31ページ目   商品先物

回転鈍化

さて、上場している商品取引会社の2014年4-6月決算が先週には出揃っているが、前年同期と比べて営業収益は軒並み減少している。この背景には商品市場の売買が低調になっている事があるが、日経紙でも同4-6月期の国内商品市場の売買高は前年同期比40.6%減の954万9千枚となり、投機マネーの商品市場からの流出が顕著な旨が載っていた。

このところの地政学リスクが囃され東商取では建玉増となる局面も見られたが、上記の通り肝心の売買高が低迷しているということは未決済玉がちゃぶついているという表れでもある。マル信等でいうところの回転日数のようなものであるが、この期間が鈍化しているということは裏を返せば人気離散でもある。

コモディティーの回転日数を以て全てマル信と同一で捉えることはできないものの、玉の回転があってこそ売買高にも盛り上がりが出るというもの。中期的な米利上げ観測等との狭間でちゃぶつく構図になっているが、再度盛り上がりの切っ掛けを掴めるかどうかこの辺は引き続き世界情勢共々注視しておきたい。


先物という戦略

本日の日経紙社説には「供給危機に備えた資源戦略を急げ」と題して、原発発電所の事故以降、原発を代替する火力発電用の原油やLNG(液化天然ガス)の輸入が増えその電気料金は高騰している旨が書いてあった。季節性もあるものの、確かに最近の電気料明細を見るに明らかに上がってきているというのが実感だ。

文中にも書いてあったが、あの震災から数年を経ても電力需給の余裕はまったく無い。上記の通り輸入に頼らざるを得ない冒頭のLNGは米欧に比べて著しい割高感があり、その背景には主因となっているアジア固有の形態である長期契約がありこの辺から商習慣の変更が望まれている

冒頭にはエネルギーコストの増大に歯止めをかけ、国際情勢の変化の影響を受けにくい資源調達のあり方を考える時にきているとも記してあったが、商習慣も障壁があるにせよそれこそ既得権云々は脇に置いてでも先物市場の創設などが焦眉の急だろうか。


値決め変更


さて、ウクライナでのマレーシア航空機撃墜やイスラエルのガザ地区侵攻の地政学リスクへの警戒感が再度台頭してここまた金へ関心が向かっているが、金といえば先週末の日経紙に「金値決め 初の変更」としてロンドン市場で100年近く続いてきた金融機関同士が電話会議で価格を決める現行の仕組みから、第三者が設定する方式に改める見通しになった旨が出ていた。

この辺に関しては、先にドイツ銀行の商品事業縮小に伴っての値決め撤退発表を背景にした銀の値決めについての変更案が先行して報道されていたが、金の方もこのドイツ銀行の値決め撤退に加えて英銀バークレイズの金指標価格操作問題が発覚しその価格設定を巡る不透明さが指摘されていた背景がある。

市場の信頼回復を急ぐ狙いがあるとみられる今回の見直しだが、コモディティーの金融商品化へ伴いその取引形態も多様化しそれに絡む不正も横行、値決めではないがLMEも倉庫ファイナンスなる取引が横行しそれに伴う規制強化がこれまで多数浮上してきた経緯がある。この値決め全面的見直しも含めコモディティー系は取引慣行にもいろいろと影響が出そうである。


PGM系シフト

本日の日経マネー&インベストメントには「貴金属投資 金以外に裾野」として、分散投資先として買われてきた金の人気が一巡し、その金に向かっていた資金が価格の高騰するプラチナやパラジウム等に流入し、先物やETFの売買高がにわかに増えてきた旨が載っていた。

なるほどNY市場ではポルトガル大手行絡めた金融不安への警戒感が一先ず後退し指標の先物価格は約1か月ぶりの安値水準まで急落、昨日の東商取も一時同様に約1か月ぶりの安値水準まで売られている反面PGM系は堅調持続している。

また、本日のETF市場を見ても三菱UFJ信託の純パラジウムが年初来高値を更新、同シリーズの純プラチナも年初来高値まであと少しのところまで来ている。ただ何度も指摘しているが同じ原資産でもETFSモノはコモディティーの種類が多い割に商いが薄い状況がここ数年続いている。原資産そのものの市場規模が相対的に小さいだけにこの辺は課題だろうか。


ターゲット層

本日の日経紙商品面には「世界主要商取の売買高 5四半期ぶり減少」として東商取のほか、NYMEXやLME、ICEなど世界の主要な商品取引所の4-6月期の売買高が4月、5月の低調によって前年同期比で12%減少し5四半期ぶりに前年実績を下回った旨が出ていた。

とりわけ東商取は41%減と振わなかったが、同所は目下のところCMEとの関係強化に動いている。当欄では今月頭にLNGデリバティブについて触れたが、前述の通り昨年からの中期経営計画にLNG先物創設を盛り込み準備を進めており、先ず既設のOTC市場が軌道に乗るかどうかというところが試金石となっている。

またこの辺はちょうど一週間前の同紙にも「市場再生へ海外マネー頼み」として出ていたが、この9月にもCMEデータセンターとの高速回線を接続しHFT等の誘致に期待をかけている。上位の通り売買高は41%減少となっているがこの41%という数字、奇しくも東商取に関連するものでもう一つあって、それは5月の全売買高に占める海外取引比率が約41%ということ。ここに照準を合せうまく誘致出来るかどうかに今後が懸かっている。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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