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現代版PKO

本日の日経平均は米株式の5日続伸等を受け3日ぶりに反発となったが、依然として2万円大台を挟んで総じて小動きといった印象。小動きといえば本日の日経紙総合面には「日経平均が膠着」と題し、先月の日経平均は上下に270円しか動かず前月末の株価に対する変動率は1.3%と、第2次石油危機後の1980年以来、36年8ヶ月ぶりの低さであった旨が書いてある。

積極的な売買を主導する海外勢が日本株の売買を手控えているのも一因だが、かといって下値では日銀によるETF買いが要所で入りこちらも堅くなっている構図が続く。日銀としては買いの大義名分が立っているが、一方ではこれまで取り上げてきたように不動玉の吸い上げから歪な株価指標まで各所での弊害が日に日に色濃くなっている。

斯様に膠着が続いている日経平均だが、週末の東証上場銘柄に占める株の空売り比率は昨日で40.77と4月20日以来、約3ヶ月ぶりの高さとなっており、米株式も5日続伸し連日の過去最高値を更新し続けるも先週は逆にVIXが週間で+10%上昇しており両市場の警戒感の高まりをにじませているか。


期待プレミアム?

本日の日経平均は良好な欧米の経済指標や内外企業の好決算等を受けTOPIXと共に4営業日ぶりに反発となったが、個別では周知の通りタカタ株が売買最終日を迎えた。寄りは2円安と小甘く寄り付きあと17円まで緩んだが、その後はプラス圏に切り返し35円まで急騰と前場だけで株価2倍化を演じるなど最後までボラタイルな動きであった。

先週の当欄で「テンバガー玩具」として取り上げた際の末尾では「電子化で券面コレクションも不可能な今のご時世、オプションSQならぬ最終売買日は如何ほどで引けるのか注目しておきたい。」と書いたが結局終値は18円の引けとなり、最終売買日の終値が驚きの二桁となったスカイマークの14円を更に上回るなど何とも理解に苦しむ。

まあ、スカイマークの時など思わぬ値持ちの良さで前社長は持ち株を売る絶好の機会に恵まれたワケだが、普通に考えれば同社の負債総額は1兆円を超える事が確実視されており上場廃止後に100%減資というコースだろうが、要はこれが未決定の部分の期待プレミアムが乗った格好という事か。破綻後の珍現象として語り継がれる事例がまた一つ増えた。


テンバガー玩具

さて、世論調査では安倍政権の支持率が30%割れの急落となり、センティックスによる経済・投資環境に対する信頼感調査で米国の先行き指数も続落しマイナス1.5に沈むなど、日米政治リスクに備えるような構えで今週はオプション市場では8月・9月限で190プットが大きく出来高を増やす場面が見られた。

プットが堅調な日は対照的にコールのプレミアムが一気に半値以下まで値を消すなど超乱高下の値動きだが、今週は株式でもこんな動きに終始したモノが先に破綻したタカタ株であった。七夕の安値から1週間で実に10倍以上に化けたあと2日後には6分の1に暴落、昨日の値下がりランキング1位が今日は一転して値上がりランキング1位に躍り出るなどまさにオプションさながらである。

いよいよ来週には最終売買日を控えながら今日の大引は値上がりランキング1位で40円。こんな光景で思い出すのが、ほとんど無価値になるはずの最終売買日の大引値が14円と異例の二桁となった一昨年のスカイマーク株か。遡れば10年以上前の足銀や、20年以上前の京樽等もそうだったが電子化で券面コレクションも不可能な今のご時世、オプションSQならぬ最終売買日は果たして如何ほどで引けるのか注目しておきたい。


不穏なテーマ

さて米市場が独立記念日で休場となり、北朝鮮を巡る懸念が燻る空気のなか本日も気迷いの日経平均を他所眼に個別の材料株が賑わっていた。中でもやはり目立つのは直近で大阪港で女王アリとみられるものが見つかった強い毒を持つ「ヒアリ」関連株か。

環境省から当初発表があった際にいち早く反応し始めたのが二部の殺虫剤会社フマキラー株であったが、実にバブル期の1989年以来約28年ぶりの高値を付け、引き続き本日も続伸して年初来高値を更新している。他にも本日は防虫忌避製品を手掛けるジャスダックのニックスがストップ高まで買われ、名前の似ている一部の白アリ防除のサニックスも急騰して年初来高値を更新とアリ関連株が破竹の勢いである。

日経紙に書いてある通り過去何度も天井として立ちはだかった東証一部時価総額600兆円の壁の前に材料株へと活路を見出すのは自然な流れだが、こんな危険な外来種やら狂気のミサイル発射で石川製作やら細谷化工、豊和工等の防衛関連やらがストップ高交えて急騰する様を眺めるに物色も不穏なテーマ揃いだなと複雑な気分である。


前半戦好調

本日の日経紙マーケット面には「IPO39社 高水準続く」と題して、堅調な新興市場が追い風となって今年の1月から6月に新たに上場企業の仲間入りを果たした国内企業が39社と、ここ10年で最多だった15年の43社、そして昨年の40社に次ぐ多さとなった旨が出ていた。

当欄では5月の中旬にも「中小型偏向」のタイトルで、過去1年間に上場した企業の値動きを示すQUICK IPOインデックスが約10年4ヶ月ぶりの高値を付けるなど指数が高水準になっている旨を取り上げたが、先月も日経紙で今年に入り上場した35社のうち9割強の32社で株価が公開価格を上回っている旨を報じている。

とりわけこうした新興モノは個人の懐具合を測る目安になるが、直近のGameWithもマーケットからの吸収金額が16億円超の案件であったものの初値は公開価格の2.34倍となっており、信用評価損益率の連続改善等この辺に因るところも大きいか。斯様な投資余力の回復で循環物色が今後もうまく回ってゆくかどうか引き続き今月のIPOも注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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