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JPX日経インデックス400

以前にも触れたことがあったが、先週6日には東京証券取引所、日本取引所グループ、日経新聞社が共同で新しい株価指数「JPX日経インデックス400」を開発したと発表している。同指数の特徴は前にも書いた通り、資本の有効活用に着目した高ROEモノが評価された銘柄群にある。

初回の構成では一部から386銘柄、二部から1銘柄、マザーズから2銘柄、ジャスダックから11銘柄の採用となっていたが、二部以下新興市場からの採用が意外に少なくこの辺は一寸予想外であった。そんな狭き枠?に何とか選ばれた銘柄でさえこの発表直後に業績予想のサプライズな下方修正を出してストップ安で比例配分の憂き目に遭っている銘柄もありまだ玉石混合の感も拭えない。

業績や株価が低迷する銘柄も自動的に運用対象に入ってしまうというTOPIXをベンチマークとする運用手法の疑問からこうした新指数開発に至った訳だが、今までに無いタイプといえどもこんなストップ安までたたかれる企業の他にもブレの大きさが目立つ企業も幾つか散見される。

TOPIXの件を鑑みて、約120兆円の公的年金を運用するGPIFの有識者会議の中間論点整理もより効率的な運用が可能となる指数の利用を検討すべきとし、同指数が例として挙がっているが今後相対的にTOPIXをアウトパフォームしてくるかどうかその構成銘柄と共に注目されるところ。


イグジットを急ぐ

先週末の日経紙夕刊一面には「創業者が自社株売り」として、証券優遇税制が年内で終るということに加え昨秋からの株高で売却益が出易くなっていることもあって、上場企業の創業者が挙って保有株式の売却に動いている旨が書いてあった。

この辺は昨年から一部言われていたことではあったが、創業者でなくとも大量に株式を取得した投資ファンドなどもまた同様にイグジットを急ぐ?動きもここ最近で見られる。某老舗チェーン店など買収したファンド代表が社長として乗り込みリストラを断行する裏では粛々と保有株の売却を続けていた。

しかしこれも乗り込んできた当初、一年で黒字に転換と意気込んでいたものの蓋を開けてみれば大赤字、それでもなお周りから駄目だと言われない限り社長を続けたいと思っていると発言したのも束の間、ファンド保有株がほぼ無くなるなかその1ヶ月後には過去にフードビジネスの経験がある者に任せると言って早々に辞任してしまっている。

辞任前には、業績が上がり株価も上がった時に、株を手放して私が利益を上げるのは間違っているとも語っていたが、取得コストを考えるにファンド保有株売却で利益が上がっているのは想像に難く無い。成る程なんともわかり易い幕引きであったが、翻弄されたのはやはり従業員や株主であった。


実る果実

本日の株式市場は本格化する決算期待から反発となったが、そんな中で序盤では寄付きから急騰し年初来高値を更新したジャフコが一際目立っていた。これは週末に発表した9月中間期連結決算で売り上げが前年同期比2.9倍の157億円、最終利益が7倍の55億円というサプライズ決算によるもので、やはりIPO活況が追い風になったのは想像に難くない。

いまだ折に触れ物色されているリプロセルなどその初値は公開価格の6倍近くになるなど大きく寄与しているが、この4-9月期には国内だけで4社がIPOを実施、これらの売却益が既に3月期のそれを越えているというからこの決算も合点が行くというもの。

しかし当欄でもIPO初値の好パフォーマンスについては度々振れてきたが、直近のエナリスも2日目にして公開価格2.6倍でやっと成立し本日も2日連続ストップ高から株価は既に7.8倍にまで大化けする好発進、これで昨年末からの通算で35社が連続で初値が公開価格越えとなり潤った資金の循環から新興市場の売買が急増するという上手い具合に回転が利いている状態。

このままの勢いを継いで2006年以来の39社連続を塗り替えることになるかどうかだが、これら個人の懐を潤す効用は勿論大きいものの、底上げ効果で影に埋もれていた成長企業群等の新陳代謝が促されるなどしてくれば資本市場も一段と機能しその相乗効果もまた大きい。


運用改革

今週は週明けの日経紙一面に「中間配 5年ぶり最高」との見出しで、上場企業の中間配当額が5年ぶりに過去最高になる見通しとの記事が載っていた。株主配分に前向きな企業が増え、今後は企業が豊富な手元資金を成長投資などへ積極活用してゆくかが課題になるとも書いてあった。

5年ぶり最高ということだがその5年前の某日日経紙一面には、合計金額が前年比23%増加の13兆円と上場企業が株主への利益配分を強化している旨の記事が躍っていたのが思い出されるが、これに絡んではもう一つ週末の同紙記事にGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)が2014年度にも上場企業の中から資本を有効に活用し収益力が高い企業を選ぶようにする旨も目に留まった。

この資本有効活用といえばROEだが、先に当欄ではJPXがTOPIXTP並ぶ株価指数にROEを目安に上位数百社を銘柄選択しその時価総額の増減幅を指数化という方針を取り上げたことがある。当然ながらGPIFはTOPIX基準からこの44年ぶりに創設する新指数等の銘柄選定で一部切り替えてゆくことになるが、こうした連携が上手い形でマッチングしてくれば市場環境もまた面白くなってくるだろうか。


スピードを感じる経営と株価

さて、このところ日経平均もなかなかモタついた毎日が続いていたが、本日は3日ぶりに14,000円大台回復となった。これまで指数への高寄与度銘柄がダレてこの辺も影響大であったが、そんな中でも唯一ソフトバンクが気を吐きなんとかこれらのマイナス相殺に一役買っていた格好。

本日はシティの格下げが響いて大幅続落したものの、このソフトバンクといえば直近では時価総額が一時9兆円の大台を超えてあの三菱UFJFGを抜いたのが話題になっていた。これまでほぼ定位置が決まっていた時価総額時上位の第2位にとうとう躍り出ることになりますますの影響力も感じるが、時価総額が9兆円を越えたのは13年ぶりのことでこの時はITバブルがはじける直前で改めて当時の勢力図等が思い出される。

ところで時価総額が名門企業を押えてその上に躍り出たとこれ以外に話題であったのは、5月のガンホー株か。同じエンターテーメント界の雄オリエンタルランドを抜き一時は任天堂さえも抜き去ったが、このガンホーもまたソフトバンク系である。

この離れ業をやってのけたのが連日のストップ高によるものであったが、今回のソフトバンクも約2ヶ月で時価総額を1兆円も増やしており、両者共経営のスピード感がそのまま時価総額増加にリンクしている恰好だ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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