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デリバティブの裾野

本日の日経平均は636.67円高と3営業日ぶりに急反発となったが、この上げ幅は2008年10月以来、実に4年8ヶ月ぶりの上げ幅とか。今日のところは前週末の海外相場を映しザラバで突っ込むこともなく終始堅調推移を辿ったものの、幅の大きでは歴代というレコードにランクインするような動きは依然として続いている。

日経平均だけ見ているとあれこれ試したい向きには一寸退屈感も出てこようというものだが、オプション市場など先月の歴代11位の暴落以降はなかなか面白い動きが続いている。本日も気迷いで日経平均反発をよそにダレる場面があったものの、コールのニアものなどで約5倍、1,000円ほど上のモノでは先の高値から100分の1以下にまで売られたふた桁モノなど1発で10倍以上に化けているものが見られる。

凪のような相場環境になってくるとセルボラなんぞが常套縦断になってくるものだが、新政権発足後は漸くというかセルボラ以外の単純なロングでもヒットするパターンが続出するようになり多少デリバティブの魔力にとりつかれる中毒者も養成されていようか。

そういえば先週の日経紙にも「相場急変 先物も使いよう」との記事が出ており、初心者向けの記事なのかミニを使ったヘッジ例が出ていた。まあ文言やシミュレーション等ケチをつければいろいろとあるが、従来とは違う層の参加者が急増してくる展開になるのも面白い、何れにせよSQに向けていろいろとまたドラマが展開されようか。


ライツイシュー急増

さて、今週の日経紙全面広告で一寸目に付いた物には最近積極的な攻めが目立つエミレーツ航空などあったが、もう一つ目に留まったのが「国内最大規模となるライツオファリングを実施します。」としたJトラストグループの企業広告であった。周知の通り同社は先にこの実施を発表しているが、しかし今年に入ってからというものこの手のファイナンスがにわかに増えてきたように感じる。

このライツイシュー、日本での実施第一号は不動産のタカラレーベンであったが、同社の場合はノンコミットメント型であったものの、新株予約権の証券会社による買い取り規制緩和も数年前に盛り込まれたことで、今年4月のIRジャパンが発表したライツイシューなどは初めてコミットメント型が採用されている。

ライツイシューは理論的には突然の増資発表で希薄化を嫌気し急落するパターンが軽減されるというものだが、この辺はやはり地合いにもよるだろうか。上記のJトラストなんぞはライツイシューを採ったにもかかわらず、あのJPモルガンアセットの大量利食いと時期が重なり、二度も即刻募集が打ち切られる事態になった「ザ・ジャパン」の驚異的なパフォーマンスに陶酔し安易に提灯を付けた向きなど撃沈された可能性が高い。

まあその辺はともかくオプションの如くこの新株予約権の部分も市場で売買できるということで、銘柄によっては先物オプション同様これ自体がけっこう仕手化するものも出てくるだろうしこれはこれでまた投資の選択肢となる場面があろうか。


利便性が課題

本日の日経平均は後場から急変、昨日から往って来いどころか倍返しの急反落でその下げ幅は今年3番目の大きさであった。と相変わらず激しい動きが続いているが、当然ながら日経平均株価の今後の変動率をどの程度に捉えているかを測る指数である「日経平均VI」は先月の急落以降もその水準が高止まりしている。

あの1,000円以上も暴落し歴代11位の下げ幅を記録した先月23日のそれはザラバで48台まで上昇、リーマンショック時の90台やもっと後では東日本大震災時の70台には及ばないものの週明けには37台、本日は39台での推移を見せており一般的に30あたりが基準にされていることからすればこの40前後は普段反応しないような材料でも日中乱高下し易く仕掛け難との認識になっているが、どうせならこうした時ほど関連商品などウォッチしておきたいもの。

ど真ん中の日経平均VIに連動した銘柄といえば現在はたしかETNで一つだったと思うが、他にも振り回しやすいレバレッジ型やJASDAQ20等ももっと商いを集めても良いと思うし、そうした意味においても後者のJASDAQ20などETFの割に会社によってはショートが出来ないところもあり、この辺は改善の余地ありだろう。


ニッチな広がり

昨日に東京金融取引所が発表した5月の株価指数証拠金取引の取引数量は、前月比で83.9%増の97万8,778枚となり過去最高を大幅に更新した模様。ちなみに前年比では465.8%の大幅増加となり、昨年末からは6ヶ月連続で取引数料が増加するなど、アベノミクスを追い風にしてこちらも順調な増加を見せている。

やはり大証が閉まった後でも取引出来たりするなどの利便性も着目されており、ボラティリティが高まってきている昨今などこういった部分は重宝するのかもしれない。また取引高の増加と共に建玉数量も急増しており昨年末からは約2.4倍の水準、通常の先物と違って配当相当額が支払われる等ユニークな特性もありこの中にはじっくり寝かすタイプも多いだろうか。

ただこの辺はどこまで行ってもやはり相場で、配当のパフォーマンスにホレているうちに値幅でヤラれるパターンもまた然り。優待タダ取りのつもりが逆日歩攻めに遭って高い優待になるパターンと一緒で如何にヘッジで回避してゆくか、原資産が同一の商品が山ほど取引可能な今だけにこの辺のストラテジーを考えるのもまた楽しい。


遅レス

本日の日経平均は5年4ヶ月ぶりに15,000円大台を突破、相変わらず活況を呈しているが東電一社で出来高が6億株を超えるなど凄まじい商いである。捌く方もシステム頼みというところになろうが、週明けには野村総研が証券会社向けに提供しているシステムが一時取引所のシステムに接続出来なくなるトラブルが発生していた。

さて、システム障害といえば米国でも米最大のオプション取引所CBOEで、ソフトウェアの不具合から先月には取引が3時間半停止するという一件があった。また昨年でもあのフェイスブック上場の際のナスダックの障害や身売り話までに及んだナイト・キャピタルの事件もあった。これら何れも高速化が負担になってそれに付随するものに起因しているということだが、既にHFTは広く普及しており後退は考え辛く今後均衡をどう測ってゆくのか大きな課題か。

しかし足元でも上記の通り昨今の大商いの影響なのか、最近になって約定が上がってくるのがとてつもなく遅い時がある。出来ているのは画面で歩みを見ていれば一目瞭然なのだが、日計りなど早ければ既に決済完了しているくらいの時間を報告までに要している事例もあり、この辺またぞろ執行リスクがクローズアップされてきている。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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