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ROEへ傾斜

昨日は8%の壁云々としてROEを取り上げたが、本日も日経紙財務面には「川崎汽、ROE10%へ」と題し同社が中期経営計画でROEを10%、そしてEPSを40円とする目標を設定した旨が載っていた。同社の前期実績ではこのROEが4.6%となっているが、市場の関心に対応する格好でこれより2倍強水準まで引き上げるという。

マーケットの方もこれと併せるように外資系の一部でカバレッジを開始、大手三社のなかで同社はトップピック評価になり、他社も投資判断をアンダーパフォームからアウトパフォームに格上げの動きがみられたことで株価も其れなりの反応を示した。

斯様に経営目標に使っていた従前の指標ROAから、上記の通り市場関心に対応しROEの採用に踏み切った例の一つだが、それにしても新指数JPX400の登場によって企業のROEに対する取り組みが本当に様変わりした感がある。この指数、先の入れ替えでも主力のソニーが脱落の憂き目に遭ったが、今後もこの椅子を巡る下剋上が展開されそうである。


低PBR離脱

本日の日経平均は小幅ながら6日続伸となったが、セクター別では特に先週から建設株群が商いを伴って動意付いているのが目立つ。建設セクターといえばかねてより低PBRの物が多かったが、オリンピック開催というテーマに向けて事業環境への追い風期待からここ年初来高値更新してくるものも続出し低PBRの水準訂正が顕著だ。

ところでこの低PBRといえば地銀株ポスト等もまたそうであるが、過日の日経紙では膠着相場から主力の輸出株など手掛けにくかった際に一部物色され年初来高値を付ける銘柄もあった旨等も載っていた。忘れたころに手詰まりで物色されるのは、収益云々というよりこの低PBRが唯一の買い材料といっても過言ではないだろう。

この背景には、かつて大手行他金融機関との持ち合い構図が国際的な自己資本強化の流れからこの解消の流れが活発化し、特に積極的な受け皿の無い中でこの万年割安の構図が出来上がったというところだろう。

物色される場合共に低PBRが切っ掛けになるものの、業環境回復期待のかかるゼネコンと違って地銀は利益成長への手詰まり感が否めない。こちらはこうした方向性が出てこない限り、暫くは再編思惑がこの辺の切っ掛けとなろうか。


妖怪銘柄

本日の株式市場は小幅に3日続落となったが、ザラバではプラス圏に浮上する場面があるなど欧米の軟調からすれば底堅さが目立つ感がある。個別の値上がり率ランキングなど見てみるに新興市場含めた仕手っぽいところが並ぶのはいつもの光景だが、マトモな?ところでテレビ東京HDがランクインしているのも目に留まる。

週末に上方修正の決算が出ていたということもあるが、やはり同局が放映する「妖怪ウォッチ」の異常ともいえる人気が煽ったという側面も大きい。つい昨日の日経紙でも「妖怪ウォッチ長〜い列」と題して、週末に発売となったオモチャ目当てに1,000人を超える行列ができたという旨が載っていたがいやはや凄い。

抽選制で当選者番号が張り出されるなど受験の合格発表さながらの光景も異常に映るが、そんなワケでテレ東に限らず本日はこの新商品を発売したバンダイナムコHDも年初来高値を更新、更に玩具卸のハピネットもこれまた大幅高で年初来高値更新と妖怪ウォッチ関連銘柄が軒並み大幅高となっている。

しかし、こうなるとまたぞろネットではモラル無視で入手した品々が法外な値段で取引されるお約束の光景が目立つ。一寸前まで仮面ライダー関連も毎回こんな光景が繰り広げられていたが、この辺は変わらず。個別銘柄への悪ノリは許せるが、子供の夢をこんな形で利用する妖怪連中はほんとうに残念な限りである。


大口目線

さて、一昨日に取り上げた通りで連休明けから東京証券取引所では呼び値変更第二弾として、「TOPIX100」に採用されている銘柄を対象に5,000円以下の銘柄の刻み値が0.5円、また1,000円以下は0.1円に縮小されている。

この辺は昨日の日経紙にも出ていたが、10銭単位に変更になった中では(みずほFG)が売買代金が130%へ、50銭単位に変更になった中では(ニコン)が同155%等に増えた模様。ただ当然ながらこのニコンと双璧の(キャノン)など見るにボラが非常に小さくなったのが目立つ。

当の東証ではCEOが「価格改善効果の恩恵が、幅広い層の投資家に及ぶ」と強調、投資家の利便性が向上し中長期的な市場活性化につながるとの考えのようだが、前述したように「幅広い層の投資家」ではなくて「機関投資家やヘッジファンド層」へ恩恵ではないか?順番待ち時間が短縮された裏で値幅が稼げなくなったデイトレ組など改善というより改悪のイメージが強い。

ともあれ胴元が機関投資家目線で決めてしまった事だから、こうした銘柄は早々に諦め個別では同じ低位でも呼び値変更対象外のモノが蒸し返しで物色される場面も見られた。ところでこうなるとこれはこれで幕間繋ぎで選好されてきた新興市場や二部への関心が一段と強まり、意外に暫くはこちらの循環物色が続く地合いになるかもしれない。


刻み値変更第二弾

今年のあたまには「TOPIX100」採用銘柄のうち株価が3,000円超の銘柄対象に刻み値が引き下げられ値嵩の板など見慣れない光景が展開されたが、投資家には周知の通りで連休明けの本日からこの第二弾として、「TOPIX100」に採用されている銘柄で且つ株価が5,000円以下の銘柄の刻み値が0.5円、1,000円以下は0.1円に縮小されている。

FXが主流の向きや株式でもPTS等中心にしている向きは違和感という意味ではあまり抵抗なく入れるだろうが、低位から値嵩まで本日から変わった板を見るに板読みしていたデイトレ組にはなんとも無意味な銭単位の数字がズラリと並ぶ異様な光景になった。

異様といえば、価格の似ている者同士で例えば日経平均高寄与度銘柄の京セラは同時にこのTOPIX100採用であるために5,000円近くの株価ながら末尾50銭ずつの歩みになるが、同じ225採用でもTOPIX100に入っていない同様な価格帯のTDKは従前通り刻み値が5円単位で、これを機に両社の変動幅には大きく差が出ることになる。

何れにせよそんなワケでこれらの対象銘柄は本日より板読みがほとんど不可能になり、構造的に値幅が稼げないことで短期目的の用からは除外されることになるか。本日始まったばかりだが総じてこれだけ見れば個人の利便性は低下、プログラム売買にはやや有利というところで機関投資寄りという感だが暫く様子を見てみよう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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