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米市場波及なるか

本日の日経平均は3営業日ぶりに急反落となったが、株式市場といえば先週には東日本大震災で途絶えていた新規上場が約2ヵ月半ぶりに動き始めた。非鉄金属リサイクル事業を手掛ける「クロタニ」がそれだったが、公募価格が仮条件の上限で決まる期待値の高さに反して、蓋を開けてみれば買い物が16万株そこそこしか入らず売り気配スタート、初値は公開価格比30円安と軟調でなんとも肩透かしの結果になっている。

この公開価格割れは3/15上場のアイディホーム以来のこと。同社の公開価格は一応PERで測ってみれば6倍台と一般的には割安感が出そうな水準ではあるが、今の市場では吸収額も気にされ加えて業態の地味?さも足を引っ張った模様だ。

思えばこんな状況は一寸前のちょうどリーマン・ショック時にもあったが、当時はその後に上場して人気化したグリーがそんな低迷ムードを打破した経緯がある。今回のクロタニが上場し現時点で予定されている新規上場は下旬の5社。目先は新規上場銘柄が個人の投資意欲を喚起するシナリオより需給不安の方が先行してしまうという見方もあるが、こんなグリーのような救世主?が現れるかどうか今後の推移を見守りたいところ。

そうそう話は逸れるが、グリーといえばソーシャルゲームサイト業界では直近で公正取引委員会がDeNAを取引先のソフト開発会社の契約行為を妨害したとして排除措置命令を出している。急成長する新興業界の競争の熾烈さを垣間見た一件である。


時価総額下克上・2

さて、先週末の日経紙には「時価総額の逆転相次ぐ」として、ライバル企業の時価総額逆転が株式市場で相次いでいる旨が載っていた。直近では個人情報流出問題から年初来安値を先週も更新したソニーが、1997年以来14年ぶりに日立の時価総額を下回ったという。

この辺は直近での事件も起因しているとはいえ、リーマン・ショック以降の構造改革の成否で明暗が分かれたとしており、この手では他に住生活Gが増加したのに対し積ハウスが減少と出ていた。他には新興国開拓での逆転組としてユニチャームと資生堂、いすゞとマツダ、ネット対応ではサイバーエージェントと博報堂DYがあり今やサイバーは電通に次ぐ業界2位という。

ちょうどこの時期にはよくこうした比較が行われるが今回挙げられていた企業で、2年前に当欄で同様の件について触れた際に登場していたのは日立やマツダ、それに高島屋があったが、当時はこれら全て苦戦組として挙げられていたもの。今回もマツダや高島屋はまたも下鞘に甘んじる苦戦組に入ってしまった一方で日立は堅調組に浮上となった。

こうした時系列で見ると各社の舵取りもまたよく見えてくるが、さて来年はどんな下克上が展開されるのか、また今回の日立の如く苦戦組の浮上なるか否か興味深いところ。


取引所の顧客考

昨日の日経紙投資財務面「一目均衡」には、機関投資家向け電子トレーディングシステムを野村証券で構築した第一人者が三菱UFJモルガン・スタンレー証券へ移籍した話が載っていた。同氏らによる電子取引システムの再構築が軌道に乗れば、証券会社の売買シェアが塗り替わる可能性があるという事で取り上げられたもの。

当欄でも何度か触れたように昨年から東証のアローヘッドが導入されたが、コロケーションサービスもスタート、総注文件数に占める高速取引の割合は当初の10%程度から今年の4月には34%を越えたと日経紙で報じられている。過剰流動性の増加や大震災の影響もあって斯様に注文件数が右肩上がりになるのは想像に難くないが、一方で個人や中小会員はすっかり蚊帳の外となった感も。

時代の趨勢もあって半ばこうした部分は殆ど無視され当然のように障害無くコトを運ぶことが出来たが、着々と大口主体というか外資の計画通りに事が粛々と遂行されているのはこれを含め昨今のリップサービスにも見て取れることである。

一連の計画は、ある意味一部投資家や一部会員の淘汰を促進させることにもなろうが、それでも基本の売買行為自体は当たり前だが変わりようも無い。遠大な誘致計画もまた変えようも無いだろうが、今後は市場に残る一般へもせめて税制面等の調整その他の再考が求められて来よう。


言葉の裏

本日の株式市場は、このところ売られていた主力どころに後場からカバー等も入り4日ぶりに反発となっていたが、日経平均といえば日曜付けの日経紙には震災復興と日本株の見通しとして、ストラテジストが株価上昇は夏場以降とした旨の座談会の様子が載っていた。

あまり先の予測をあれこれ考えてもさほど意味がないとも思っているが、要の復興に絡んでは目先やはり首相の辞任時期が気になるところ。補正予算の都合や東電問題もあるだけにこの辺は市場が材料にする大きな切っ掛けとなるか。米株式の方も連日の続落となっているが、今月末でいよいよ終了となるQE2を睨んでこちらもある意味催促相場と取れる。この次のQE3があるのか否か期待論は依然多いがこの二点が目先の焦点か。

株式市場は例外なく強弱材料が混在し、その時々で適宜理由が付けられる好都合の材料を煽って売買に利用するというのがマーケットの常。短期と中期ではまた影響も違ってくるものの、震災後「至急、日本脱出を!」と言いながら海外勢は日本株を買い仕込み、「頑張れ日本!」と言いながら国内勢は日本株を売り逃げている対極の構図があったが、最終形は何れが取るかこの辺もまた興味深いところ。


証券業界もまた

先週末は商品やFXなど業界系の決算に絡んだ株価模様など少し触れたが、同じ金融系では証券株もこのところ低迷が続いている。先週に大手では大和が既にあの震災ショック時の安値を下回り、みずほ証券、ネット系では松井やマネックスG、そしてひまわりHDなど軒並み年初来安値を更新、岩井コスモHDに至っては上場来安値を更新してしまっている。

この背景には本日の今年最低水準の出来高にみられる通りの市場低調が窺え、5/25付け日経紙「まちかど」でも10,000円コール(6月物)のプレミアムが東日本大震災以降で最安値を付け1万円大台回復期待が萎んでいる旨も書いてあった。しかし、タイムディケイのあるオプションはともかくもそうした性質を持たない株式において、震災ショックで急落してからのV字型急反発した値幅をダラダラとした下げで帳消しにしてしまった最も顕著なポストは証券だろうか。

証券ポストといえば取引所も然り、大証もまた先週に震災ショック時の安値をズルズルと割り込み年初来安値を更新している。震災直後に市場を閉鎖しなかったのを賞賛している向きもいるが果たしてそうなのだろうか?この辺はオプション絡みでネット証券共々まだまだ禍根を残すだろう。

それは兎も角、先週末は上記の年初来安値更新組からつい最近あのトレードステーション社を買収したマネックスグループが、発行済み株式数の6.25%に当たる20万株の自社株買いを昼休みに発表し後場から急伸していたが、この業界もまた東証上場やM&Aなどに絡んで今後はさまざまな思惑がジワジワと台頭してこようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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