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リスクの担い手

昨日の余勢をかって本日の日経平均も続伸となった。とはいえ昨日も殆どがカバー中心との見方が多く、そもそも個人でマル信など張っていた向きなどは先週末迄に投げさせられ傍観というパターンがその売買代金からもうかがえるというところ。

ともあれ昨今主役になった短期筋に加えてこの値位置も真空地帯という事もあって1,000円近くの乱高下もそう珍しくなくなったが、そんな間にも先週末の日経紙でも取り上げられていたように機械的にノックインとなったリンク債が続出しており、暴落相場ではお約束のように登場する。

その構造上オプションとの抱き合わせになっており投機筋もデルタヘッジの先物売り等を企んでノックインまで執拗なショート攻勢をかけてくるパターンも多く、ヘッジ用無しとなった先物処分売りが急落に加担している部分もある。斯様にこの辺の鬩ぎ合いがまたボラを増幅させる要因の一つとなるなど、近年の魑魅魍魎な商品開発の弊害がこうした局面では晒される事になる。


短期一辺倒

昨日の日経平均は前場安値から後場の高値まで軽く500円を超える急騰となったものの、本日は一転して1,000円近くの暴落を演じるなど先の16,000円大台割れ寸前までいった21日の暴落前後含めて一日のボラが500円を超える日が多くなってきた。

こんな背景からか先週末の日経紙・金融アイテムレビューにも「乱高下相場でリスク回避」として、投資家心理の振れ幅を示すVIを活用したETNやETFがリスクヘッジの一つの手段として個人投資家の関心を集めている旨が載っていたが、斯様に歴史的な相場の連高下を背景に日経VIの先月の出来高は過去二番目の水準に達したとも書いてあった

同様に乱高下に備える保険的な意味合いから最近ではオプション市場でもアウトオブザマネーの物色が依然として目立っているが、なるほどこちらも化け方が凄い。例えば2月限の145プットなどは1円から高値22円に、もう一寸上の150プットは3円から同55円に化けるなど軒並み半日で大化けを演じている。

昨日は日本郵政G等が配当利回りから長期投資が根付く切っ掛けになる期待感云々と書いたが、メインプレーヤーが短期一辺倒になり尻尾がイヌを振るような商状から抜け出せない限りまだまだボラは異常なままで、長期投資は更に避けられVIに一服まではまだしばらくこの手のオプションや関連ETN・ETF物色も下火にはならないか。


往って来い郵政G

週明けの日経平均は米株安や俄かな地政学リスク台頭で前場は大幅続落となっていたものの、あと円高一服から急速に切り返しを見せ急反発して17,000円大台回復して引けた。主力は万遍なく高かったが、そんな中ひっそりと年初来安値を更新していたものの一つに日本郵政株、かんぽ生命等があった。

この郵政グループに関しては先週の日経紙経済面にも「熱狂去り見えた弱点」と題して、昨年11月に鳴り物入りで上場を果たし個人を中心に人気を集めた日本郵政グループ3社が、日銀が決定したマイナス金利政策を背景に株価も往って来いになってきている旨が書いてあった。

中でも品薄感を背景に三社の中でも一際値を飛ばしたかんぽ生命の反動は激しく、高値からほぼ半値水準まで下落している。他も含め抽選組の水浸しは衝撃的だが、上場時には知名度に加え配当利回りから長期投資が根付く切っ掛けになるとの期待感もあった。追加株式売却への思惑の燻りも絡め、NTT株の学習効果が何所まで生かせるか注視しておきたい。


師走の乱高下

週明けの日経平均は続落と冴えない展開であったが、ザラバでは先週金曜日高値から1,200円以上安い場面もあった。2営業日でそんな実感はないが先週末の後場の動きがあまりにもジェットコースターのような展開に他ならなかった為で、日銀金融政策決定会合の結果発表直後のマイナス圏から続報で一気に500円以上も急騰したのも束の間、補完措置がネガティブ視されるやそこから900円近くの急落を演じた。

もともと前日の日経紙夕刊の「日銀ウォッチ」でも取り上げられていた通り、今年の日銀によるETF買い入れが3兆円を上回った事による買い入れ鈍化の憶測が飛び交い、満期償還の国債と違っていずれ市場売却の憶測の素地があったところへ今回の補完措置の読みでは日銀は売り手との連想が喚起されてしまったということころか。

追記をどう捉えるかにも懸かって来るが、消化難ながらも投資家にとっては総じてクリスマスプレゼントとしては肩透かしの印象と映ったというところだろうが、はたして切るカードはまだ残されているや否や年明けもまた注目されるところ。


天邪鬼

さて、2015年4〜9月期決算発表も漸く一服といった感があるが、総じて今年の上方修正企業は円安・原油安、米国需要好調などが要因となり、一方下方修正企業は中国経済悪化や新興国経済減速など中国が主因といったところだったか。

それはさておき、最近の個別は好決算で上昇、決算悪で下落といった教科書通りの動きばかりでは無くなっている。例えばちょうど一週間前の5日の発表ではサンケン電気が今期経常を一転して赤字に下方修正したものの、翌6日は蓋を開けたら急騰。一方、SUMCOは非開示だった今期経常を10%増益とサプライズ決算一覧にも入っていたものの、蓋を開けたら6日は暴落といった具合だ。

その週は他にも日医工が15年9月中間期売上高が2ケタ増収で着地し16年3月期の見通しも上方修正してきたものの、決算発表直後に株価は急落。薬品ポストでは他にも科研製薬や持田薬も好決算の発表だったものの決算後は売られる展開となっていた。

これら肩透かしの急落となった後講釈では市場予想平均に届かずとか、2Q増収率がプラスでも弱かったとか上方修正が売上高のみといった失望感が売り圧力になったと言い、逆のパターンでは悪材料出尽くしのショートカバーといった意見があったが、今後は次の期待値まで読み切る目利きも必要となるハードルをどうこなすかがポイントとなってくる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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