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アクティビストもまた

昨日は東芝のニューフレアテクノロジー社へのTOB成立の旨を買いたが、このTOB成立の鍵を握っていたニューフレア社大株主の東芝機械もまた旧村上ファンド系のオフィスサポートからTOBを実施する旨の通告を受け、当の東芝機械側は事前に防衛策の内容を開示するという手段に出ている。

ところで旧村上ファンド系といえば南青山不動産が昨年末に昨日取り上げていたニューフレアテクノロジー社の大量保有報告を提出していたのが記憶に新しいが、HOYAが同社にTOBを仕掛けたとの報道後にこのニューフレアテクノロジー株を売却していたのもいろいろと関係者の思惑を呼んでいる。

買収防衛策を巡っては近年では廃止の方向というのが世間の機運となっているが、一方で今回のようにルール等を設定・公表する事前警告型を新たに設けるケースも数年前から散見されていた。低金利環境長期化や証券会社もまた本日の日経紙にも出ていたように代理人業務における姿勢の変化など、今年もアクティビストにとっては追い風で摩擦をもいとわない姿勢でのTOBは引き続き増えて来る可能性が高いか。


勝算追究

さて、先週末の日経紙総合面には「HOYA、ニューフレア買収断念」と題し、東芝が半導体製造装置の上場子会社であるニューフレアテクノロジー社に対してのTOBが成立した事に伴い、同じくニューフレア社に対しTOBの方針を表明していたHOYAが同社の買収を断念した旨が載っていた。

この件に関しては当欄でもちょうど一カ月くらい前に取り上げていたが、TOB成立のカギを握っていた大株主の東芝機械が応募した事でやはりというかHOYAの芽は無くなったというところで、HOYAのCEOも当初より数年の話し合いの間で東芝側から明確な回答を得られず可能性は五分五分としていた通り淡々とした気持ちという感じか。

昨年に国内で届けられたTOBの総額は一昨年のそれの2倍以上上回り2007年以来の高水準に膨らんでいるが以前にも書いた通り水面下で青写真を描く案件は多く、今後もガバナンスを背景に純粋に親和性を追求し規模に拘らず勝算のある案件であるなら積極的に打って出る姿勢は続こうか。


IPOも暖冬

本日も日中はコート要らずの暖かさであったが、予てより暖冬といわれているだけに師走とは思えない暖かい日が多い。この辺に絡んでは本日の日経紙市場点描でも「暖冬予報 お寒い冬関連株」と題し、日経平均に対して冬消費関連株群は軒並みアンダーパフォームとなっている旨が書いてあった。

そんなワケで個人のホットマネーは自ずとIPOなどに向うこととなるが、昨日公開の株主管理プラットフォーム事業のウイルズは初日が買い気配のまま値付かず、上場2日目の本日に公開価格960に対し実に5倍近い4535円で初値を付けている。また同じ日に上場した中小企業向けクラウド会計ソフトのフリーも赤字新興企業ながら公開価格を25%上回る初値を付けるなどそれらを裏付けている。

生き馬の目を抜くソフトバンクが煮え湯を飲まされた米ウィーカンパニーの例もあって赤字新興企業への評価の厳しさは増す一方だが、カネ余りの環境もあってユニコーンも玉石混交の様相となっている。上記のフリーもその規模は今年のIPO市場で2番目の規模となるが、旺盛だった海外投資家需要が今後奏功するのか否かいろいろな側面で試金石となろうか。


逡巡と駆け込み

さて、金融庁の金融審議会は今月中に東証の市場改革を巡る提言を纏める方針となっているが、当欄でも今年の春先に「肥大化に歯止め」として触れた通り東証1・2部・新興市場の4市場体制を3市場体制に再編、TOPIX(東証株価指数)も銘柄を絞り込む事などが盛り込まれる可能性がある。

この再編話が出始めてからの1年間で他市場から東証一部に移行する企業がその前の1年間と比較し3割急減している旨の記事も過日の日経紙にて見掛けだが、背景には改革後の上場基準が不透明な事も影響している模様だ。一方でこれに適わずともプライム市場で上場維持が叶うとの思惑で駆け込みを目論む動きもあるという。

プライム市場創設について前回も一寸触れておりどういった結論になるのか注目だが、上記の通りTOPIXなどにも着手となればそれこそこれを信奉してきた公的年金のスタンスにも変化が現れるや否や、日銀も日経平均型を減らしてまでTOPIX型を増額し買い進めてきたETFの去就にも今後は関心が向かおうか。


改正と投資誘致

昨日の日経紙社説には「ガバナンスの実効性上げる会社法改正に」と題し、情報開示の負担等の課題は残るものの政府が株主総会を形式ではなくより対話の場にする見直しや、株主一人が株主総会で提起できる議案数を10に制限するなどの会社法改正案を閣議決定した旨が書かれていた。

ココには過去に野村ホールディングスに対し社名を野菜ホールディングスに変える等の提案が大量に出された旨が出ていたが、これ以外にも取締役の社内呼称はクリスタル役?とするとか、オフィスの便器は全て和式とする等々100項目にわたる一般的理解を超える株主提案が為されていた記憶がある。

今回の改正案でもまだ米などと比較するに緩いとする意見がある一方、日弁連などは提案権の不当制約等でまた意見を異にするようだが、概ねガバナンスの潮流に合せるような改正案となった事で改めて自社のそれを再考する機会となり、投資家にもこの強化をアピールし海外からの投資を呼び込める狙いが叶うかどうか今後も注目したい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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