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国策支援と自力増資

本日の株式市場で目に付いたのは、日経紙一面にも載っていたようにオリックスや全日空などの大型公募増資組の下げであった。

そういえばこの全日空、やはりというか例の日航支援に関して政策上公平性を欠くとして国土交通省に再考を申し入れていた件も昨日報じられているが、この支援に関しては直近で採り上げたように一企業への融資に政府保証が付くという異例の国策とも言える支援だろう。

スキームからして諸外国よりまだタチが悪そう?だが、こうした自国への支援を競うようになればまたぞろ保護主義が台頭で経済活性も失われようというもの。この日航と共に直近で話題になっているエルピーダも或る面そんな感じか、内外環境が変らないまま公的支援をバックに寡占等を目指すなら、形ばかりの事業計画はそれこそ意味を成さない。

さて日航支援は不公平としつつ自力で増資に臨んだ全日空だが、これや銀行や証券含めた主力の金融系始め続々と増資の傾向が目に付く。株価としては当初上記のように希薄化懸念で売られるのは致し方無いが、今後はこれらを如何にカバーする計画があるかどうか、これはこれで国策支援される企業の事業計画とは異質で形ばかりというわけにはいかないか。


株主の変遷と総会

先月あたりから株主宛には株主総会招集通知や議決権行使書の封筒が舞い込んでいたが、今年ももうそんな時期かという事で明日金曜日は株主総会が集中する日、信託銀行の代行部やら一部意見を元に総会用の想定問答集を作成したりやらでここ数日は関係各位の苦労が窺われるところ。

今年は減配更には無配も目立つ事から、議決権行使書の会社議案賛否表示欄の訂正印?の如く小さい賛否欄の否に丸印をつける反対票が例年より多かったらしいが、株主総会については連日主だったところの報道を見ていると横並びな開き直りなのか慇懃無礼なふざけた議長が未だ多く見られる。

金融危機の影響や締め出し?やらで一頃のモノ言うファンド系が減ったと安堵している部分もあるのだろうがそれも束の間、先の日経紙にも個人が20%を越すと出ていたように変わって個人株主や機関投資家の存在が再度際立ってきており、会社側もこれに対してはもっと真摯に向き合うべきであろう。

しかし昨今の金融危機で巨額の評価損を計上する企業が相次いでいるが、やはり持ち合いの部分の値洗い含め酷くこの辺も昨今の特徴。一頃バブル崩壊で悪しき慣習との声に解消が進んだ時期があったが、買収ファンド全盛時代から買収防衛目的等の基にここ再び増加傾向にありこの辺は今後の方針も含め経済的合理性が問われて然るべしか。


次は環境バブルか

昨日急落したあと本日の日経平均は小反発であったが、今日は野村アセットによる投信設定が二本あり一つはバイオ関連の「野村ピクテジェネリック&ゲノムファンド」、そしてもう一つは環境関連の「野村RCMグリーンテクノロジーファンド」であった。

別に個別の投信設定なんぞは興味も無いのだが、直近で「証券業界、環境バブルに期待」とかいうタイトルで、金融危機で大きな打撃を受けた証券業界がこの?環境モノのバブル化?で株式市場や関連金融商品への投資資金流入を加速させ再浮上を目論んでいるという旨の記事を見掛けた後だけに一寸気になった。

両者共に以前から組入れ思惑もあって既に関連銘柄が物色されていた形跡があるが、はて何故この期に設定なのだろうか?それこそインフル関連よろしく一部銘柄は何度もオモチャのように繰り返し物色されて、相場としては手垢が付き過ぎてもう老境、仮にこんなモノを大量に組入れたらそれこそていのいい解体紛いなどという疑義が出てくるとは考え過ぎだろうか。

明後日にも大和住銀がこれまた環境関連の「環境ビジネスオープン」を設定する運びとかだが、受け皿とは聞こえが悪いが結果如何ではまさにピッタリの形容ともなってしまうのでさて各社の組入れまた運用拝見というところか。


引き摺る鶴丸時代

本日は朝から一寸所用で成田空港へ。ちょうど通って来たチェックインカウンター近辺ではカートやら壁のパネルやらで何かと目に入ってくるクリック証券の広告が目立っていたが、インフル騒ぎも一過となったか地上スタッフや搭乗者やらマスクをしている人を探す方が難しいくらいで何時もと変らぬ光景であった。

さて中央塔の方ではJALのArtwinds25周年記念美術展など催されていたが、このJALといえば先の日経紙でも触れていたように、政府系金融機関の日本政策投資銀行などが月内にも1,000億円程度を融資する見通しになっている模様。

先にも急転直下の下方修正が痛々しかったが、そういえば株価の方もANAの下鞘がもう恒常化しており今やこちらの方が常識として固まってしまった。社長が電車通勤とかその年収がどうのとか話題になった時期があったが、失礼ながらそうしたパフォーマンスを以ってしても根本は特殊法人体質からの脱却遅れという部分が一番の問題点だろうか。

その辺は同紙でも指摘している通り政投銀による同社支援は過去10年で3回目という部分が物語っているだろう。そういえばつい先日もフライトアテンダントと食事をしていた際にも「ウチほどそっちの依存色が強い会社はないわね」と彼女が言っていたのをフト思い出した。


バイブルの影響力

週明けは達成感からか終日冴えなかった株式市場であったが、本日は株式投資のバイブル?「会社四季報」と「日経会社情報」の発売日であった。昨日の日経紙などでその広告を目にし、はやそんな時期かなとも思ったものだ。

さてこのどうにも収まりの悪い小太りな本、ちょっと前までは口座さえあれば送っていたのかどうか彼方此方の各社から一斉に送られて来たものだが、昨今その数も徐々に減って来ているのも世の表れか。

あらためて昨年や一昨年のモノをパラパラとめくって見るにつけ、最高益更新企業やそれに近い企業がいとも簡単に市場から消えていっており、各頁に出ている来期予想や計画も今となってはなんとも虚しく見えてくるもので実に諸行無常の響きありである。

しかしここ一年で斯様に外部環境の急変もあって収益予想一つ取っても困難極めているだろうがそこは所詮予想、よく逆から読んでウソヨなどといわれているが、絶対的な物としてあれこれ考えるのはヨソウ程度の余裕を持たせて見るくらいでちょうどよいのではないだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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