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再編途上

さて、新年度入りした先週は多くの企業が一斉に入社式を開いたが、1日以降の大手紙でも合併や統合などで誕生した新会社の全面広告などもまた数多く目に付く。

株式市場でもこれらのうち石油業界では二社統合組のJXホールディングスが上場、また保険業界では二社統合組のNKSJホールディングスも新規上場を果たした他、三社統合組のMS&ADインシュアランスグループホールディングスも誕生した。

斯様に一部では破談が相次ぐ一方で合意に至った統合組が新しい出発をしたわけだが、上記のJXホールディングスはこれで国内シェア3割強となったものの、内需縮小などで経営環境は不透明だ。保険にしても内需型のこの市場の特性として世界景気回復の恩恵を受け辛いとされ、市場の頭打ち感とも相俟って収益の成長性は必ずしも楽観できるものではない。統合をテコに上流部門強化や再編メリットをどの程度活かせるかが問われ、株価も今後それらを織り込んでゆくことになるか。

そうそう、大阪証券取引所もこの新年度入りにジャスダック証券取引所を吸収合併したが、他の国内新興市場にしても新規上場はもとより取引自体が低迷している現状下、こちらもまだまだ再編の芽があるといえようか。


配当指数

さて、権利付取引最終日を明日に控えて一部個別では行色も鮮明になってきている株式市場であるが、先に日経紙が伝えたところによると2010年3月期の配当総額は前年同月比5%増と上場企業の配当が増加に転じる見通しである。

半期ベースの配当が増加するには09年3月期の上期以来、3半期ぶりとのことだが、ここ最近の個別の報道を見ていると増配や復配予定などの報道もよく目に付く。主力大型物の増配・復配もさることながら、小粒の異業種でもこうした動きがあり長期に亘って有望と思われるものも少なくない。

ところでこの配当といえば、今週は東京証券取引所が、日経平均株価やTOPIXを構成する各銘柄の配当金額を指数化した「配当指数」を7月に上場すると発表している。欧米では既に主要株価指数を対象にした配当指数が算出・公表されスワップや先物取引など拡大しつつあるが、アジアの取引所では初の試みになるという。

これら対象銘柄の配当支払いが確定する度に指数値が積み上がり期末まで上昇、新年度に最終値公表という具合だが、株価ではなく配当額に着目した指数というところが新しい。今後は配当部分の変動リスクヘッジ、カウンターパーティーリスク排除といったサービス提供が身近になるかどうか開始を待ちたい。


上場機運

さて、先週末には米大手ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)がニューヨーク証券取引所への株式上場計画を明らかにしている。発行済株式数の約3割を売り出す予定で、上場規模は推定で約22億ドルに上るという。

そういえばこのKKR、3年近く前にも当欄では上場予定に触れた事があったが、リーマン・ショックの影響も大きく延び延びになっていた模様。大手ファンドの上場事例としては昨日書いた中国の資源メジャーへのM&A案件の背後に一部絡んでいたとも指摘されているブラック・ストーン・グループがあったが、そういえばKKRも日興プリンシパルなどに食指を動かしていた時期もあったなと思い出す。

何れも既に国内には根をおろしており、このKKRの方は数年前にはあの資生堂の福原名誉会長をシニアアドバイザーに任命しているあたりが面白い。ちょうど今も銀座で「私と蘭」なる写真展を開催するなど文化人でもある同氏の視点からあらたな展開があるか、またこの上場でLBO事業など顕著化してくるかどうかである。

さて、新規上場といえば今年は国内でも大型モノとしては間近に控える第一生命、そして大塚HDなどが期待されている。上場効果から一般的には大量のマネーが市場に流れ出てGDPを押し上げるとまでいわれているのに加えて、昔のマンモス企業上場効果の連想で証券人口増加から証券会社の期待も其れなりに大きい。世界的にこうした機運が盛り上がりを見せ、景気回復の一助となるか注目される。


増幅される新興国モノ

この休み中に日経紙経済面で目にしたのは、09年度にBRICs関連投信への資金流入額が公募投信全体の5割に達する見通しと出ていた件。これらの信託報酬は比較的高めなことから、価格変動リスクと共にこれらコストに見合う成績が得られるかに留意としている。

それにしても投信といえば昨今目立つのは所謂「通貨選択型」、本日も幾つかあったが新聞に大きくスペースを確保して広告するのは中小から大手まで挙ってこの手のパターンである。そういえば、一月末時点でこの手のモノの純資産残高は3兆円近くに迫る勢いであるというからなるほど凄い。

そんな資金の集まり具合からこれらの人気は想像に難くないが、既にマーケットでは投機筋がこれら多額の設定を見越しての買いを膨らませる行為も目立つと指摘されている。ただでさえ投信設定が上昇要因となっているところへこれらも加担し更に変動を大きくしているともいえようが、欧州始め信用不安波及がどの程度になるか不透明な中、高リスク資産への投資資金の安定性は如何ほどだろうか。

ハイ・イールド債やヘッジプレミアムやら手軽に代行とはいうものの、中身はヘッジというより残高シェアを伸ばしている「毎月分配型」なんぞも分配金を確保する為に其れなりのリスク資産で運用していることもあり、これらも併せて総合的に判断する余裕も持ちたいものである。


ETF成功の鍵

本日のTOCOM日中では円高圧力もあって冴えない金であったが、NY金は続伸し1月中旬以来の高値水準となっている。この金といえば直近ではあのソロス・ファンド・マネジメントが、第4・四半期に金連動型ETFのSPDRゴールド・トラストへの投資を倍増させたとの報もあったなと。

ところでこのSPDRなどのETF、国内でも最近は随分と種類が増えてきた事もあって、新興国や商品関連モノなども日々チェックする機会が増えてきたが、もちろん王道の指標系もそのクセの比較などもありこれらもチェックからは外せない存在。

そうした中には野村アセット等の指数系同様に上場してから比較的リクイディティがあるiシェアーズ日経225もあり、このブランドを展開するのは世界最大の資産運用会社、米ブラックロックであるが、ちょうど今週の日経紙にはこの米ブラックロックが日本での上場投信を強化する旨が出ていた。

同ブランドで展開するETFは世界の上場投信の48%の残高シェアを持ち、今後は国内証券取引所への上場商品を大幅に増やしてゆくとの事だが、現況ETFはフィーが安いという事から証券会社も乗り気でないのか販売に力を割いていない。この辺はなんだか商品先物のミニシリ−ズとも重なって見えるが、そんなわけで商品数が4倍に増えている一方で残高は逆に4割も減少しているという地盤沈下が目立つ。

先に商品先物連動型ETFが上場した際に、かたや消えていった新興国通貨連動型ETFについても触れたが、国内ETFは先ず機関投資家が要、如何にリクイディティを確保し運用エラーを減らすことが出来るかがキーだが、同社始めとした戦略が奏功してくれば可也面白いものになってこようか。

さて、こうした機運に鑑みて、新年度からはこうしたETF等も含めて、個別の相場についても時折具体的に触れてゆきたいとも考えている最中。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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