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時価総額下克上

さすがに9連敗していたこともあって本日の日経平均は10日ぶりに自律反発であったが、直近まで元気印であった銘柄の戻りに期待する向きは多く、この辺の高下でまた業種内での時価総額も変遷してくるのだろうか。

この辺に関しては先月末の日経紙に時価総額、相次ぎ逆転と出ていたように、テーマ別に堅調組・苦戦組と売上規模で数倍違うもの同士の時価総額の逆転・肉薄する銘柄が数多出ている。

ざっと挙がっていたのは環境からはGSユアサとマツダ、食品や生活からは王将フードとロイヤルやファーストリテイリングと百貨店4社、そしてブックオフと丸善、固定客からはキーエンスと日立、近鉄とJR西日本等々がそれだが、そうそう春先には03年に実質国有化されてから初めてりそなHDの時価総額がメガバンクの一角のみずほFGを上回った事が話題になっていたのも思い出した。

時価総額もそれならこうした現象が賞与にも出ており、ダイヤモンドでは新日鉄の賞与を子会社の大阪製鐵が上回っていた事を珍事として取り上げられたりもしていた。こうしてみると株に限らず昨年の金と白金の逆転現象など、商品まで含めてこれらは世相を反映した期待や構造変遷の表れとつくづく感じる。


デリバティブ性悪論

日曜日の日経紙特集では、検証・グローバル危機としてレバレッジの話がいろいろな視点で書かれていたが、そういえば週末にはガイトナー米財務長官が、金融危機の一因となった複雑な仕組みのデリバティブを扱うG・SやJPモルガンなど大手ディーラーに対する監視を大幅に強化するよう求めたばかり。

本来はこうした主力のプロがヘッジを掛けるからこそ市場からアラームも感じ取れるのだが、結局は過剰流動性と共にデリバティブを複雑に埋め込んだレバレッジの増殖が雪崩れのトリガーになった部分もあろうし、権限一任とか使う方の不備も問題があろう。

クラッシュした後は何時もの事ながら警告論が生かせなかったとか、デリバティブ性悪論が彼方此方で喧伝されその当たり先も規制という方向へ靡いてしまうもので、昔もバブル崩壊後などボロボロになりつつあるとき時の政府が先物手数料を倍にしたり、最近ではカラ売り規制なるものが台頭したりと記憶にあるが、リスク回避という本来の手段を雁字搦めにしてしまう事がはたして市場に取って健全な措置なのか熟考が望まれるところだろう。


国策支援と自力増資

本日の株式市場で目に付いたのは、日経紙一面にも載っていたようにオリックスや全日空などの大型公募増資組の下げであった。

そういえばこの全日空、やはりというか例の日航支援に関して政策上公平性を欠くとして国土交通省に再考を申し入れていた件も昨日報じられているが、この支援に関しては直近で採り上げたように一企業への融資に政府保証が付くという異例の国策とも言える支援だろう。

スキームからして諸外国よりまだタチが悪そう?だが、こうした自国への支援を競うようになればまたぞろ保護主義が台頭で経済活性も失われようというもの。この日航と共に直近で話題になっているエルピーダも或る面そんな感じか、内外環境が変らないまま公的支援をバックに寡占等を目指すなら、形ばかりの事業計画はそれこそ意味を成さない。

さて日航支援は不公平としつつ自力で増資に臨んだ全日空だが、これや銀行や証券含めた主力の金融系始め続々と増資の傾向が目に付く。株価としては当初上記のように希薄化懸念で売られるのは致し方無いが、今後はこれらを如何にカバーする計画があるかどうか、これはこれで国策支援される企業の事業計画とは異質で形ばかりというわけにはいかないか。


株主の変遷と総会

先月あたりから株主宛には株主総会招集通知や議決権行使書の封筒が舞い込んでいたが、今年ももうそんな時期かという事で明日金曜日は株主総会が集中する日、信託銀行の代行部やら一部意見を元に総会用の想定問答集を作成したりやらでここ数日は関係各位の苦労が窺われるところ。

今年は減配更には無配も目立つ事から、議決権行使書の会社議案賛否表示欄の訂正印?の如く小さい賛否欄の否に丸印をつける反対票が例年より多かったらしいが、株主総会については連日主だったところの報道を見ていると横並びな開き直りなのか慇懃無礼なふざけた議長が未だ多く見られる。

金融危機の影響や締め出し?やらで一頃のモノ言うファンド系が減ったと安堵している部分もあるのだろうがそれも束の間、先の日経紙にも個人が20%を越すと出ていたように変わって個人株主や機関投資家の存在が再度際立ってきており、会社側もこれに対してはもっと真摯に向き合うべきであろう。

しかし昨今の金融危機で巨額の評価損を計上する企業が相次いでいるが、やはり持ち合いの部分の値洗い含め酷くこの辺も昨今の特徴。一頃バブル崩壊で悪しき慣習との声に解消が進んだ時期があったが、買収ファンド全盛時代から買収防衛目的等の基にここ再び増加傾向にありこの辺は今後の方針も含め経済的合理性が問われて然るべしか。


次は環境バブルか

昨日急落したあと本日の日経平均は小反発であったが、今日は野村アセットによる投信設定が二本あり一つはバイオ関連の「野村ピクテジェネリック&ゲノムファンド」、そしてもう一つは環境関連の「野村RCMグリーンテクノロジーファンド」であった。

別に個別の投信設定なんぞは興味も無いのだが、直近で「証券業界、環境バブルに期待」とかいうタイトルで、金融危機で大きな打撃を受けた証券業界がこの?環境モノのバブル化?で株式市場や関連金融商品への投資資金流入を加速させ再浮上を目論んでいるという旨の記事を見掛けた後だけに一寸気になった。

両者共に以前から組入れ思惑もあって既に関連銘柄が物色されていた形跡があるが、はて何故この期に設定なのだろうか?それこそインフル関連よろしく一部銘柄は何度もオモチャのように繰り返し物色されて、相場としては手垢が付き過ぎてもう老境、仮にこんなモノを大量に組入れたらそれこそていのいい解体紛いなどという疑義が出てくるとは考え過ぎだろうか。

明後日にも大和住銀がこれまた環境関連の「環境ビジネスオープン」を設定する運びとかだが、受け皿とは聞こえが悪いが結果如何ではまさにピッタリの形容ともなってしまうのでさて各社の組入れまた運用拝見というところか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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