45ページ目   商品先物

ゴールドの功績

本日の日経紙マネー&インベストメントには「商品先物で分散投資」と出ており、商品を資産運用の一部に組み入れる人も出始めている折その仕組みや注意点などが載っていた。紙面には例として金・ガソリン等やはりTOCOMモノが挙がっていたが、やはり一般へのコモデイティ浸透に貢献したのはここ数年の金の値動きが奏功したのは認めざるを得ないだろう。

この金も証券界などからもネット証券大手中心に過去数社が金関連に参入してきたものの、そのタイミングが早過ぎたのか何れも志なかばで撤退を余技無くされたものだが、今月は楽天が投資資金を金などの貴金属に振り向けることができるサービスを始める等の動きが再度出てきた。

この辺もそうだが一昔前では考えられなかったこんな紙面を割いての商品先物紹介が漸く一般的になってきた裏で、胴元の取引所といえば東穀が解散を視野に最後の足掻きというか根回しが醜い。ただ一方でそんな胴元の最後の大型上場ともいえるコメのワラントなどが新規で出てきているのが現況で、並行してソースだけ抜かれてゆく動きが粛々と進行している。


捨て場

先週末に当欄ではVI先物が開始されたことに触れたが、その末尾ではコメ先物のワラントにも少し触れた。さてこのコメ先物だが、本日の日経紙にコメ先物のデリバリーにおいて大半を福島県産が渡されている旨が書かれていた。

昨年8月の取引開始以降に受け渡された早受け渡し含むコメは東穀取で1,140トン、関西商取は651トンで東穀取では85%が福島県中通り産となっており、今年に入ってからのそれはすべてが福島産という。現在受け渡しには栃木県や千葉県など関東や東北など19銘柄が使えるが、東穀取社長のいう「割安だからだろう」というより単純に「捨て場」になっているのは明白か。

この記事のすぐ上には「福島米の苦境続く」として大惨事となった東日本大震災と福島原発事故からもう一年が経過しようとしているが、依然として風評被害もあって同コメの流通混乱も書かれている。本日の日経MJでは特集で「食の安全は今」としてアンケートが出ていたが、事故以降に商品の購入先を変えたり新たに増やしたりした人は27.9%、首都圏では3割を超えるとも出ておりまだまだ「捨て場」も活躍しそうだ。

しかしこんなのが恒常化すると相場の方も安値安定という具合にはならないのだろうか?
ボラがなくなれば妙味が薄くなるし、またはもう既にそうした状況なのかもしれないが、この適用銘柄から外してしまう手もある?か。とは言っても上記のように「風評被害」にナーバスになっている時期にそんな措置では東穀取もこれを助長するのに加担とか叩かれそうな気配もするが、今年の場合来月から福島全域で土壌検査を徹底するようで新米が出回る秋口に注目ということになるか。


決まっている結論?

本日の日経紙商品面には、「多様な選択肢」なる見出しで迷走する東京穀物商品取引所社長が昨日の定例記者会見にて、他の取引所への市場移管や解散の可能性について多様な選択肢の検討を行っているところで、まだ結論が出ていないと話している旨が載っていた。

このまだ結論が出ていないというところに関しては、今の取り組みを重要視するかもっと長期的視点で考えるか、コメは分ける方がいいかどうか委員の考えが分かれている部分があるとのことで、さらに取引所株主においても一部で資産が残っているうちに解散して分配すべきという声もあると先物新報で伝えられている。まあ、斜陽に入った上場企業でも資産のあるうちに解散して資産分配してきた事例もあるしこの辺は至極当然な意見だろう。

さてこんな折に、これまでコーンや大豆などの国際商品はTOCOMが受け入れ、小豆などについては関西商取が受け入れとの方向性も一部伝えられていたところが、ここへきてこの関西商取が全商品の移管を申し入れるとの話も同時に出てきた。まあ東穀取解散報道をリークした向きと同様のソースだけに何ともという感じだが、何れにしても先ず結論ありきなのかどうか正式な発表を待ちたいといころ。


