61ページ目   商品先物

摘んだのは責準だけか?

さて、週末の読売紙で見掛けたのが、帝国データバンクが行った調査による今年に国内証券取引所で上場廃止になる企業数が、08年実績を大幅に上回る163社に達する見通しとなった旨の記事。

景気低迷に伴う経営破綻もそう簡単には落ち着きそうもないが、まあ上場組でなくとも先月あたりからその破綻形態も名の通っている企業含めて、再建型というよりも破産を選択するパターンがやたらと目に付くようになったのがなんとも寒い。

この時期こうしたトコロは何処も足の早いヒモ付き資金の対応に追われる向きが多いが、そういえば業界からでは既報の通りタイコム証券が責準のツマミを繰り返していたという事で日商協から2,500万円の過怠金の制裁処分を受けている。ココは昨年には自己資本規制比率の算出不備だのと他の過怠金組とは異質の内容で大証からも過怠金を課されていた経緯があったが、これで証券業、商品先物業双方から過怠金を課されるハメになったという杜撰さだ。

まあ、個別ではなかなか面白い取引員であったものの、そんなわけでもうじきに上記パターンよろしく破産という選択と聞く。しかし同社は見たところ、創業家が順次手を引いてからというもの企業経営ド素人の役員陣が逆に狙われ、結局は外部勢力から所謂“箱”扱いされるようになってしまった典型的パターンなのは間違いないだろう。

業界からまた一つ老舗が消えるのは実に寂しい限りである。


日本初の二酸化炭素排出量取引

各所で既報の通り、京都議定書後の地球温暖化対策の国際的枠組みを話し合うところの、「国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)」が昨日から18日まで約2週間の日程でコペンハーゲンにて開幕した

先に鳩山首相は、温暖化ガスの排出量を2020年までに1990年比で25%削減する旨の発言をして拍手を浴びていた光景は記憶に新しいが、議定書の延長案というシナリオも出る中、纏め様のないものの足並みを揃える障壁から米中に絡み別な枠組み案という線も出ている。そうした場合、上記の25%もまたあやふやになってくるが、まあこの辺も紆余曲折がありそうな感じだ。

さて、ちょうどそんな時期に昨日の日経紙夕刊で見掛けたのが、ドットコモディティが来週から国内初の一般投資家向けの二酸化炭素排出量取引を始めるという件。10月にも当欄ではこの排出量取引について東証とTOCOMが同市場設立を目指し来年春にも共同出資会社を設立する方針を固めた旨に触れたが、今回はそれらに先行して市場を開拓することになる。

しかしマザーが存在すればそれこそ幾らでも取引の幅が広がるCFDはまさに無限の可能性を秘めているともいえるが、何れ国内でも同市場が創設される折にはキャップ設定するや否や、仮に導入としてもその設定には公平性の観点から細心の注意が必要になるのはいうまでもない。先駆しているECXなどとのの絡みもありいろいろと注視しておくべき事項が山積みである。


狭義の独り勝ち

さて、週明けには東穀取が株式会社化した旨を書いたが、商品取引所ではこの東穀取に先駆けTOCOMが株式会社化してから今月で一年が経過した。一年前の当欄でもこのTOCOM株式会社化について触れたが、さてその後一年はどうであっただろう?

思えば株式会社化後の最大のイベントであった鳴り物入りで登場した新システム導入では稼動わずか数日でシステム障害が発生する失態を演じたのは記憶に新しいが、先週末には再びシステム障害が発生し今が旬な金の夜間取引を休止する事態になっていた。

5月のシステム障害時には東穀取にまで懸念の意を告げられるありさまであったが、折りしもこの当日は日経紙で社長が新システムを導入した成果は着実に出ている云々のコメントが載った日の障害勃発だからなんともバツが悪い。世界最速級の注文処理速度を武器にプロトレーダーの誘致を謳うのもよいが、これでは当の参加者も躊躇してしまうのは想像に難くない。

そういえば先月の日経紙にてTOCOMの社外取締役を務める前日銀総裁の福井氏が、商品市場縮小は日本に国際ハブ空港が育たない構図と似ていると指摘していたがなるほど上手い表現である。曲がりなりにも国内商品取引所での取引高シェアは8割を超え、今後は排出量取引の絡みも出て来るだけに、こちらもいろいろと考察すべき点は多いだろう。


グローカルを謳う?

さて、もう霜月も本日で終りとなるが、今月主だった業界の出来事といえば東穀取が株式会社化した事であろうか。

此処も昨年から持分の過払い処理が発覚とか、監査法人に会計監査も依頼していなかったなどが明るみになり、今年は今年で上場銘柄を板寄せからザラバに変更し、また板寄せに戻すとやってみたりとなかなかの迷走ぶりを見せてくれたものだが、目先は世の企業同様に財務基盤改善が急務か。

上記の持分返還も株式保有で対処出来たりとなるが、遅きに失した感のある数々の上場商品の廃止や低迷するその出来高からすると職員数などどう考えるのだろうか?横浜商品取引所を吸収なのか救済?なのか不透明だが、結局引き継いだ上場商品が全て無くなった今、こうして雇用面に改めて目がゆくのも当然だろう。

もう一つ、理念として「グローカル」などはもう数年前から耳にタコであるが、チマチマとミツバチなんぞを育てて一部関係者だけで盛りあがっているようなイベントで地域との融合を謳われてもどうもピンと来ない。例えば先に書いたヤマダ電機などは総本店を築いた折、周辺の飲食店や小売店でもポイントを獲得できるようにしている。そんなものこそグローカルなるものが解り易く一般に浸透しそうなものと思うが。

まあ、取引員の上場意向とはまた毛色の違ったニュアンスのファイナンスの用もあるのだろうが、まだまだ課題山積みか。


鶏と卵

本日のTOCOM市場ではオイルが冴えない一方で元気印であったのはやはり金、この金相場、週明けも騰勢衰えず7営業日続伸して史上最高値を更新している。大手紙などではドルの代替資産としてこの金を買う動きが加速した云々の記事が圧倒的に多いが、週末の日経紙などでは投資が主役としての金高騰が続き、それが示唆するドル不安に焦点が集まり「悪いドル売り」が進むとスパイラルなシナリオの可能性も示唆している。

鶏と卵の話よろしくこの辺は尽きないものの、CTAがドル売り・金買いを進めたことが秋口から進んだドル安・金高騰の一因といわれているらしいが、これらも含めてつまるところは一部で指摘される原点回帰の動きか。

そんなわけでFRBも監視強化の動きと直近の記事で見掛けたが、一方では週末にはブルームバーグであのジョン・ポールソン氏が鉱山会社と金関連デリバティブに投資するファンドを立ち上げたというニュースも目にした。同氏といえばG・Sよろしくサブプライム関連のショートでガッツリ儲けたのが記憶に新しいところだが、なんでもファンドでは金価格のアウトパフォームを目指すという事。

アウトパフォームという言葉を聞くと一寸思い出すのがTOPIXや225を軸としこれらどれだけアウトパフォーム出来るかの掛け声と共にソフトバンクや光通信を数十万円まで買い煽った一昔前だが、まあそれはさておき確かに産金株なんぞはコスト低下で利鞘拡大から安値からの立ち上がりでは金相場を上回る上昇をするのは事実、原資産に限らず投資手法も飛躍的な広がりをみせる昨今この辺をチェックしてみるのも一考か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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