63ページ目   商品先物

付和雷同人気

今月上旬には昨年3月以来一年半ぶりの高値となる1,000ドル台突破を達成し、中旬には終値で史上最高値を更新した金であるが、こんな件を背景にしてか昨日の日経紙家計面での金融商品比べて選ぶでは金が採り上げられていた。

直近のCFTCのディスクロでは、買い越し枚数が一ヶ月で3割増えて重量換算で730トンとこちらの方も過去最高。また、ETF史上でも世界最大のSPDRで保有金残高増加、先月触れた英ETFセキュリティーズでは金のETC現物保有残高が過去最高を更新、今年になって40%増加しているという。

金はモノの存在自体が大物なのでここまで人気付いた背景は如何様にも解釈が付く、バリックのヘッジカバー説から始まって、ドル安、インフレ、中央銀行、中国、また直近では取引規制強化の影響と枚挙に暇がないが、要は発行者の信用リスクに左右されない無国籍通貨がラストリゾートという構図はそうそう変らないようである。

こんな時に先物としても啓蒙のし甲斐があるところであろうが、世間はこういった短期モノでは新興のETFを主体としたものへの傾斜がやはり多い。そういえばこんな折に中部商取ではもうすぐ金が上場の運びとなるが、さてこちらはどうなるであろうか注目である。


リンク業界

さて、企業の信用リスクを取引するCDS市場では歪み補正の目的から一部銘柄の入れ替えを実施、これにより先週の指数は99と昨年6月以来の100割れとなったが、なんといってもその寄与度が高かったのは大手消費者金融である。

格下げから極端に一業種のCDSが高止まりし、正確な信用リスクを反映しにくくなっていたわけだが、株式市場でも「どうする?アイフル」とCMよろしくその動向が注目されていたアイフルなんぞ、事業再生ADRによる私的整理の手続きに着手した事で嫌気売りが殺到している格好だ。

この業界の環境も早くに株式市場から姿を消した中小組から斯様な一部上場の大手までADRをも待ち出すに至ってその厳しさも窺えるというもの。しかし、グレーゾーン金利問題がトリガーになり規制の一段の強化、残高の萎縮と一連の流れを見ていると、これに先駆け一足早く改正商品取引所法施行というのがトリガーになったと一般論としていわれている商品業界もその後の規制強化、取組高の急減などどうしてもこれとリンクして見えてしまう。

オマケにハイエナのように数年前からドル箱になっている過払い金請求の後には、商品先物絡みで悪質な被害者?予備軍が控えているとも聞く。まあ、何れの業界も黄金時代から襟を正していればこんな構図も変っていたのであろうが、適正なパイへの回帰がこうした事で進行しつつあるのはなんとも荒涼としたものを感じる。


ETFとETC

本日は月初に報道があった通り、ETFの英運用会社大手ETFセキュリティーズの日本進出により、貴金属に連動するETFが東証に晴れて上場となった。

コモディティ系としては直近で取り上げたように、今月3日に大証が原油ETFを上場させ他にも数本既に上場しているが、今回新しい銘柄としては貴金属でもPGM系や所謂バスケットものというような顔ぶれが出てきたところか。

そんなわけで1,600番台も次第に品揃えが増えてきたが、同社のコモディティでも業種別に絞ったバスケットなどなかなか魅力的な成績を達成しているし、今後大相場になっていてもその板の薄さや執行リスクが大きくなってしまっているような国内商品先物に上場しているような銘柄等に狙いを付けて続々上場という可能性は大だろう。

しかしここ最近で個人的に感じるのは、その承認の早さというかコモディティ系の増殖が加速してきたという点か。同社は別にコモディティなどの現物価格に対し、オプションや現物現物へ投資をせずに連動するように構築された担保付償還期限無指定ゼロクーポン債も数多く運用しており、レバレッジなど含め今後の市場インフラ絡めその規模拡大に興味のわくところ。


相場連動転職事情

週明けにはCRB指数が半月ぶりの安値と全般で一押しといった感の商品市場であるが、それでもリーマンショックを受けて低迷した国際商品市況は2月に比べて約2倍に上昇、そこで俄かに売買益で業績拡大を狙う欧米の大手金融機関がトレーダー集めに血眼になっているという記事をブルームバーグで見掛けた。

主力どころではG・Sが4-6月期でコモディティ含む売買で最高水準の収入を計上、バークレイズやRBS上期などもコモディティ関連収入で大きな伸びを示しており、ブルームバーグによれば人材斡旋会社の弁で100万ドルクラスの賞与保証やら引き抜きやらが相次いでいるという。

しかしこれで思い出したのが、当欄で約半年ほど前に「人材バーゲンセール」として米ウォール街からの有能な人材獲得を本格化という事を取り上げた件、国内でもこれと似たような件を同時に挙げたが、日本の場合その報酬格差がウォール街の足元にも及ばない事からまた相場にリンクしての大移動という現象も顕著化しようがないか。

というか国内のコモディティの世界ではもともとこうした記事になるような規模も存在しなかったし、しいていえば数年前に一部で辣腕ディーラーを揃えたところもその宿を変えながら数年経過した今では個々で独立やら、また海外に活路を見出して流出したりというのが現状、これはこれである意味寂しい。


自己否定と空洞化

本日もオフィス街の食事処などはまだ休みのところも多く、雑踏が戻る前の束の間の閑散具合が心地よい。さて、週末の日経紙には上場する7取引員の4-6月期決算が週末に出揃い、うち6社が減収、全社が経常赤字になった旨が出ていたがこうした決算表もなにかこう恒常化してきた感もある。

取引所総売買高の右肩下がりのグラフも彼方此方で見せられ06、07年度などマーケットを機能・維持・継続する為の最低限の流動性を確保するか否かのデッド・ラインに入ってきたと散々云われた物だが、更に蝋燭のようなグラフのバーが溶けてゆく中を取引所としては粛々と自己都合の迷走を繰り返している。

企業としてもスリム化はもう限界で、これ以上の縮小は収益を上げなければならない営利企業として不可能なレベルと云う悲痛な叫びが彼方此方に聞こえてもう久しいが、これとて意外?にも業界としての形が残ったまま各方面で存在が継続されているという妙な均衡がある点が別な部分で凄い。

同紙には収益確保、地道な取組と枝葉模索の動きが一部載っていたが、経営もキレイゴトを言っている向きは商売下手と業界に蔓延していた時代がはや懐かしい。専業の枠でディールに活路を見出したい処もあるがこちらも純資産額規制の壁が立ちはだかる向きあり、まあゆくゆくはこれも自己資本規制比率へと言葉を変えてゆくのかもだが、昨日の日経紙一面「新たな利益・開拓急ぐ」の所「自己否定の覚悟」というのが載っていたが、次なるステージを見据えてこの辺を受け入れられる向きがはたして如何ほど居るであろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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