61ページ目   商品先物

狭義の独り勝ち

さて、週明けには東穀取が株式会社化した旨を書いたが、商品取引所ではこの東穀取に先駆けTOCOMが株式会社化してから今月で一年が経過した。一年前の当欄でもこのTOCOM株式会社化について触れたが、さてその後一年はどうであっただろう?

思えば株式会社化後の最大のイベントであった鳴り物入りで登場した新システム導入では稼動わずか数日でシステム障害が発生する失態を演じたのは記憶に新しいが、先週末には再びシステム障害が発生し今が旬な金の夜間取引を休止する事態になっていた。

5月のシステム障害時には東穀取にまで懸念の意を告げられるありさまであったが、折りしもこの当日は日経紙で社長が新システムを導入した成果は着実に出ている云々のコメントが載った日の障害勃発だからなんともバツが悪い。世界最速級の注文処理速度を武器にプロトレーダーの誘致を謳うのもよいが、これでは当の参加者も躊躇してしまうのは想像に難くない。

そういえば先月の日経紙にてTOCOMの社外取締役を務める前日銀総裁の福井氏が、商品市場縮小は日本に国際ハブ空港が育たない構図と似ていると指摘していたがなるほど上手い表現である。曲がりなりにも国内商品取引所での取引高シェアは8割を超え、今後は排出量取引の絡みも出て来るだけに、こちらもいろいろと考察すべき点は多いだろう。


グローカルを謳う?

さて、もう霜月も本日で終りとなるが、今月主だった業界の出来事といえば東穀取が株式会社化した事であろうか。

此処も昨年から持分の過払い処理が発覚とか、監査法人に会計監査も依頼していなかったなどが明るみになり、今年は今年で上場銘柄を板寄せからザラバに変更し、また板寄せに戻すとやってみたりとなかなかの迷走ぶりを見せてくれたものだが、目先は世の企業同様に財務基盤改善が急務か。

上記の持分返還も株式保有で対処出来たりとなるが、遅きに失した感のある数々の上場商品の廃止や低迷するその出来高からすると職員数などどう考えるのだろうか?横浜商品取引所を吸収なのか救済?なのか不透明だが、結局引き継いだ上場商品が全て無くなった今、こうして雇用面に改めて目がゆくのも当然だろう。

もう一つ、理念として「グローカル」などはもう数年前から耳にタコであるが、チマチマとミツバチなんぞを育てて一部関係者だけで盛りあがっているようなイベントで地域との融合を謳われてもどうもピンと来ない。例えば先に書いたヤマダ電機などは総本店を築いた折、周辺の飲食店や小売店でもポイントを獲得できるようにしている。そんなものこそグローカルなるものが解り易く一般に浸透しそうなものと思うが。

まあ、取引員の上場意向とはまた毛色の違ったニュアンスのファイナンスの用もあるのだろうが、まだまだ課題山積みか。


鶏と卵

本日のTOCOM市場ではオイルが冴えない一方で元気印であったのはやはり金、この金相場、週明けも騰勢衰えず7営業日続伸して史上最高値を更新している。大手紙などではドルの代替資産としてこの金を買う動きが加速した云々の記事が圧倒的に多いが、週末の日経紙などでは投資が主役としての金高騰が続き、それが示唆するドル不安に焦点が集まり「悪いドル売り」が進むとスパイラルなシナリオの可能性も示唆している。

鶏と卵の話よろしくこの辺は尽きないものの、CTAがドル売り・金買いを進めたことが秋口から進んだドル安・金高騰の一因といわれているらしいが、これらも含めてつまるところは一部で指摘される原点回帰の動きか。

そんなわけでFRBも監視強化の動きと直近の記事で見掛けたが、一方では週末にはブルームバーグであのジョン・ポールソン氏が鉱山会社と金関連デリバティブに投資するファンドを立ち上げたというニュースも目にした。同氏といえばG・Sよろしくサブプライム関連のショートでガッツリ儲けたのが記憶に新しいところだが、なんでもファンドでは金価格のアウトパフォームを目指すという事。

アウトパフォームという言葉を聞くと一寸思い出すのがTOPIXや225を軸としこれらどれだけアウトパフォーム出来るかの掛け声と共にソフトバンクや光通信を数十万円まで買い煽った一昔前だが、まあそれはさておき確かに産金株なんぞはコスト低下で利鞘拡大から安値からの立ち上がりでは金相場を上回る上昇をするのは事実、原資産に限らず投資手法も飛躍的な広がりをみせる昨今この辺をチェックしてみるのも一考か。


取引員決算

昨日はオリエンタルランドの決算など一寸触れてみたりしたが、業界ではFUTURES PRESSでも既報の通り上場商品取引員7社の09年4-9月期決算も先週末に出揃っている。果たして全社が減収となり、うち5社で最終損益が赤字に転落か赤字幅が拡大という結果になっていた。

日経紙では自己資金による運用益は伸び悩み、FX事業も手数料の引き下げ競争が激化としているが、これらも委託から次のこうしたステージを経てつい最近がピークであったかのようなネット系証券の如く今後はそうしたものから別のステージに移行する構図となってゆくのだろうか。

同紙にはまた個人投資家を仲介し手数料を得る事業モデルからの転換も図っているが、成果は十分に挙がっていないとしているが、先週「双方に旨み?」で書いたようにプライマリービジネスの類一つ取っても証券とはその規模が雲泥の差なのは明らかで、こうした部分で限界があるのは否めないところ。

そうした事で上記のネット系証券よろしくパイの奪い合いから今後としてはJCCHの絡みからみてもシステム関連費用等の増加懸念もあり、互いに利害一致な向きの合従連衡も次のステージへ移行しないとも限らないが、或る意味それが出来るのはまだ前向きな方で水面下は不透明感漂う向きも依然多いのが現状か。


商品か企業か

さて先週から元気印なのはやはり金、週末の6日まで実に5日続伸し4日連続で史上最高値を更新と破竹の勢いである。直近の山はバリックのカバーとかトリガーとなっていた模様だが、今回はインド中央銀行がIMFから大量の保有金を購入するとの報がそれになった模様だ。

お陰で財務省発表の10月の外貨準備高の押し上げ効果にも一役買った今回の件、一般的本命視から逸れていたばかりでなく、当のインドといえば先にヒンドゥー教のダンテラスの祭りでも価格が高水準な為に全国金需要も減少等と喧伝されていた折、この水準からの成約の報だっただけにサプライズでもあったか。

こうなってくると資源セクターでも事業コストとの絡みから利鞘拡大で産金株等のパフォーマンスがまたいろいろと取り沙汰されそうな感もあるが、アジアなどでは実際に香港上場の金鉱山所有企業など数年間で約30倍にも大化けしており、我が国の別子の物色なんぞこれを見てしまうとまだまだカワイイものである。

この辺は今後の価格動向によって低コストがポイントとなるか埋蔵量がキーとなってくるのかという問題になるが、この金に限らず一部景気回復に伴う金属原材料等の需要拡大により、またぞろこうした鉱山業界もM&Aなどが回復してくるのは必至の情勢だろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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