狭義の独り勝ち
さて、週明けには東穀取が株式会社化した旨を書いたが、商品取引所ではこの東穀取に先駆けTOCOMが株式会社化してから今月で一年が経過した。一年前の当欄でもこのTOCOM株式会社化について触れたが、さてその後一年はどうであっただろう?
思えば株式会社化後の最大のイベントであった鳴り物入りで登場した新システム導入では稼動わずか数日でシステム障害が発生する失態を演じたのは記憶に新しいが、先週末には再びシステム障害が発生し今が旬な金の夜間取引を休止する事態になっていた。
5月のシステム障害時には東穀取にまで懸念の意を告げられるありさまであったが、折りしもこの当日は日経紙で社長が新システムを導入した成果は着実に出ている云々のコメントが載った日の障害勃発だからなんともバツが悪い。世界最速級の注文処理速度を武器にプロトレーダーの誘致を謳うのもよいが、これでは当の参加者も躊躇してしまうのは想像に難くない。
そういえば先月の日経紙にてTOCOMの社外取締役を務める前日銀総裁の福井氏が、商品市場縮小は日本に国際ハブ空港が育たない構図と似ていると指摘していたがなるほど上手い表現である。曲がりなりにも国内商品取引所での取引高シェアは8割を超え、今後は排出量取引の絡みも出て来るだけに、こちらもいろいろと考察すべき点は多いだろう。