34ページ目   商品先物

規制の匙加減

昨日取り上げたバークレイズの件に絡んだ話だが、ちょうど昨日の日経紙多面鏡には「米で現物業務の規制案」として、米国で浮上している金融機関による商品現物業務の規制を強化する案を巡る話が載っていた。

同紙にはグラス・スティーガル法廃止で動きの幅が広がり、大手銀などが次々とLME等の指定倉庫や様々な設備を所有するようになったのに伴い商品の需給や価格形成に影響を及ぼしかねない不安もあるとあったが、上記のLMEなど値鞘稼ぎの在庫積み増しの裏で大口需要家は思うように出庫出来ない弊害が出ている旨が書いてあった。

この在庫積み増しによって手数料を稼いだと書いてあるが、おそらく先をショートして調達しておいた現物の渡しというパターンで積みあがったということだろうか?また、一連の規制とは関係無いと表明しつつも銀の値決めから撤退したドイツ銀行の影響もあって今年8月にはロンドンの銀価格算定基準が失われる。今後の円滑な市場機能維持に向けた施策は焦眉の急である。


LIBORから金まで

さて先週末には英金融大手バークレイズに対し英国市場監視当局のFCA(金融行為監督機構)が、金価格の値決めに関して内部管理を怠ったとして2,600万ポンドの制裁金を科した旨が報道されていたが、この件は本日の日経紙社説にも「商品市場の不正は許されない」として取り上げてあった。

バークレイズといえば、一昨年にもLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の不正操作で2億9,000万ポンドの罰金を科せられた一件があったが、金価格操作におけるトレーダーの不正行為は10年近くに及びLIBOR問題の制裁金を科された翌日もこうした行為が行われていたというからその管理体制も責められよう。

この金価格操作だが、金指標価格が特定水準を超えれば代金を顧客に払う契約でこの特定水準を超えないように価格操作を施しこの顧客への支払いを免れていたというもの。まあこの辺は国内でもEB債などのノックイン商品においてそれらに絡む証券会社等によるこうした価格操作が疑われてきた事例も枚挙に遑がないが、国際的指標価格に携わってきた企業だけに失望感は大きく影響が懸念される。


法改正なるか

本日の日経紙・風速計には「総合取引所創設 強まる政治圧力」として、株式や商品をまとめて扱う総合取引所の創設を求め、9日に開催された金融調査会では会長がこの件がかなわぬ際には議員立法でやる等との発言も出るなど政治圧力が強まっている旨が載っていた。

このところ他商取との連携等の報はあるものの、対JPXではなかなか目新しい話題に乏しくなってしまった東京商品取引所がヤリ玉に挙がり、総合取引所化したアジア諸外国では取引が減ってしまったとする慎重論を挙げる同所に天下りに絡んだ所轄の主務省への配慮が見え隠れするとの見方も書かれていた。

放漫経営の処理過程での移管経緯も最後まで悪足掻きをしていた農水系の東穀取が無くなった今、今度は残った経産系も同じ事が言われるようになったかという感もあるが痺れを切らし上記の議員立法等が現実のものとなった場合どういった構図になるのだろうか?以前に外からの圧力と何度も書いた事があったが既に微妙な位置に居るだけに思惑が募るところ。


商取ランキング

昨日の日経紙商品面には「上海、3年ぶり首位」と題して、FIAのデータを基に東京商品取引所がまとめた世界の商品取引所の2013年の売買高ランキングが出ていた。タイトルの通り上海商品取引所が、夜間取引を導入した貴金属取引や新規上場商品取引の活況で3年ぶり首位に浮上している。

もっとも昨年4位だった上海商品取引所が1位になり、昨年1位だった大連商品取引所が4位と依然中国勢がベスト5入りしている構図。両所の性格から昔の本邦の構図で例えるとTOCOM系が復活し、東穀系がランクを下げたといったところだが、さてその東穀の農産物を引き継いだ日本の東京商品取引所は売買高を増やしたものの昨年の12位から13位へダウン。

2000年以降初めてベスト10から転落したのはたしか2009年だったと記憶するが、国内玉が主流の同じアジア勢の躍進を横目にジリ貧脱却が遅々として進んでいない。次期大型商品など国とどう連携して上場させてゆくのか、その辺の成り行きも引き続き注視してゆきたい。


ブーム再燃

増税を目前にしてこれに絡んだ日本の金買いラッシュに関する記事が各紙を飾っている。先週の日経紙でも「増税目前、金に脚光」の見出しでこの辺に触れていたが、大手どころでは田中貴金属が1月から3月27日までの金地金販売量は前年同期比で2.5倍となり、直近の3月1日から27日までの販売量は同5.2倍、また石福金属工業も3月の金地金販売量が2月比で6割増えているという。

斯様に各社共にやはり駆け込み需要の影響もあって大きく伸びた形跡があるが、従来本邦勢はその買い方からしてバーゲンハンティング等と称された時期もあったが、相対的に価格が高値圏にあるにもかかわらず最近のこの状況は増税値鞘を当て込んだものも多分に入っているだろうか。

この辺は一部専門家の方も増税分以上の下値リスクが潜在している時期に金買いに走るのは合理的ではないとも指摘しているが、仰せの通り単純な地金購入では手数料負担もあればこの手のボラを考えるに増税分程度の価格変動は日常茶飯事、ならばTOCOMを絡めてなんとか値鞘確定も考えそうだがこの増税前に金現物の受け渡しが2限月連続で2,000キロを超えたという。こんな現象は2007年10月以来約6年4か月ぶりというが、短期の利鞘確保派から長期派まで思惑入り乱れ本邦金市場はある種特異な光景を創り出している


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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