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地合いの好機

さて、昨日まで続伸で200日移動平均線まで戻した日経平均だが、本日は3月期末の配当落ち分の影響もあり急反落、昨日はこの配当権利付き最終売買日で配当関連の需要も多く買わなければならなかった上昇だったが其の需要が剥げたここからが正念場か。

ところでこの配当と共に企業が稼いだ利益を株主に還元する手段として自社株買いがあるが、先月に始まった世界的株価下落で買いの好機と見た企業が自社株買いの枠を設定する動きが顕著化し、日本は2017年度に2年ぶりの高水準となり米国も減税策を背景に18年の実施額が前年比2割増程度になる見通しと先週末の日経紙に出ていた。

今月上旬にはコーポレートガバナンス・コードを促す政府の思惑とも一致し海外からのアクティビストが一層関心を向ける事が予測される旨を書いたが、狙われやすい低ROEの企業など自社株買いや増配などで不要資本を如何に減らすかが課題となっており地合いも臨機応変に利用する好機と捉える傾向になって来たか。


株主提案急増

さて、昨日の日経紙投資情報面には「3月総会、増える対決型」と題し、12月期企業の株主総会が本格化するのを前にスチュワードシップ・コード改定を背景に株主提案が前年の2社・4件から18件・5社に増え、議案数は3月総会で過去最高になりそうとなるなど株主と経営陣が対立する事例が相次いでいる旨が書かれてあった。

同紙には片倉やGMOインターなどへ提案するオアシスや、帝国繊維へ提案するスパークス等が挙げられていたが、他にもAVIによるTBSHDへの持ち合い株解消提案や、村上ファンド系による最近TOB価格引き上げを引き出した東栄リーファライン、昨年一転して会社側の反対を抑えファンドが推す社外取締役の提案の承認にこぎ着けた黒田電気など実績も伴ってきている。

この黒田電気の株主提案など8年ぶりに叶ったワケだが、背景には過去の破天荒な提案から他株主にも整合性を持たせた合理的提案で賛成を引き出す格好に変ってきた事もある。本日の株式市場では積極的な自社株買いの発表を出した企業が比例配分でストップ高となっていたが、以前にも書いたように今後は海外からアクティビストが流入してくる事が想定され対象にされそうな企業は一段と緊張感が高まることになるか。


海外アクティビスト台頭

さて、昨日の日経紙総合面には「日本企業に投資へ」と題し、運用総額150億ドルを誇る米大手アクティビストファンドのバリューアクト・キャピタルが日本企業への投資を始める旨が載っていたが、背景には米株式の割高感が強まっている事で日本株に対する関心が高まっているという。

アクティビストといえば当欄でも度々触れてきているが、この米勢力で昨年目立ったところといえばアサツーDKに米ベインキャピタルが登場し、同じく日立国際電気のTOB劇には米エリオット・マネジメントが登場しTOB価格の引き上げ要求と揺さぶりをかけたのは記憶に新しいところ。

果たしてこのエリオット・マネジメントは価格の引き上がったところでTOBに応じるイグジットを成功させ、アサツーDKも株価がTOB価格の上鞘で推移していた事で株価引き上げ云々より票が集まるか否かが焦点となっていたものの、蓋を開けてみれば発行済の9割近くの応募があり事はベインの思惑通りに進むこととなった。

勿論こうした裏には綿密なる調査と戦略が奏功したという背景があるが、コーポレート・ガバナンスを促す政府の思惑とも合致し一昔前とは様変わりな好環境のなか、こうした成功事例も背景に冒頭の通りファンド勢としては応分の関心がますます高まるものと思われる。


VIXショック

さて、今週は世界同時株安と波乱の週であった。週明けのNYダウは1日の下げ幅としては過去最大を記録し、それを受けた日経平均は週明けの大幅続落に続き一時1,600円強の暴落となりこの一連の動きで日米の株式時価総額は先月末に比べて約300兆円が吹き飛んだ計算となる。

こんな相場になるとやはり破壊的な威力を発揮するのが毎度ながらオプション市場で当限のディープアウト20,500円のプットが先週末にたった1円だったものが火曜日はザラバ220円まで暴騰、キリのいい20,000円ドタでも週明け592円の大幅続落でも期日まで数日と限り無い可能性の無さを反映し1円だったものが翌日にはザラバ155円まで暴騰するなど仮想通貨バブルどころではない大化けを演じた。

ところで今回暴落を演出した背景にはVIX指数の存在が言われているが、上記のセルボラが予想外に裏目に出たオプション取引同様にVIX絡みのETFやETNでも目論み外れのヘッジファンドや大手金融機関が一気に損失を被った模様だ。日経紙夕刊ではクレディ・スイス発行のインバースVIX短期ETNが前日の高値118ドルから一気に7ドル前後まで急落し期限前償還の憂き目に遭った旨が載っていた。

期限前償還といえば東京市場でもVIXと逆の値動きをする「NEXT NOTES S&P500 VIXインバースETN」が、先月の11日には40,150円の高値を付けていたが昨日の終値は1,146円と実に97%安と対象指数が既定値幅を超える下落となった事で早期償還されることが決定し朝方から取引停止措置が取られたが、適温相場に浸る平和イメージの商品も時に牙を剥く事を今さらながら改めて思い知らされたような週であった。


イナゴ化

本日の日経平均は米株の大幅続伸や好決算にも無反応で小幅ながら4日続落となったが、個別ではベルパークやオリジナル設計が売上高や営業利益の上振れを囃して後場から突如急騰、ベルパークは実質的に上場来高値を更新、オリジナル設計はストップ高に張り付いたまま引けることとなった。

両者は引けまで堅調持続となったものの、先週末の市場では後場から医療用データ管理システムのファインデックスがキャノンメディカルシステムズと業務提携の報道が出て突如突飛高するも、そのわずか数分後には急騰した約60円幅が往って来いと軽いイナゴタワー形成となったが同様の動きは前週に有機EL関連で突飛高したケミプロ化成にも見られた。

同株が動意付いた翌日の日経紙デジタルトレンドにはちょうど「株価動揺「イナゴ」の塔」と題し派手に急騰急落を演じた麻生フォームクリート株その他の銘柄が挙げられていたが、ネットの劇的な普及や即時発令型?に変貌してしまった規制も相俟って銘柄に絡む投資家層も変わり、かつての福助、兼松日産や日本カーボン等々に見られた空売りを限界まで誘って踏み上げという構図は思えばもうセピア色の風景と化している。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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