使える商品

先週末の海外相場はメタル等全般弱かったものの、本日のTOCOMは金が小甘く緩む一方で、白金はしっかりで推移していた。さて、この白金といえば先週末の日経紙商品面には「白金、3ヶ月ぶり高値」として白金の国際価格が南アのストで騰勢を強めている旨が載っていた。また、最後の方には金と白金が昨年から一頃200ドル強の価格差となっていたものが、上記の通りここ最近の白金の上昇で現状70ドル程度まで縮まっている旨も書かれていた。

PGM系は昔からストラドルなどでよく多用されたものだが、トリプルAの急減やら何やら想定外が頻繁に起こるようになった昨今、アノマリーに期待を抱いての安易なエントリーで股裂きの憂き目に遭った向きも多いのではないかとも思うが、やはり基本的に主要株式指標を良く見ている向きはこのストラドルでも低リスクでそこそこおいしく利を収めているのが見受けられる。

先月も半ば頃の日経紙に「商品、強まる株価連動」と出ていたが、商品先物以外でも米株が12,000ドルの大台に乗って揉み合いのなか尚年初来安値を這い蹲っていたプラチナ系ETF等は国内で然程活況となっていないのが奏功?して暫くは美味しい拾い場を提供してくれていたものだし、例えば主力の自動車株の急激な戻り局面でも金法の売りを睨んでショートで臨む向きも居たと思うが、こんな時でもヘッジでこうしたETF系を使えば思惑違いの担がれ場面でも怪我が少なくて済むというもの。

金融商品の性格が濃くなってきて既に数年のコモディティーでは斯様に取引の多様化もあり格段に使える場面が多くなってきている。もう一つ、プラチナといえば主要非鉄金属を上場している上海先物取引所で、プラチナ先物の年内の取り扱い開始に向けて調査を進めている件も報じられておりこちらの方も併せて注目しておきたいところ。


東穀取の茶番と株主不満

さて、今週業界モノで報道が目立ったところではやはり迷走を極める東京穀物商品取引所の件だろうか?先月あたりから解散を含めた報道が目立つようになったが、もうここ数年散々茶番を見せられてきた側にしてみれば然程驚きもなく、寧ろ同所を取り巻く環境を鑑みれば自然な流れと見る向きは多い。

東穀取といえば毎月8日はコメ先物市場の日ということで、昨日の日経紙には「東京穀物商品取引所はコメ先物市場を通じて、日本の農業を支えていきます。」などと仰々しい広告が出ていたが、その数ページ後の商品欄には「コメ先物 浮上せず」、「東穀取、存続問題に」というタイトルで上場後半年のコメ先物の不振が書かれていた。なんとも絶妙なタイミングで載せてきたものだが、この二つを見た投機家ははてどう感じるだろうか?

昨年秋口には「週間ダイヤモンド」にて東穀取の社長が上場後早々に萎んできたコメ先物市場の言い訳として「〜10月になって限月が6本揃ってからが本番と考えて欲しい〜」としていたが、年も明けた本日の日中取引の出来高はちなみにたったの169枚であった。上場時に目標としていたのは5,000枚というが、今時粉飾企業でもこんな大風呂敷を広げるのは躊躇われるだろうし兎に角すごい感覚である。

ともあれその去就には「あらゆる選択肢を排除しない」としているものの、この日経紙記事の直ぐ下には、東工取と東穀取との間では「まったく接触ない」とも書いてある。この辺はご存知東工取は「日本取引所」にブラ下がるデリバティブ系に統合する路線で歩んでいるが、こんな記事を目にするとイヤでも関西商取が消去法で出てくるワケでこの期に及んでまだ?と呆れる感は増すばかり。皆に期待された大型商品であったが、天下り陣の既得権益の具にされていたとしたらそれこそかわいそうな商品、今後も同所の去就が厳しく注目されることになろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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