53ページ目   株式

親超え企業価値

さてGW期間で営業日が2日のみであった先週の株式市場だが、先週末の日経紙投資情報面にて「時価総額でキリンHD超え」と題し取り上げられていた通り、協和キリンの時価総額が同社株の5割を保有する親会社のキリンHDを初めて上回るという所謂「親子逆転」現象が見られた。

2008年にキリンHDが連結子会社として以来協和キリンの下鞘が通常であったが、昨今のキリンHDはミャンマー政変による事業影響への懸念から右肩下がりが続く一方、協和キリンは骨の病気の治療薬や新薬開発への期待を背景に値位置を切り上げ先週末には年初来高値更新と対照的である。

同紙ではこの手では他にGMOインターネット・GMOペイメントゲートウェイ等も挙げられていたが、これら以外でも例えば大型TOBが成立したNTT・NTTドコモも然り、またパソナグループが株式の50%を保有する傘下のベネフィットワンなどはその時価総額がパソナの5倍超となるなど冒頭の協和キリンどころではない格差だ。

これら極端にいえば親会社の株を保有している株主は会社解散で小会社の株式を現金化すれば利益が出る勘定とも成り得るワケで、企業価値の逆転現象に対しアクティビスト含めた投資家の視線も厳しくなるにつれ下鞘な時価総額に甘んじている「親」も企業統治の観点含めその身の振り方が問われる場面が出て来る可能性も今後高くなりそうな気がする。


メルカリ以来のユニコーン

先週木曜には新興市場で前人気の高かった銘柄がIPOとなったが、果たして何れも好スタートを切っている。先ず小粒の方からジャスダック上場のネオマーケティングは公開価格1,800円に対し初値は2.1倍の3,800円のロケットスタート、マザーズ組からはステラファーマが公開価格460円を54.7%上回る712円の初値形成となり、同じく同ポストでは注目のビジョナルの初値が公開価格5,000円を43%上回る7,150円とこちらも好スタートとなった。

この求人サービスのビズリーチを傘下に持つビジョナル、18年上場のあのメルカリ以来の規模のユニコーンで市場からの吸収金額が682億円ある巨大な案件であったものの公開株式の大半を海外販売している事から思われているほどの荷もたれ感は無く通過、何れにしろこれでIPO銘柄の初値が公開価格を上回る連続記録は20年12月から42社となって12年12月〜13年12月以来の数となった。

これより前にQUICK IPOインデックスも今月上旬で2か月半ぶりの高値を付けていたが、直近上場組で知名度の高いところでは紀文なども上場後もなお順調に値を上げておりこうした部分に一役買っている。ここまで値動きの良さに個人も物色意欲を刺激されてきたものの、GW前だけに冒頭銘柄など上場後の利確の動きは否めないところだが連休明け後に再度物色熱が戻って来るか否かこの辺にも注目しておきたい。


快挙とご祝儀買い

周知の通り男子ゴルフ4大メジャーのマスターズ・トーナメントで、これまで青木功氏や中嶋常幸氏らの大物でさえ挑戦し成し得なかった厚い壁を松山英樹氏が10度目の挑戦で日本人初の優勝を飾った。日本人には出来ないというこれまでの常識を覆しコロナ禍で疲弊する世に希望を与えてくれたが、当然ながら株式市場もこれを囃し昨日は日経平均が安値引けとなるも関連株には物色の矛先が向いた。

松山選手が愛用するゴルフシャフトを製造するジャスダックのグラファイトデザインは昨日ザラバでストップ高まで急騰し年初来高値を更新、マザーズのプレー予約サイト運営のバリューゴルフもザラバ急騰し2000円大台を回復、また中古ゴルフクラブ専門店のゴルフ・ドゥもザラバで突飛高を演じ年初来高値を更新するなど地方、新興市場がピンポイントで賑わった。

テニスの大坂なおみ選手が2年ぶり2度目の全豪オープン制覇の時でさえここまで関連株は賑わっていなく、広義でスポーツ関連といえば東京五輪の開幕が決定した約1年前のアシックス等のストップ高はじめスポンサー企業群への物色以来の事のように感じる。これら所謂ご祝儀モノは息の長い相場へ発展する可能性は望むべくもないが、ウイルス関連や防衛関連が賑わうより遙かに平和的なのは言わずもがなだろう。


旬なTOB

本日も日経平均は大幅に4日続落と下げ止まらないが、そんななか逆行高の急騰で目立った個別といえば船井電機で比例配分ストップ高となり2,000万株近い買い成り行き買いを残して引けていた。背景にはコンピュータ・ビジネス書籍出版の秀和システムが早期の経営立て直しを目指す同社に対してTOBを実施、918円というTOB価格にサヤ寄せした格好だ。

ところでM&Aといえば2020年の日本で届け出のあったTOBの件数はM&A助言レフコによれば57件と19年比で9件の増加となっていたが、その買い付け金額は19年比で8割も増加し過去最高水準となった模様で、今年に入っても既に1〜2月で17年の年間金額を上回るなど活発している模様だ。

冒頭の船井電機の場合は昨日の取締役会でもこのTOBに賛同する事が決議されている通り敵対的ケースではないが、当欄でも昨年取り上げた前田建設工業による前田道路へのTOBや、今年に入ってからは直近の日本製鉄による東京製綱へのTOBなどいずれも敵対的TOBとなっており最近は従来禁忌とされてきた上場大手間でもこの手のケースが目立つようになった感がある。

昨日も持ち合い株の合理性がコーポレートガバナンスコードを背景に一段と問われる事になると書いたが、斯様な持ち合い解消など背景にM&Aに絡む活動は活発化しており上場企業のみならずアクティビスト本体が中堅どころを狙ってTOBを仕掛けている最中の案件もあるなど喧しく、噂ベースでも水面下で動いている話が複数入ってきており今後もこうした動きはますます顕著化する事は想像に難くない。


炙り出される持ち合い株

さて昨日の日経平均は先週末に続いて600円を超える大幅続落となったが、そんな急落の中でも逆行高し年初来高値を更新していたものにNECがある。顔認証技術を活用して熟練医師でも判断が難しい病変などを高精度で見つけ出す事に成功したとの報が背景にあるが、もう一つ同社といえば香港市場に上場する半導体関連の「華虹半導体有言公司」の全株式売却を先に発表している。

同社はIFRSを採用しているために純利益に変動はないもののその売却益は581億円にのぼる。この手では三菱マテリアルもまたSUMCO株を売却し21年3月期には126億円の売却益を見込んでいるが、斯様に大手の所謂政策保有株の売却が進行しており先週の日経紙には2020年4月から今月中旬までの売却益の合計は20年3月期比で5割増しになった旨が出ていた。

来る東証再編の上場基準も睨んで今後は政策保有株の売却要請も進むと思われるがもう一つ、上場企業の持ち合い株が日本株全体の時価総額の約5%を占めるといわれているなかコーポレートガバナンスコード改定を背景にその保有合理性が一段と問われる事にもなるだけに今後も最後の炙り出しが促進される事になろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2026

6

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30