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次の視点

さて、先週末の日経紙には「自社株買い、規模が拡大」と題して、2014年の1社あたり平均金額(取得枠ベース)は約90億円と昨年より8割増えて、06年の水準を抜いて過去最高になるなど主要企業中心に上場企業の自社株買い規模が拡大している旨が載っていた。

増配に自社株買いを組み合せた株主配分強化がこの1年の株高の原動力にもなっているとも書いているが、このパターンは直近ではキャノンがまさにそれと思い浮かぶ。先週末に3期ぶりの増配を発表したが、此処は自社株買いも発行済み株式数の2割に迫る勢いの2億株以上をかれこれ実施済みである。

かつて自社株買いといえば同紙にも書いてあるように株価を下支えする狙いも多かったが、昨今のROEブーム?もあって初の自社株買いを実施する企業も出てきた上に買い入れた自社株を対価としてのM&A等も視野に入れた積極策が取れる前向きなものもあるなどここ数年で変遷しつつある。

しかし冒頭の通り数多くの企業に紛れ、上記のキャノンも増配かと普通に流しそうなものだが実に此処は26年間もの間増配を続けており、株主優待に目を移せばその実施率も今秋は上場企業の3割を超えて過去最高更新という報もある。NISAも絡め長期保有を促すIRも活発化しつつある。


FXよりFX株?

本日の日経平均は円の強含みもあって漸くというか8営業日ぶりに反落となったが、そんな中でも商いを集め急騰していたのは主力の一部以外の新興市場や二部などで挙って値上がり率ランキングに顔を出している。なかでもジャスダックには昨日に続いての連続ストップ高が目立ったがトレイダーズHDもその一つ。

同社はちょうど本日の日経紙投資情報面でも「FX関連株の上昇目立つ」としてマネーパートナーズGやマネースクエアHDと共に取り上げられていたが、このところの急ピッチの円安進行でFX取引量が膨らみ売買手数料が増加するとの期待が高まったとの事である。

ところで同じ金融株で野村や大和などの大手証券株も昨日までジワジワと戻り高値を演じてきている。本日の日経紙一面を飾っていたものには「NISA上限120万円に」とNISA絡みの記事であったが、このNISA元年である今年の枠は25日までに約定する必要があることで駆け込みの手数料増を期待した買いも支えという。

とはいえ日経平均の年初来高値にリンクするワケでもなく、いまだ1月高値を抜くことが適ってはいない。FX関連株は中小型という特性である程度商いを集めればこれが適うものの、いずれも思惑先行を指摘する向きも居りこの辺の回転が続くかどうか個人のホットマネーの行方が注目される。


作った奴が儲かる

さて先週末に入ってきた報に、証券取引等監視委員会が日東電工株を相場操縦したとして、香港の資産運用会社アイレオン・アセットマネジメントに課徴金納付命令を出すよう金融庁に正式勧告した旨があった。確か同アセットは某中堅で自己のトレーダーだった人物が仲間と立ち上げたと記憶するが、4年弱で80%を回すなどなかなかのパフォーマンスと報じられていたのも思い出す。

ところでこれは昨年9月に起きた事件?だが、この時の引け間際の暴騰劇はこの日一番の話題になっておりいまでも鮮明に思い出される。なにせ新興市場なら兎も角も東証一部の225種採用銘柄が、引けの1分そこそこというかほんの数十秒の間に1,000円近く暴騰した相場はこれまで見た事が無くけっこう衝撃であった。

果たして翌日26日は売り気配からスタートし寄付が750円安!この事情を知っている向きなら、先ず買いで取りストップ高で途転カラ売りと引けと寄付きだけのわずか数十分の間で往復タダ貰いの利益を得ることが出来たワケで、こんな芸当が出来るアルゴの恐ろしさと共にこれで証券取引等監視委員会のお咎めも何もなかったら不正天国だなとも思ったりしたものだが、果たしてというか忘れた頃にこんな形で表面化したか。

これと同じ手口?では過去に日興ソロモン・スミス・バーニーが某大手損保と結んだETFの設定を行った際に不正を働き行政処分を受けた経緯があり、以後証券会社も引け値保障を受けるのを避ける向きが大半であったものだが、アレンジャー系は魑魅魍魎、EB債では末端の個人がやられたが同じ金融畑でファンドに拠出している最終投資家も引け値保障でこんな仕打ちに。今回の課徴金は約4.3億円とされているが売買益は100億円以上とか、やはり金融界は狐と狸、魑魅魍魎である。


アノマリーと期待

さて、米格付け会社のムーディーズによる日本国債の格下げの報を受けて株式市場は朝方こそ幅広い銘柄に売りが広がったものの、先物から買いが先行し終わってみれば3日続伸と依然として年初来高値更新が連日続いている。

誰が見ても年末高コースのレールに乗っている気がするが、この辺は本日の日経紙マーケット面にも「なるか3年連続年末高」と題して上記の日本国債格下げや衆院選の行方など不安を残すなかで史上初となる3年連続年末高の可能性について書かれており、カギとなるのは大型株や原油価格動向という。

確かにこの辺はNY DOWと共にもうアノマリーとして後半戦開始以来話題にされてきた事だが、事実ここ10年の11月末の株価と12月末の株価比では、日経平均が9勝1敗、NY DOWでは昨年まで5連勝中となっている。年初来高値更新の時期を併せれば日経平均が25日以降7回、NY DOWは25日以降5回となっており、自ずと期待も高まろうというもの。

昨年の大納会には首相が出席し、「午の尻下がりなんてジンクスは忘れてください。来年はウマくいきます。来年もアベノミクスは買いです!」と頼もしいスピーチがあったが、このシナリオ通りにコトがはこぶのかどうか大納会まで要注目である。


JPX日経400先物始動

さて今週は連休明けからJPX日経400の先物がスタートしたが、注目の初日は売買代金が919億円、売買高が71,514枚と順調な滑り出しとなった。これまで日経平均とTOPIXが長年にわたり日本の代表的指数として双璧であったが、このJPX日経400の登場で投資家そして企業もにわかにROEを意識した経営となり、なによりGPIFもこれを運用基準に採用したインパクトは大きい。

先の追加金融緩和で日銀もこのJPX日経400に連動したETFを買い入れ対象に加えたが、当欄でこのJPX連動のETFについて前回触れた6月時点の残高は1,010億円であった。それから5カ月ほどで今や残高は3,000億円に達し約3倍に膨れ上がっているが、ヘッジニーズが高まる中でのタイムリーな上場となった。

また、これまで日経平均とTOPIXでNT倍率に着目した裁定などあったが、最近はTOPIXに対するJPX日経400の比率であるJT倍率なる物差しで趨勢を測るストラテジストも増えてきてこの辺の裾野拡大も期待出来るものの、この先物、当初より取引単位がミニ並みの手軽さに抑えられているので機関投資家のみならず個人投資家まで取引の間口を大きく広げることになろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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