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商慣習に変化

昨日の日経紙一面には「政策保有株売却2.3兆円」と題し、2022年3月期の政策保有株の売却額は前の期より約6000億円多い2兆3000億円となり開示が始まったここ4年間で最大となるなど上場企業の持ち合い株の解消が進んでいる旨が出ていた。東証再編前に当欄では上場基準も睨んで政策保有株の売却要請も進むと思われると書いていたが、果たしてこれらが後押しした格好となったか。

ちょうど昨年の今頃には政策保有株の減少が著しい三菱商事を取り上げた際に、これまであまり見られなかったAGCやキリンなど金曜会メンバーの株売却が目に付いた旨を書いていたが、三菱グループの中核とされる三菱グループの御三家の一角の三菱重工も三菱グループ中心に政策保有株を減らしている旨が同紙に書かれていた。

また政策保有株として多くの企業に持たれている割合が高いことで有名?なリクルートホールディングスも保有比率の高かった企業が手放す動きが継続している。ともあれ特異な商慣習ともいわれた持ち合いの動きは今なおあるものの、昨日も取り上げた東証再編における流通株式の基準変更等にも盛り込まれている通り持ち合いの合理性が問われるなか投資家目線の経営改革は粛々と推進されようか。


横一列のパフォーマンス

週明けの日経平均はFRBが積極的な金融引き締めを継続するとの警戒感から反落スタートとなったが、東証が市場再編を4月からはや半年が経過している。上場基準を満たさぬままに経過措置として新市場に上場した549社の所謂暫定組のその後は約1割が企業価値向上の取り組みを進め基準超えとなったものの、暫定組全体では約6割が時価総額を減らしている旨が先の日経紙に書かれていた。

この暫定組、当初より経過措置の期限を決めておらず関係者からは旧一部との違いも見いだせないとの声が多く挙がっていたが、その株価の方も勢いを欠き毎日日経紙に掲載されているプライム市場指数もスタンダード市場指数等と共に再編直前の4月1日を基準日とした1000に絡んで一進一退の推移と冴えない。

ところで株価指数といえばTOPIXも算出方法を見直し、プライム市場の205社とスタンダード市場の288社の計493社の構成比率を引き下げると先に東証が発表している。但しこちらの方も、23年10月の再評価で基準をクリアすれば同指数への採用を継続するという事になっておりこれまた猶予が与えられている。

TOPIXもまた上記のプライム市場指数等と比較するに殆ど変らぬパフォーマンスとなっており、TOPIX100とかROEで選りすぐったJPX400然りでこちらもここ10年間でパフォーマンスにほぼ差異は無くどれも団栗の背比べ状態。指数構成の椅子に座り続ける企業努力も大切だが、MSCIのような市場代表性を備えた真に使える指数への道はまだまだ遠いか。


祝日取引開始

さて、先の日曜日の日経紙総合面には「株安時の損失リスクを軽減」と題し、海外で大きく株価が動いた際などに損失リスクを軽減する機会を増やす事などを目的として、JPX(日本取引所グループ)が明後日の秋分の日より株価指数先物取引などデリバティブの祝日取引を始める旨が出ていた。
   
今週はまさにシルバーウィークだが、欧米に比べて取引所の祝日数がいつの間にか多くなった日本ではイベントや非常事態等で相場が荒れても対処が困難で、オプション取引では長期の連休などタイムディケイの影響も出る。そういった意味では売買できる機会が自ずと増えるのは機会損失の防止等含めメリットは大きい。

個人投資家の属性の違いから大手証勢はサービス導入を見送る模様だが、大手ネット系中心に20社強が参加を表明している。大晦日と年初2日は当分実施しない模様というが原則土曜・日曜日を除く全ての現休業日が対象日になる予定で、祝日営業日の日中立会終了後は値洗いによる追証判定は実施しない。デリバティブの口座を持っていない向きは新たにこの口座開設の必要が出て来るが、逡巡していた向きも勉強する良い機会となるか。

前にも書いたが、国内では実に70年ぶりに取引時間の延長が実施される見込みとなっているが、今回の祝日取引の開始と合せ日本の個人投資家の置かれた環境は更に改善してゆく事になる。こうなると其の先で現物との損益通算を求める声が益々高まりそうだが、そういった促進の意味でも今回の一歩は前進といえるか。


TOB乱戦模様

さて、青果物ネット販売のオイシックス・ラ・大地が給食運営のシダックスに対し先月末からTOBを始めているが、これがなかなかの乱戦模様となっている。そもそもの買付価格が開始時点の株価を大幅に下回るという稀なパターンで筆頭株主とも応募契約を結んでいないという何とも不透明なケースであったが、果たしてというか当のシダックス側からこのTOBへの反対意見が発表されている。

予てよりオイシックス以外の企業から協業の提案があり比較検討が必要な事や、株式の取得価格が時価より低い事などを理由に挙げていたが、この企業こそコロワイドを指しておりフードサービス事業買収の提案が為されていた。しかしこのコロワイドといえば2年前の大戸屋に対する敵対的TOBが記憶に新しいところで、大戸屋側の抵抗虚しく資本市場に長けたコロワイド側が粛々とTOBを成立させた経緯がある。

おまけにその過程で大戸屋側が苦し紛れの業務提携を発表した相手もオイシックスであったのも何かの因縁でこの参戦が注目されたものだが、つい昨日この買収提案をコロワイドが撤回するという意外な幕引きとなった。今後は取締役会や大株主の投資ファンドの対応が焦点となるが、何れにせよ株主間契約の有効性含め企業統治の在り方が問われるケースとして今後の動向にも目が離せない。


還元の在り方

さて、先月の話になるが某名門宴会場の株主優待バイキングに行って来た。個別に此処のレストランで食べれば一皿4~5千円する品がいずれも食べ放題で伝統の味を存分に堪能してきたが、この株主優待といえば先週末の日経紙夕刊一面には「株主優待、3年で50社減」と題し、自社製品の送付などの株主優待制度を廃止する企業がここ3年で50社減るなど廃止企業が相次いでいる旨が出ていた。

当欄でも7月末に「還元の軸足」と題して書いた際に末尾で少し取り上げていたが、優待廃止に関しては株主総会でのお土産廃止と共に数年前から度々報じられているところで、2019年まで増加の一途を辿っていたものが19年をピークに3年連続で減少となっている。この背景にはこれにかかるコストや投資家の公平性もさることながら、4月の東証再編で株主数規定が緩和されたという事も一因か。

これまで個人株主増加ランキング企業など飲料大手キリンHDやJALやANA等の大手航空会社、オリックス等がランクインしているあたり何れも優待狙いが窺えたものだが、廃止の流れでオリックスなどは再来年には不動の人気を誇ったカタログギフトの廃止意向を示しており、他の企業もこうした動きに倣う動きが出て来るか否かその動向が注目される。

上記にも書いた通り個人株主の確保策としての優待制度の優先度が下がって来たとも取れる事で、今後は企業側も還元の軸足が配当や自社株買いに移ってゆく動きが顕著化するかどうか、先月の自社株取得枠の設定は8月として過去最高となった模様だが個人投資家もこれらから認識の変化が出て来るか否かとも併せこの辺の動向は注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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