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コンサバ回帰

昨日の日経紙一面にあったのが、株安で今年度の運用利回りが2月末迄で18%以上のマイナスに落ち込み、企業年金が運用資産に占める株式構成比率の引き下げに動いているという記事。

これで思い出したのが数十兆円という運用資金を持つJA共済連やそれに次ぐ規模の全労済が、従来の安全運用を基本とする債券中心の保守的運用から株式等へのリスクを取りに行く積極投資へ方針へ転換したものの、市況悪化が直撃し結局保守的運用へ戻ってしまった経緯があったという事。

この辺は約束利回りを下回る逆鞘状態を何とか解消したいという苦肉の策が垣間見られた訳だが、やはり背に腹は変えられないという事だったのだろう。

ところでもう一つ、同紙の市場アウトルックに出ていた某ストラテジストの「〜厚い壁を上回れば株をもたざるリスクも意識〜」という旨のコメントを見て思ったのだが、こうした考え同様に機関投資家というのは上昇相場でリスク許容度が高くなり下落相場で債券系シフトが進むというパターンが殆ど、生保も含め「順張り」と「逆張り」のカラーが分かれるところだが動きたい時に動ける余力を持つのはマイノリティの方か。


官製相場懸念

週末に大証のイブニング・セッションではサーキット・ブレーカー措置が発動になり、週明けもこの日経平均は続伸しているがこの株式、週末の日経紙一面には政府が「銀行等保有株式取得機構」の機能を拡充し、株価指数に連動する上場投資信託(ETF)の買い取りを可能にする方向で検討に入った旨を伝えている。

まあ期末を前にしたPKO復活というところで公的資金の市場への直接介入が為されようとしているが、ここ続伸している不気味な株価も更に実態経済や企業業績がこれらでベールに包まれてしまい、ますますこれがはたして公正な価格なのか否か一層その不気味さが増した感ありだ。

相場勘定がマイナスになったら要は税金負担だろうというオチもさる事ながら、直近ではプット等含めたヘッジという部分の必要性が薄いという歪な認識の変化が蔓延してくるのも怖い気がするが、これらが材料視されて株価が続伸する限りそうした増殖は自然だろう。

期末を睨んで重要なインフラである金融の核心部分を保護する意図も理解できるものの、日経でも指摘しているように「官製」相場のレッテルを他から貼られてしまったりしたらそれこそ「完成」市場にはほど遠いという事になるだろう。


退廃気運

その去就が注目されている米GMであるが、週末は破綻容認観測も台頭し株価が1ドル台前半へと1933年以来、約76年ぶりの安値にまで沈んだ模様だ。
この辺を筆頭にシティーグループは1998年に合併して以来初めての株価1ドル台割れ、月初に追加支援を決めたAIGは更にこれの半値以下にまで下落しており、ニューヨーク証券取引所の暫定措置後を見据えて早くも上場廃止論が出てきている。

しかしまあ、ゼネラルとかインターナショナルとか世界を制するかのような?社名を持つだけあって先に発表された赤字も米GMが4年連続の赤字で約3兆円、AIGも08年通期の赤字が9兆円以上と金銭感覚を麻痺させるに十分な数字を弾き出してきている。

英RBSも先に3兆円以上と英史上最大の赤字を発表しているが、これだけあちこち兆という数字が乱舞すると国内の大型破綻といわれたところでさえ小さく見えてくるが、上記AIGへの政府救済金の使途について早くも物議が醸し出されて来たり、今後狭まる存亡選択肢の議論と併せ一体何が正しい事なのか退廃ムードも広がってくるのは必至だろうか。


次の淘汰ポスト

先月25日に開幕した09〜10年秋冬ミラノコレクションも本日で終るが、関係者によれば直前のキャンセルもあって参加ブランドは昨年から10以上も減少した模様である。

斯様に不況の影響がファッション業界をも侵食しているが、こうしたコレクション物でさえこの状況では一般アパレルこそ推して知るべしで、国内でも既にセオリーがユニクロの傘下に収まるなど各社生き残り合戦がヒタヒタ進行している。

ちなみに今年に入ってからも上場企業の破綻は早くも11社と異常なハイペースが続いているが、直近で破綻したのはシャツ大手で知られるトミヤアパレル、同月のその前にはゴールデンベアで知られていた小杉産業も破綻している。

斯様にパンク企業が不動産関連一辺倒であった昨年からアパレルポストもその順番で次第に呑み込まれて来ているが、この期に及んでまだ殆ど一部役員の趣味の領域としか思えない赤字垂れ流しのアンテナ事業を継続させているアパレル企業もあるのを見るとまだまだ崩壊余地は大きいとも感じる。
余談だが、フォーブスの09年版「日本の億万長者」でトップに立ったのはユニクロの社長であったが、目下のところこの業界で独り勝ちは同社のみ、不況期の特徴の一つでもある需要の一極集中が如実に出た形だがデフレ経済の指標の一つだけにそうした面からも注目したい。


国有化の是非

昨晩のバーナンキFRB議長の下院金融サービス委員会証言では、注目されているシティグループについて国有化を望んでおらずその必要性もないとの言明が為された。

ちなみにシティグループの株価は年末の6ドル後半から直近では安値1ドル台となんとも酷い、まあディーリングやるには面白い銘柄ではあるが国有化になれば株主持分は当然ゼロ、この辺が思惑だが当該のシティ始めとして他の大手金融機関の普通株式をある程度は取得する可能性がある事も仄めかしており、そうした経緯から中途半端な国有化が脳裏に浮かぶという矛盾も出て来る。

国内も日経平均株価が今週は一時バブル後の最安値を記録したが、これは昨年当欄でメガバンクを以ってして金融系の本格的立ち直りまでは楽観論はどうかなと指摘した通りである。

ちょっと前の米政府系住宅金融会社も粛々と規定路線通りに事が運んだ訳だが、概ね今迄は昨年に某ファンド関係者から聞いていた通りの筋書き通りに進んでおり、俄かに対主軸通貨で弱含んで来た円含めて注目点はまだ多い。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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