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かろりーな

年末の株式市場は例年のことながら低位の仕手系が賑わうものだが、年があけてもこの手の中には更に勢いを増している物もある。例えば昨日発行済株式数以上の出来高をこなした池上通信やこれまた大商いしたプロスペクトなどがそうであるが、後者は現社名より一寸以前のかろりーなと言った方が腕に覚えのある向きにはピンと来るか。

このプロスペクトは昨年12月にはあっという間に株価倍増したが、その後に同社が業界の豊商事をTOBするとの報が流れ大納会も間近に迫った26日の値上がり率ランキングでは第一位にプロスペクト、そして第二位に豊商事と揃って並んだ。ちなみにこの日6位だったウォーターDもストップ高を演じていたが、これも光通信子会社が同社株を1株650円でTOBするという事で鞘寄せしたもの。

ところで豊商事といえばアエリアとの業務提携も絡んでここが筆頭株主であったが、その経緯から現況ではこれに変って資本提携先のあかつきF・Gになっている。またプロスペクト子会社はこのあかつきF・Gの株式8%超を保有し、またあかつきF・Gもかつてはプロスペクトの株式を保有していた経緯がある。

このTOBで数々の買収を手掛けてきたプロスペクトは経営多角化を推進し金融商品取引業への参入を目指すというが、これに先立ち両社は協議を行っていないという。この辺がまた思惑台頭というところだが、本日の豊商事は年初来高値を更新し既に公表されたTOB価格を上回ってきているあたりがこれをより一層増幅させており、今後どういった展開になってくるのか関係者ならずとも注目されるところ。


IPOラッシュ

さて、今月のIPO社数は28社と月間ベースでは06年12月以来8年ぶりの高水準となっているが、特に今週16日には今年最多となる5社が上場している。注目の初値は5社のうち日経朝刊に大きな全面広告を出していたSFPを除いた4社の初値が公募・売り出し価格(公開価格)を大きく上回っての上場となった。

しかし直近IPOの業務内容も大型鍼灸接骨院、病院経営支援ソフト、テント販売、アサイーの販売から法律相談サイトまで本当に変わり種?が増えてきた感がある。この法律相談サイトなど司法試験改革で弁護士が急増したマーケットに商機を見出しているところが面白く、かつて急増した歯科医マーケットに目を付けたところを彷彿させる。

原油急落をはじめとした環境悪化で株式市場が調整色を強める中、外部環境の影響を受けにくいこともあってIPOはホットマネーが流入し易いが浮気性だけあって離散も殊の外早い。昨日は前日上場のMDVが朝方急反落で始まるもあと切り返し急反発となるも後場はストップ安まで叩かれ、昨日上場のフルッタフルッタは公開価格の52%高で初値を付けた後にやはりストップ安まで沈んだ。

一頃のように抽選モレでも初値で飛びついてストップの波に乗れるという具合にコトが運ばない辺りがやはり需給と地合いに逆らえないところでもあり、今後は成長力などが吟味されての選別で明暗も出て来ようが、先ずは年内ギリギリまで続く残りのIPOが注目される。


次の視点

さて、先週末の日経紙には「自社株買い、規模が拡大」と題して、2014年の1社あたり平均金額(取得枠ベース)は約90億円と昨年より8割増えて、06年の水準を抜いて過去最高になるなど主要企業中心に上場企業の自社株買い規模が拡大している旨が載っていた。

増配に自社株買いを組み合せた株主配分強化がこの1年の株高の原動力にもなっているとも書いているが、このパターンは直近ではキャノンがまさにそれと思い浮かぶ。先週末に3期ぶりの増配を発表したが、此処は自社株買いも発行済み株式数の2割に迫る勢いの2億株以上をかれこれ実施済みである。

かつて自社株買いといえば同紙にも書いてあるように株価を下支えする狙いも多かったが、昨今のROEブーム?もあって初の自社株買いを実施する企業も出てきた上に買い入れた自社株を対価としてのM&A等も視野に入れた積極策が取れる前向きなものもあるなどここ数年で変遷しつつある。

しかし冒頭の通り数多くの企業に紛れ、上記のキャノンも増配かと普通に流しそうなものだが実に此処は26年間もの間増配を続けており、株主優待に目を移せばその実施率も今秋は上場企業の3割を超えて過去最高更新という報もある。NISAも絡め長期保有を促すIRも活発化しつつある。


FXよりFX株?

本日の日経平均は円の強含みもあって漸くというか8営業日ぶりに反落となったが、そんな中でも商いを集め急騰していたのは主力の一部以外の新興市場や二部などで挙って値上がり率ランキングに顔を出している。なかでもジャスダックには昨日に続いての連続ストップ高が目立ったがトレイダーズHDもその一つ。

同社はちょうど本日の日経紙投資情報面でも「FX関連株の上昇目立つ」としてマネーパートナーズGやマネースクエアHDと共に取り上げられていたが、このところの急ピッチの円安進行でFX取引量が膨らみ売買手数料が増加するとの期待が高まったとの事である。

ところで同じ金融株で野村や大和などの大手証券株も昨日までジワジワと戻り高値を演じてきている。本日の日経紙一面を飾っていたものには「NISA上限120万円に」とNISA絡みの記事であったが、このNISA元年である今年の枠は25日までに約定する必要があることで駆け込みの手数料増を期待した買いも支えという。

とはいえ日経平均の年初来高値にリンクするワケでもなく、いまだ1月高値を抜くことが適ってはいない。FX関連株は中小型という特性である程度商いを集めればこれが適うものの、いずれも思惑先行を指摘する向きも居りこの辺の回転が続くかどうか個人のホットマネーの行方が注目される。


作った奴が儲かる

さて先週末に入ってきた報に、証券取引等監視委員会が日東電工株を相場操縦したとして、香港の資産運用会社アイレオン・アセットマネジメントに課徴金納付命令を出すよう金融庁に正式勧告した旨があった。確か同アセットは某中堅で自己のトレーダーだった人物が仲間と立ち上げたと記憶するが、4年弱で80%を回すなどなかなかのパフォーマンスと報じられていたのも思い出す。

ところでこれは昨年9月に起きた事件?だが、この時の引け間際の暴騰劇はこの日一番の話題になっておりいまでも鮮明に思い出される。なにせ新興市場なら兎も角も東証一部の225種採用銘柄が、引けの1分そこそこというかほんの数十秒の間に1,000円近く暴騰した相場はこれまで見た事が無くけっこう衝撃であった。

果たして翌日26日は売り気配からスタートし寄付が750円安!この事情を知っている向きなら、先ず買いで取りストップ高で途転カラ売りと引けと寄付きだけのわずか数十分の間で往復タダ貰いの利益を得ることが出来たワケで、こんな芸当が出来るアルゴの恐ろしさと共にこれで証券取引等監視委員会のお咎めも何もなかったら不正天国だなとも思ったりしたものだが、果たしてというか忘れた頃にこんな形で表面化したか。

これと同じ手口?では過去に日興ソロモン・スミス・バーニーが某大手損保と結んだETFの設定を行った際に不正を働き行政処分を受けた経緯があり、以後証券会社も引け値保障を受けるのを避ける向きが大半であったものだが、アレンジャー系は魑魅魍魎、EB債では末端の個人がやられたが同じ金融畑でファンドに拠出している最終投資家も引け値保障でこんな仕打ちに。今回の課徴金は約4.3億円とされているが売買益は100億円以上とか、やはり金融界は狐と狸、魑魅魍魎である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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