36ページ目   商品先物

野菜環境

漸くというか夜にかけて秋を感じさせる風も吹くようになってきたが、今年は全国各地を襲った猛暑やら日照不足やらの影響で、中央卸売市場の先月の野菜の平均卸値が前年同期比で20%前後高くなっている模様だ。店頭で見てもたいして程度の良くない品がけっこういい値札で売られているのもやや恒常化してきている。

今年の場合、上記の通りで天候が高騰の原因となっているがもう一つ、ビニールハウスの加温や資材に必要な燃料等も円安や原油高の影響で費用が上昇しているという問題も指摘されている。数年前の冷夏の時もこの複合的な問題が浮上したことがあったが、今後こうした点はますます顕著化する気配も。

スーパーなど逆手に取って値引きセールの光景も見られこんな時こそやはりデリバティブの出番で商機ありとも思うが、一昔前の野菜先物なんぞ今は無くそれを上場させていた東穀取も解散の憂き目に遭っている。取引所もまだ再考の余地ありだがマーケットを考慮するに損保会社等含め新商品の開発余地もあろうか。


再挑戦

本日の日経紙社説には原子力機構ともう一つ、「コメ先物は農家にも役立つ」としてコメ先物についても触れてあった。2011年8月に上場したこのコメ先物、ご存知政府は試験的な上場期間を2015年8月まであと2年延ばすことを先に正式発表している。

この商品だけ移管した大阪堂島商品取引所はもともと本上場を目指していたものの、ここでも指摘されているように取引が少なく試験期間の延長を申請するのがやっとというところであった。取引を増やすしなかいと同紙でも謳っているが、主力の金やエネルギーを除いてはどれも大商いとは言い難い状況で相対的に同商品をどう捉えるかというところか。

またその構図だが当初から一貫して反対姿勢の全中含めた関係各所の抵抗は今回も想像に難くないが思えばこのコメ先物、初回のボツから民主時代の産物で上場したようなものだったが、自民党返り咲きの今所謂外側からの政策も併せどういった行方になるのかこの辺もまた見守りたいところ。


肌感覚

さて、今週はTOCOMの金先物が概ね週明けから堅調推移となっている。エネルギー系など他も総じてしっかりとなっているが先週の中国7月貿易統計が予想を上回る等、経済指標が景気回復を示すものとの見方もあってサマーバケーションで参加者が限られ板の薄いところへ散発的に買いが入っている模様だ。

コモディティーといえばこのところ米国の量的緩和縮小観測でマネーが市場から流出しているとの観測が燻り、一人気を吐く原油を除いては金を中心にヘッジファンドもめっきりロングの手が鳴りを潜めていたものだが、株式等を横睨みしながらこの辺が織り込まれてきたか否か今暫らく方向感を確認といったところだろうか。

ところで、この金の低迷期でもあった4−6月の輸出量は財務省貿易統計によれば29.8トンとなり、1−3月のそれに比べて4割減ったという。輸出から輸入を差し引いた流出量も4−6月は前期比で6割減少し価格の下落で国内消費者の金購入意欲が強まったとの見方があるが、金購入意欲といえばちなみに中国では今年上半期の金の消費量が前年同期比53.7%増の706トンに拡大したことが明らかにされている。

上半期だけで昨年通年の消費量に匹敵しており、世界的に売りが優勢となった金の受け皿としてやはり存在感を示した感じだ。金市場に沸く中国を特集した日経CNBCの放映を見たのは確か3年前だったと思うが、中銀と共に個人レベルでも肌感覚で食指を動かしている行動形態は当時から些かの変化もないようだ。


残り5ヶ月

さて、クレディスイスによるアンダーパフォーム変更や本日などは日経平均の急反落もあって往って来いに下げてしまったが、先週末はJPXが7月下旬以来の1万円大台を回復していた。これの材料とされたのが、来年春に売買システムの更新期を控えたTOCOMに対しJPXがシステムの共同利用を提案したとの一部報道。

TOCOMは前にも書いた通り2009年に現行の売買システムを採用したが、これが来年の5月には更新の時期を迎える。当然ながら単独更新はキツイということでCME等に提携の打診をしていた経緯があるが、此処の仮条件としては5年で90億円弱、それに対して今回のJPXのそれは5年で60〜70億円という。

また、政府の総合取構想から将来統合の可能性を期待した買いの手もあったようだが、この総合取に関してTOCOM側では年初に今年半ばか遅くても年内には結論を出すと明言していた。その今年半ばは既に過ぎているが、なお単独でのシステム更新も選択肢に残しているとの報もある。残り5ヶ月の間に結が出るか否か引続きなりゆきを見守りたい。


ヘッジ再開

このところモタついている金相場だが、本日の日経紙商品面にも「金相場の上値重く」として国際指標となるニューヨーク先物市場が7月中旬以来の安値を付け、景気回復期待からファンド資金が流れ込んで積み上がっている原油市場とは対照的な様子になっている旨が載っていた。

金は量的緩和縮小観測、原油は上記の通り景気回復期待ということでそれぞれ解り易いが、かつてのインフレを材料に相互に連動という習性も近年の経済環境の変化からこういった構図も過去のものになりつつある。

過去といえばもう一つ、一昔前にごく一般的であったヘッジが復活しつつあるとも同紙国際面に出ていたが、ここに出ていたロンドンに上場するロシアのペトロパブロフスクは金生産の半分をヘッジ、他にもここには出ていないものではオーストラリアのオシアナゴールドもヘッジ取引を開始している事が判明しており、今後この手が広がりを見せてゆくのかどうか注視しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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