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IPO終盤戦

本日の日経平均はCMEに寄せる格好で続落となったが、6営業日続落は昨年4月25日から5月6日以来の記録となった。そんな悪地合いのなかジャスダック市場へ新規上場となったのはプレカット木材加工販売のシー・エス・ランバーであったが、その注目の初値は公開価格1,480円を84.1%上回る2,724円となった。

全般相場の軟調地合いもあってあと換金売りが嵩んだものの、最近のモノにしてはその事業内容がやや地味目の印象との下馬評を跳ね返し順調な初値形成である。初値が公開価格を超えるのは今年も順調で、IPO全体では9月末段階で9割の水準にのぼるなど2年ぶりの現象となっている。

そんな資金の好循環もあって過去1年間に上場した企業の値動きを示すQUICK IPOインデックスは先月に約3か月ぶりの高値を付けてきている。来月も佐川急便を擁するSGHDなどの大型上場を控えているが、何れにせよ12月のIPOラッシュもこの好循環のまま逃げ切れるか注目しておきたい。


アクティビスト台頭

本日の日経紙マーケット面には「物言う株主 休みなし」と題して、従来の株主総会活動からM&Aに絡んだ動きが近年活発化してきたアクティビストの動向が書かれていた。2015年から適用されたコーポレートガバナンス・コードも切っ掛けになっている模様だが、投資ファンドとアクティビストの攻防もまた増加している模様だ。

此処では日立国際電気が例に挙げられていたが、米投資ファンドKKRによる同社株のTOBに大株主の米エリオット・マネジメントが応じない模様と伝えられている。KKRが一段の譲歩を迫られるとの思惑からその株価は引き上げられたTOB価格をも上回り、本日も年初来高値を更新している。

もう一つこれと同様なケースでTOBに応じない構えを見せているモノとしては、先月米投資ファンドのベインキャピタルがTOBに動いたアサツーDKがある。こちらは現在の株価がTOB価格を下回っているが、既に一度延長しているそのTOB期限も来週に迫っており、元々のパートナー、ホワイトナイト、そしてこれに目を付けたアクティビストの三つどもえの構図がどう決着するのかこれも見ものである。


資金循環

本日の日経平均はマイナス圏に沈む場面があったものの切り返し結局は11日続伸、2015年の5月15日から6月1日まで12日連続高の記録があったがこれ以来の記録である。さすがにこの連騰過程では外資系のショートカバーから、個人の食い付きが多いインバース系のETFなど過去最高の積み上がりを見せていただけに投げという踏み?もこれらを加速させた模様。

また日経平均リンク債でも満期前の早期償還で解消の動きが出ている模様だが、コモディティーも田中貴金属工業発表の1〜9月の資産用金地金の売買実績では節目の5,000円大台に乗せた事で換金需要が増え同期間の買い取り量が4年ぶりに販売量を上回り前年同期比33%増えた模様とか。ショート勢の敗戦処理が終わった後の需給の真空地帯の行方は兎も角も何れも相場上昇が新たな循環を構築している。

騰落レシオなど過熱ゾーンが続いておりいい加減調整もほしいところだが、踏みに合わせた利食い売りもその後は押し目を待つ買い待ち資金に回るので資金の流れは好循環、こうした環境下だけに押し目待ちに押し目無しが継続されているが果たして連騰記録は更新されるのか否かが注目される。


特注指定解除

本日は後場に入って日経電子版が東京証券取引所が東芝株について、内部管理体制に問題のある「特設注意市場銘柄」の指定を解除する方針を固めたとの配信が為されたが、ちょうどこの配信に合せるかのように当の東芝株はマイナス圏から一気にプラス圏に浮上、高値からは値を削ったが辛うじて前日比プラスで引けた。

同社株といえば周知の通り15年9月に不正会計問題を受け特注銘柄に指定されていたが、3月に提出した再発防止策や聞き取り調査等を受け内部管理体制は改善したとの判断という。とはいえやはり70年近く上場していた名門が上場廃止ともなると市場への影響はあまりにも大き過ぎるという事なのか。

かつて東証一部大手どころの上場廃止劇といえばかつては虚偽記載の西武や、同じく債務超過のカネボウが結局廃止の決定が為されたものの、2006年の日興コーディアルあたりから維持が続き翌年のIHIも然り、その後はオリンパスも維持の決定がなされ復活劇を果たしている。

いずれにせよこれで一先ずは上場廃止の危機を脱した形となったが、2年連続の債務超過を回避出来なければ依然廃止の可能性は残っている。本質的な部分はやはり企業風土の改善なのだろうが、先ずは来年3月までに半導体子会社の売却を完了させられるのかどうか緊張は続く。


HFT対策

さて、先週末の日経紙投資情報面には「株価急落 抜け穴 塞げ」と題し、東京証券取引所がHFT業者など新しいタイプの市場参加者が増えた事で株価の急激な変動を抑えたり、取引終了時の売買を成立し易くしたりする措置の導入など売買制度の見直し論議を進めている旨が載っていた。

冒頭では2月に起きた東ソー株の急落劇が挙げられていたが、確かこの時はちょうどみずほ証券がレーティングで買いを継続し、目標株価も30%近く引き上げた後に起きた出来事だっただけに急落劇は誤発注であったとの噂が直ぐに駆け巡ったものであったが、冗談半分で買い指ししていた向きなどラッキー約定だったものの逆に逆指しの売りなんぞを入れておいた個人など本当に災難だっただろう。

HFTがシェアを広げたのに伴い板がスカスカの薄商い銘柄でさえ時に指し値発注時に必ず一文ハネた注文が同時に出てくる場面などしばしば起こるようにもなったが、しかしクウォートスタッフィングやレイヤリング等々本当にルールの隙間を狙っていろいろなシステムを考えてきたものだ。

これらが罷り通ってしまっている裏でスケープゴート的に見せ玉等で摘発される向きが時に哀れにも見えてくるものだが、いたちごっこになっている現状ワーキンググループもHFTのシステム開発者等など先回り的な助言者が必要なのではないか?いずれにせよ東日本大震災時の動き等々を踏まえても売買制度見直しは早急な課題の一つである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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