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メダルと株価(冬季編)

さて、バンクーバーオリンピックもほぼ中盤、宴酣で連日その活躍ぶりが報道されているが、先週の日経紙マーケット面の「まちがど」ではメダリストとなった選手が所属する企業の株価が商いを伴って上昇した旨が載っていた。

また、メダルの獲得数が増えるほど五輪期間中の日経平均株価の上昇率が高まる経験則もあるとの解説が載っていたが、この辺はたしか先の北京オリンピックの際に当欄でも外資系証券が出したメダル獲得数と相関性が高い旨のリポートに触れた事を思い出す。

今回は前出の外資系証券ではなく、行動ファイナンス理論でいろいろ事例を挙げる大和CMあたりのを見てみると、東証再開以来の計測でメダル0個の時の開催期間騰落率は平均で−1.01%、1個では0.77%、そして2〜3個では4.42%となるほど上昇率が高まる結果となっている。と、ここまではよいがそれ以上のメダル獲得では逆にマイナスとなっており、これについてはバブル崩壊後の金融システム不安等の材料が大き過ぎたとの解説であった。

同リポートでは日本人選手の活躍が国民に勇気や自信を与え、人々の心理にポジティブに作用するとの事だが、まあ物は云い様というかサンプルの取り方如何か。今回はいろいろケチが付く場面も見掛けるが、団長としては過去最多であった長野を越える目標と抱負を語っている。前回は金一個が光っていたが、さて今回は如何なる結果になりますか。


相次ぐ破談

昨日は三井住友銀行に触れたが、この三井といえば昨年の9月には「互いの温度差」として、三井住友FGと大和証が合弁解消へ向かった件を書いたものだが、こうした金融系の破談報道では直近で新生銀行とあおぞら銀行もなにやら縁談に暗雲漂う旨の報道がなされている。もう一つ直近で縁談がマルになって紙面を賑わせていたのが金融系ではないが、キリンとサントリーの経営統合を断念するとした?婚約解消?報道である。

上記の三井住友FGと大和証の時も、三井住友FGが日興の事業を買収した段階で早々に彼らは別れると囁かれていたものだが、この件も統合比率やら透明性やらの前段階であまりにも相違があるその企業風土ゆえ、年末あたりから関係者の間では既に破談状態である旨が囁かれていたが果たしてかなという感じか。

今回のケースではよくある弱者同士とか呑込み型というパターンではなく、共に勝ち組同士の縁談であり、メジャーを睨んでという観点からもケースとして期待されていただけにまたも外資勢との競争力格差拡大が懸念され残念でもある。

さてこれで国内の勝ち組同士の縁談話がもうなくなってしまうのか否かだが、マーケットのパイを鑑みた場合縮小懸念が燻るなかで選択肢として再編は不可欠、何れまた興味のある婚約話が舞い込むかもしれずこの辺に期待したいところ。


形式か実質か

さて、今週ちょっと気になった報道といえば、先にKDDIが発表したCATV最大手のジュピターテレコムの株式買い取りが金商法のTOBルールに抵触する恐れがあるとして、金融庁が調査に入った旨の報道である。

周知の通り上場企業の三分の一超の株式を取得するケースではTOB実施が義務付けられているが、このケースでは対象株式を保有するペーパーカンパニーを買収するという間接取得の形態となる為にこのルールが適用となるか否か、当初から関係筋の間でも意見が割れていたという経緯がある。

当のKDDIとしては子会社の買収であって株式取得行為ではないとしているが、個人的には議決権の絡みなどでも一般株主を飛び越えて支配権の異動が起きるわけでこの辺は如何なものかとも思う部分があるが、さて今後どういった解釈がなされるのか関係省庁の判断が待たれる。

そうそう、この件に関してもう一つあった。当日にKDDIが行ったこの件のディスクロで、この情報開示があってからもなお大引まで取引が継続されたという点。以前のジャクダックなら取り立てて話題にもならなかったが、大証のシステム移行後は取引時間が大証と同じく延長されているにもかかわらず、本件の開示は従前通り15時キッカリに行ってしまったのはウッカリミスとも取れいかにもお粗末である。金融庁が本件で動いている折、東証などもこの辺の監視のあり方が問われるのではないかとも思う。


まだまだ「ざる法」多数

さて、週初の日経紙などをパラパラと捲って見ていたら月曜日の法務欄には、未公表の重要な企業情報を使って株式を売買するインサイダー取引の摘発が相次いでいる旨の記事が大きく出ていたが、摘発で最も多いのはTOB絡みで09年は21事案のうち10事案を占めた模様。

まあ「相場に絶対は無い」などといわれる中で、確実に上がるのはこのTOBで逆に確実に下がるのは破綻とも言えるが、昨今はTOBも急増し10年前の10倍になっているのに加えて破綻から上場廃止になる数も急増しているという背景もあって、素地としてはオイシイこの双方に触れる機会が急増した分だけ好環境?になっている訳だ。

そうそう、インサイダー取引といえば直近では年末にジャスダック上場株を巡って一億円以上もの利益をあげた外資系生保の外務員が居た。余談だが、同外務員の上席にあたる人物と先日会った際にこの話題で盛り上がったのだが、彼は会社でこそ仲間は少なかったものの、ネットワークを駆使した営業で頭角を現していったらしく、これを犯罪までフルに活用し切ったパターンか。

それはさておき、証券取引等監視委員会は起訴された4,500万円の事例とは別に開設した口座で儲けた一億円以上の利益に関しては、所謂「2次情報受領者」扱いになる為に規制対象外から告発を断念した旨がいわれている。フィルターを挟んで抜けるなんとも単純な構図だが、政治資金規正法然りまだまだザル法の課題は多いなと。


夫々のモラル

本日の株式市場は円が強含んだこともあって続落となっていたが、業種別では金融系が弱く年明けからスルスルと上昇してきた銀行株も三井住友F始めとして軟調を余儀なくされていた。

さてこの三井住友F、今週中には公募売り出し価格が決定する見込みということで引き受け筋からの売り物も云われているが、まあ原理としては値決め日よりも下鞘確実なわけで、これをターゲットとしてショートする裁定はもうお約束だろうか。

しかし当欄で昨年、大手一角の連中とプライマリービジネスはやはり旨みがあると書いた事があるが、昨年12月までに証券会社が得た引受手数料は1,500億円以上にも上っているという。年末の日経紙では「黒子役、市場を圧迫」として無謀な増資を進めれば、企業は株価下落のシッペ返しに遭う、それ以上に憂き目をみるのは個人を含む投資家だ。としているが当の本体もロックアップ期間を過ぎた途端に一転して従前とは違ったファイナンス見解を述べ始める等、投資家を欺くような言動にも問題が残る。

こんな時世で受け側も本音では受けたくない?向きのところも少なくないと思うが、そう考えると少しでも値下がりリスクを回避しようとする上記一連の行動も一概に避難するのは何やら酷な気がしないでもないが、そうなるとやはり掟破り的な大型増資を敢行した発行体に矛先が向くのはやはり仕方の無いことなのかもしれない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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