70ページ目   商品先物

境界線

本日からシカゴ商品取引所は、大量の投機マネーの流出入が先物価格を乱高下させ実需家に悪影響を与えているとして、年金基金などが農産物先物などに投資する際の持ち高を制限する模様である。

直近ではWTIが対ブレントの鞘や期近の動きを以ってその指標性が物議を醸し出しているが、この辺に関しては先週だったかCFTCの委員の一人がワシントンの講演にて昨年の商品相場の高騰原因には新たに参入した投機筋が大きな役割を果たしたと明言、相場操縦などの取り締まりを強化するにはCFTCが司法省と同様の犯罪起訴権限を持つべきだとの考えを明らかにしている。

さて国内、取引所も主務省もプロ化云々とかまびすしいが一般投機家主戦からファンドやディーラーへとその占有模様が変り相応のリクイディティーを創造したものの、崩壊しその受け皿さえ潰してしまった感ありだが、仮に先行き主軸をそうした大口系に依存してゆく事になった場合はこれら規制も日本が得意な右へ倣えで導入促進という運びになるのだろうか?

事が起きてから対処するパターンが殆どであるが、暴れるだけ暴れて味が無くなったら捨てる構図は未成熟市場に顕著で当事者にはワンチャンスでも旨み在り、先手の打ち方にも手腕が問われよう。


繋がらない各論

今週は週初に日本商品先物振興協会が制度政策委員会にて市場振興策と会員の経営活性化、市場の活性化などを骨子とする09年度の事業計画案をまとめた。

まあ、関係各所で各論ではいろいろと使い古した案が出てはいる模様であるが、例えば活性化策では市場参加者の取引費用低減策が示される一方ではTOCOMなど定率会費の引き上げをチラつかせるなど、依然として各所内での論議羅列の先にその脈絡を見出せないのは構造的ないつものパターン。

取引所といえばこの祭日前にも東穀取が一年間取引が無い生糸先物の上場休止を検討とあったがこの期に及んで「休止」とのたまうあたりも或る意味凄いし、また同日再生鉄も納会を迎えたがキャンペーンも空しく何時も通りの参加者不在納会とこちらも何とも荒涼とした感ありと、最近ではこの衰退論も何が最初にありきという順番もどうとでも取れるような状況となっている。

さて戻って上記の商品先物振興協会にしてもこの辺の核心については既に先週カウボーイが触れている通りであるが、この靄が掛かったようなモラトリアムの中、年明け早々に書いたように業界のみで自由裁量が利く時間もさてどれほど残されているのだろうか。


牛歩

FUTURES PRESSでも既報の通りだが商品取引所連絡会が発表した1月の商品先物出来高は前月比9.1%減の306万731枚と依然として冴えなかったが、今月に入って日本商品先物振興協会は東工・東穀・中部大阪・関西の4商品取引所に対し合併や解散・統合などを促すために「再編に関する提言」を示したと発表している。

そうこうしている中でも本日の時事にてカネツ商事は該当上場商品が人気離散傾向を強める状況にあり、中部大阪商品取引所と関西商品取引所の受託業務を廃止する旨の記事を見掛けたが、まあ最後に一括して纏めるので途中の川下の紆余曲折は黙認されているのかどうか、業界世論も背景に気運がマッチしているのにこれほど時間を費やしているのも珍しい。

結局は最終的な目的がまだ不透明という事の裏返しなのだろうが、証券の方でも中部はセントレックスが上場している五分の一が上場廃止基準に抵触する等こうした部分にも再編のネタあり。

そういえばお隣韓国では、証券や先物を手掛ける企業の合併や再編を加速し総合金融投資会社の育成を狙い、証券・先物など業種間の垣根を取り払う「資本市場統合論」が4日に施行される旨が2日付け日経紙にて載っていた。


オバマ氏就任

週明けから大きく値を飛ばし本日も全般冴えないTOCOMの中で堅調であった金市況だが、この金と云えば先週末付の日経紙商品欄には英GFMSの予測として、本年上半期に金の国際価格が過去最高値を更新する可能性があると発表した旨が載っていた。

米国の超低金利政策と積極的な財政出動からインフレ脅威や財政赤字を通じて金相場を押し上げるとの事であるが、現状足元ではデフレリスクを指摘する評論が頻繁に目に入る昨今、たしかに新興国の景気回復に伴う諸々の価格含めた争奪懸念に関しての危機感が感じられなく逆に穴なような感もある。

ところでヨーヨー・マはやはりイイなと思った昨晩のオバマ氏就任演説であったが政権始動でこの財政にしても国際発行で凌ぐということになろうし、こうした事からしてもケースとしてはやはりどうしても将来的にインフレ黙認の雰囲気も否定できないかというところで、そうした事からも従来の漠然とした懸念より一歩突っ込んだところから脚光を浴びる場面も増えるのかなという感じである。


適正回帰と改革

本日の日経紙には主要企業トップの年頭所感が出ていたが、この金融危機の中で迎えた新年を各々思い思いのスタンスで乗り切ろうとの決意が認めてあった。

一方で業界では取引所、協会等6団体が主催する商品先物取引業界賀詞交換会が昨日開かれ、こちらも時事に関係要人の年頭所感が出ていたが、数年前から云われているシンプルで当たり前な方向転換の再認が目立つ。

東穀取など「風を起こし、風をとらえて風に乗る」とコメントしているが、起こした風で自らが吹き飛ばされないよう祈るばかり、ただでさえJCCH清算参加者純資産額引上げを睨んでナーバスになっている取引員は取引インフラや整備等のミスマッチには辟易している向きが多い。

各々がパイに合った適正水準へ回帰する動きは今後も続く、というか加速しなければならないのが普通だろうがそろそろ総合的な構想に合せ業界のみで自由に動ける行動も次第に狭まって来る可能性も大か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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