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通称パンダの先物取引開始

昨日も触れたようにG・Sショックの影響で昨日はアジア市場も荒れたが、中でも下げが顕著だったのが中国で本土市場では上海総合指数が急落、CSI300指数なども然りで09年8月末以来、最大の下げを記録している。

ところで、中国金融先物取引ではこのCSI300指数を原資産としての先物取引が先週末から始まっている。ちなみに基準値は3399に設定していたが、果たして初日は全4限月が上昇してスタート、出来高も予想以上のものとなっていた。

こちらは当局の規制もあって当面の参加者は個人投資家とはなっているが、将来的にはこうしたデリバティブの登場は投資信託やらETFのアレンジを生み出し、金融商品の幅を大きく広げることから投資環境の変化には大きく寄与することになろう。

デリバティブ成熟市場の国々で規制機運が出ているのとは逆に、中国では前にも触れたナスダックのようなベンチャー物の「創業板」がスタート、続いてマル信の解禁、そして今回の先物取引解禁と次々に標準化が進むが、これらに則して生み出されるニッチビジネスもかつての日本の軌跡を辿るのであろうか?市場を考えればリスクと引き換えに応分に儲かりそうなネタがゴロゴロしている。


国外流出加速?

本日の日経紙で目に留まったのは景気指標の頁で、09年度の国内ベンチャーキャピタルによる新興企業への投資額は3年連続の減少で、08年度の1,366億円の半分程度に止まり、国内ベンチャーキャピタル投資の低迷が深刻な旨が載っていた。

ベンチャーキャピタル絡みというと、IPO機運の盛り上がりがすっかり廃れてしまい取引所でも少子高齢化?が進んでいる記事も見掛けた事があるが、こうした環境その他の件を背景に上場予備軍も海外へ活路を見出す向きも。そういえば直近では未上場組からクリック証券が韓国のKOSDAQに上場申請したばかりだなと思い出す。

このクリック証券も元を辿れば上場子会社を幾つか有するGMO系であったが、こうした子会社の問題に関しても金融庁は子会社上場のあり方の検討を例の報酬開示と並行して求めている。しかし東証側としては、上記の通りベンチャーに勢いがない現状では企業内ベンチャーなどに期待するほかなく、上場子会社を過度に規制するのは不適切といった意見が大勢を占めた模様。

新興企業もVCマネーも国外流出する兆候が気懸かりとはしているが、こうした上場子会社の規制とかその上場以前のIPO基準とか、はたまたもう少し末端ではFXやらCFD規制云々、監督する側も臨機応変に規制の手綱をコントロールしないとこうした流出の問題は根本的にはなかなか収まらないのではないかとも思う。


再編途上

さて、新年度入りした先週は多くの企業が一斉に入社式を開いたが、1日以降の大手紙でも合併や統合などで誕生した新会社の全面広告などもまた数多く目に付く。

株式市場でもこれらのうち石油業界では二社統合組のJXホールディングスが上場、また保険業界では二社統合組のNKSJホールディングスも新規上場を果たした他、三社統合組のMS&ADインシュアランスグループホールディングスも誕生した。

斯様に一部では破談が相次ぐ一方で合意に至った統合組が新しい出発をしたわけだが、上記のJXホールディングスはこれで国内シェア3割強となったものの、内需縮小などで経営環境は不透明だ。保険にしても内需型のこの市場の特性として世界景気回復の恩恵を受け辛いとされ、市場の頭打ち感とも相俟って収益の成長性は必ずしも楽観できるものではない。統合をテコに上流部門強化や再編メリットをどの程度活かせるかが問われ、株価も今後それらを織り込んでゆくことになるか。

そうそう、大阪証券取引所もこの新年度入りにジャスダック証券取引所を吸収合併したが、他の国内新興市場にしても新規上場はもとより取引自体が低迷している現状下、こちらもまだまだ再編の芽があるといえようか。


配当指数

さて、権利付取引最終日を明日に控えて一部個別では行色も鮮明になってきている株式市場であるが、先に日経紙が伝えたところによると2010年3月期の配当総額は前年同月比5%増と上場企業の配当が増加に転じる見通しである。

半期ベースの配当が増加するには09年3月期の上期以来、3半期ぶりとのことだが、ここ最近の個別の報道を見ていると増配や復配予定などの報道もよく目に付く。主力大型物の増配・復配もさることながら、小粒の異業種でもこうした動きがあり長期に亘って有望と思われるものも少なくない。

ところでこの配当といえば、今週は東京証券取引所が、日経平均株価やTOPIXを構成する各銘柄の配当金額を指数化した「配当指数」を7月に上場すると発表している。欧米では既に主要株価指数を対象にした配当指数が算出・公表されスワップや先物取引など拡大しつつあるが、アジアの取引所では初の試みになるという。

これら対象銘柄の配当支払いが確定する度に指数値が積み上がり期末まで上昇、新年度に最終値公表という具合だが、株価ではなく配当額に着目した指数というところが新しい。今後は配当部分の変動リスクヘッジ、カウンターパーティーリスク排除といったサービス提供が身近になるかどうか開始を待ちたい。


上場機運

さて、先週末には米大手ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)がニューヨーク証券取引所への株式上場計画を明らかにしている。発行済株式数の約3割を売り出す予定で、上場規模は推定で約22億ドルに上るという。

そういえばこのKKR、3年近く前にも当欄では上場予定に触れた事があったが、リーマン・ショックの影響も大きく延び延びになっていた模様。大手ファンドの上場事例としては昨日書いた中国の資源メジャーへのM&A案件の背後に一部絡んでいたとも指摘されているブラック・ストーン・グループがあったが、そういえばKKRも日興プリンシパルなどに食指を動かしていた時期もあったなと思い出す。

何れも既に国内には根をおろしており、このKKRの方は数年前にはあの資生堂の福原名誉会長をシニアアドバイザーに任命しているあたりが面白い。ちょうど今も銀座で「私と蘭」なる写真展を開催するなど文化人でもある同氏の視点からあらたな展開があるか、またこの上場でLBO事業など顕著化してくるかどうかである。

さて、新規上場といえば今年は国内でも大型モノとしては間近に控える第一生命、そして大塚HDなどが期待されている。上場効果から一般的には大量のマネーが市場に流れ出てGDPを押し上げるとまでいわれているのに加えて、昔のマンモス企業上場効果の連想で証券人口増加から証券会社の期待も其れなりに大きい。世界的にこうした機運が盛り上がりを見せ、景気回復の一助となるか注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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