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因果関係と効果

本日の株式市場はFOMCを控えて様子見気分が広がり方向性を欠いた展開となったが、先週末には金融庁が株式市場の混乱に対応した空売り規制に関する省令を公表、今回の省令は禁止措置の実効性を高める狙いとかだが、業界には依然として確認が難しく投資家離れに繋がると反発する声が多いとか。

まあそれはそうだろう、こんな規制があろうが無かろうが売買代金の低調は続き今迄通り急騰急落はするし、実施から一ヶ月以上経過するもこの空売り比率は横這いか下手すればそれ以上で推移している。

だいたい、諸外国より導入は遅く、米国の撤回や他の一部撤回が続く中をダラダラと確認作業に終始し個人情報云々等違う方向へと迂回しているような感もあるが、物理的に不可能な確認作業然りで東証の社長も「実際の株式売買方法をよく勉強してもらいたい」と言っているのもこれは解る気がする。

結局市場が変らなかったということはこうしたものが原因でもなく、また当然その効果も全く無かったということになり、となれば将来のリクイディティが削がれる等々の副作用しか残さなかったという事になろう。


同一思想?

本日の日経紙経済面にはREIT向けにも新たな融資制度を設ける政府の不動産業界向けの緊急対策概要が載っていたが、これより先に年末を控え金融庁がREITの資金繰りを警戒して一斉調査を始めた旨の報道も最近あったばかり。

さて、REITといえば直近ではやはり東京証券取引所に上場していた「ニューシティー・レジデンス投資法人」がJ−REITとしては初めて破綻した事が記憶に新しく、国内もこうしたあおりで大和ハウス工業などは予定していたREIT上場を断念という事態も起こっているいるが、一方で10月には東京証券取引所にてREIT指数に連動する上場投資信託としては二本目となるETFが上場している。

まあ、ETFなら一発狙いの思惑が上記のニューシティーのように突然破綻するリスクも分散できようというものだが、分配金利回りの高さを背景に価格リスクを分配金収入で穴埋め云々という謳い文句は何処かFXのスワップ取りや、株価暴落で配当利回りが良くなってますから買い場ですよ的なものにどうしても重なって見えてしまう。


和製メジャーへの道

さて先週は大手各紙で報じられていたように、国内石油元売り最大手の新日本石油と六位の新日鉱HDが来年秋をメドに持ち株会社方式で経営統合する事が明らかになった。

実にこの業界では99年の日石と三菱石の合併以来10年ぶりの大型再編劇という事から、この報道で株価こそ両社を筆頭に他の上場石油株も同日は軒並み上昇したが、国内市況はTOCOMのそれを見ても明らかなように依然として冴えない商状が続いている。

その生産調整と落ち込んだ需要とで需給バランスが崩壊し末端非業界は慢性的な赤字体質から資金繰りの悪化は推して知るべしで、そんな現状からこの統合で併せて約13,000箇所になろうかというS・S網は統廃合し余剰設備を解消して収益力拡大を目指すという。

さて斯様に直面している国内のこうした下流問題は同再編の切っ掛けになったかもしれないが、ゆくゆくの焦点はやはりその収益構造や国際的競争激化の観点から上流部分の問題か、そうした将来のメジャーという観点から以前SWFに触れた時に採り上げたコスモ石とか一度距離を置かれた経緯のある旧帝石の存在含め他に残った企業群の行方には大いに注目しておきたい。


慈雨は降るか?

さて、約二週間前の当欄では、「上場企業でもこのままでは年を越せない既にカウントダウンに入っている云々もいろいろと耳に入ってきており対照的に消えゆくモノもありといったところか。」とコメントしておいたが、今月もそろそろ終ろうかという処で昨日は東証一部上場のオリエンタル白石が破綻となった。

各紙で既報の通り同社で今年に入ってからの上場企業破綻は30社目となり、これで戦後最多であった02年の29社を抜いて記録を更新する事となった。

同社社長の「業績は回復基調であったが金融機関の融資姿勢は厳しい。運転資金さえ調達できれば十分存続できた。極めて残念だ」との弁には無念さがよく滲み出ているが、中小向けでも先に発表されている大手銀行6グループの9月末の融資残高は3月末に比べて約2兆9,000億円も減少している。

そんな中を本日の日経総合面には「貸し渋り防止 金融庁動く」との記事が出ていたが著しく融資実績が縮小した銀行なんぞは徹底調査されて然るべきだろうが、銀行のみならず貸し剥がしも横行しておりはたして負の悪循環が断ち切れるかどうか。一つ出たが、この他にもまだこのままであれば年を越せない上場企業もあるか。


ディスクロさまざま

ちょうど一週間前には駒澤大学のデリバティブ損失発覚に少し触れたがその後も立正大学が同様に発覚したりと出ているが聞いているだけでもまだまだ他にも多数この手の件あり、さて大学のみならず外食のサイゼリアもこれが発覚し本日で二日連続ストップ安の憂き目に遭っているが、メラニンピザ問題のストップ安から異様な這い上がり方で年初来高値更新していただけに今回が注目される。

連続ストップ安といえば直近までその決算から保険関係が目立っていたものだが、ところで切っ掛けとなった某社の先の上期上方修正から一呼吸おいての通期下方修正発表とは何とも酷い、たった二週間そこそこの営業日の中で上方修正発表からストップ高、下方修正発表でストップ安とまるで遊ばれているがこれもアリなのだろうか?

こんな錯乱モノの動きの他には変な二極化も混在し、本日の日経紙一面には米、追加金融対策77兆円とのタイトルが踊っていたものの株式相場は踊らず、直近のシティ問題にしろこの「追加」というのが曲者で小出し?にしているが結局は絶対量自体が足りないのではないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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