとずれるか否か。ちょうど来月7日にはゴールドフェスタ2015スピンオフで金・プラチナの魅力に迫る体感型イベントも開催するので興味のある向きは是非申し込まれたらいかがだろうか。


CRB指数12年8ヶ月ぶり低水準

本日の日経紙商品面には、シカゴ市場で大豆先物価格が一時6年ぶりの安値をつけた旨が載っていたが、斯様に国際商品価格が下げ止まる気配が無い。国際商品の代表的な指数、ロイター・コアコモディティCRB指数は直近高値だった昨年6月から40%も下げて実に12年8ヵ月ぶりの低水準を記録している。

このシカゴ大豆6年ぶり安値と同じ面には「原油相場、底値を探る」として専門家による原油価格の見通しも出ていたが、こちらも大豆同様に6年6ヶ月ぶりの安値に沈んでいる。この一年こうした原油安で世界の景気が拡大すると指摘した解説を彼方此方で見掛けるようになったが、中国をはじめとし足元の世界経済鈍化は周知の通り。

コモディティーの金融商品化でETFの運用残高も急増し有力ヘッジファンド勢も挙って資産規模を膨らませてきたものだったが、このところの商品安で運用成績が悪化しここへきて今夏は米カーギル系や英大手など主力どころが相次いで運用停止の憂き目に遭っている。その裏で一部システマチックトレンドフォロー業者の台頭が見られるというが、この市場もまた役者が変わってくるのだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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