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成長期待を買う

本日の株式市場はこのところの過熱感を警戒し反落となったが、そんななかで昨日マザーズ市場に鳴り物入りで上場したネット広告配信枠取引プラットフォーム等を提供するフリークアウトが、上場2日目となる本日に2,000円の公開価格から実に3.5倍となる7,000円で漸く初値が付いた。

その過熱ぶりに現金即日徴収や自己、成り行き注文等の規制措置が打ち出されるまでになっていたが、サイバーダイン同様に依然として成長期待の高いビジネスモデルに対する関心が高い物の人気は旺盛なようだ。

このIPOに絡んではちょうど本日の日経紙に「新規上場7年ぶり高水準」として、今年はこれまで26社と前年同期から3割増えるなどその復調ぶりが鮮明になってきている旨も書いてあったが、後半戦に再上場となるすかいらーくやリクルートHD、そして最大の話題株であるLINE等を控え個人マネーの動向がますます注目される。


インセンティブ多様化

週明けの日経紙には「新型の株式報酬」として、自社の株価が一定水準を満たす場合のみ新株予約権を全て行使できるようにした三井物産や、株式をあらかじめ決められた株数でなく事前に設定した金額に換算し交付する仕組みを採用したADワークスなどの例が出ていた。

この手の報酬といえば今年の1〜5月にストックオプションの付与を決めた企業は前年同期比で24%増の178社となり、1〜5月としてはリーマン・ショック前の2008年以来、6年ぶりの高水準になったとも週末の同紙には書いてあったが、ここ数年で随分と身近になってきた感が強い。

そんな一例で従前は役員向けのイメージが強かったが、近年では役員はもとより正社員でないバイトまでもストックオプションの権利を配る範囲を広げている例もあり、この辺もまた企業のカラーが出ていて面白いというものだ。

ストックオプションの報酬を巡っては今年の初めにこれを使って得た2年分の所得を隠し、所得税法違反の罪に問われたクレディスイス証券の元部長に対し東京高裁で無罪判決が出たのが記憶に新しいが、役員報酬としての株式譲渡の場合交付金額を事前に確定させておくと企業側が税務当局から費用として認めてもらえる利点もあるとの一文もあったが今後ますます多様化が進みそうだ。


リアルなゲーム

さて昨日も冒頭で一寸触れたが、今週の株式市場で一際にぎわっていたのはやはりミクシィか。ストップ高となった17日の売買代金は、東証一部高寄与度銘柄にランクインするあのソフトバンクを抜き実に全市場でトップ、また時価総額もマザーズではトップに躍り出る事となった。

ゲーム株の狂乱相場といえばやはり記憶に残るのがガンホーだったが、ガンホーのパズドラを買ったときは息の長い上昇相場となっただけに、今回のミクシィも次の牽引役云々とか各種指標から株価を語るのは野暮とモンストを素直に買う息の長い相場展開が期待されているようだ。

そんなワケで株式市場の旬なテーマになっているロボット関連の終焉後をはや予測したような賑わいになっているが、貸借銘柄だったらどんな取り組みになっているのか想像しながら戦略を練るのも面白いものの、いずれにせよ分割を絡めたお祭りが何所まで続くのか参加組も見物組もまだまだ目が離せない展開である。


物言う株主復活?

ここ近年日経紙の投資情報欄等には、小さいながらも企業が敵対的な株の買い占めに対する買収防止策を廃止する旨の公示がよく出ているのに気付く。このような買収防衛策廃止決定企業を除く同策導入企業は先月末段階で498社と500社を下回りこの現象は平成19年末以来、約6年半ぶりという。

さて敵対的買収といえば所謂物言う株主だが、今週は金融庁が投資先企業との対話を通じて経営改善を促す「日本版スチュワードシップコード」なる行動指針を導入する機関投資家が先月末時点で127になったと正式発表している。こちらは物言わぬ株主とされる国内機関投資家の経営監視圧力を高め企業に手元資金を使って貰おうという枠組み。

先週末の日経紙スクランブルにも「配分迫る強気の株主」と題し、投資ファンドが配当などの利益配分強化を企業側に求める動きが書かれていたが、ここ最近の株高を背景にこうした動きが再度出てきているという。

上記の投資ファンド代表がかつて在籍していたのはあの村上ファンドであったが、思えば同ファンド全盛の頃が懐かしい。彼らの姿勢も形態を変えつつあるかどうかだが株主総会の案内が届くこの時期、この日本版スチュワードシップコードの行動原則がどの程度意識されているのか各社の姿勢も注目されるところ。


希薄化は買い・2

さて、今週目に留まったニュースといえば第一生命保険が米生保買収の原資とする目的で公募増資により2,000億円規模の資金を調達する検討に入ったという報だろうか。4年前に同社が上場した時は内需縮小で収益の成長が楽観視出来ない事からの戦略転換と書いた記憶があるが、次のステップとして海外市場に活路を求める動きが強まってきたか。

ところで今週はこれ以外にも大王製紙やDICがそれぞれ公募増資を発表しているが、やはり増資といえば株式希薄化のイメージで発表直後には一様に売り物を浴びる。これら三社も例外ではなかったが、昨日の日経紙財務面に載っていたようにその下落率は増資による株数の増加率、所謂希薄化率よりもそれぞれ小幅にとどまっているのが最近の傾向。

それどころか例えば先月公募増資を発表した三井不動産、この発表後は急落したものの数営業日程度で株価は公募増資発表前の水準をあっさりと回復している。冒頭の第一生命もこのパターンで本日既に増資発表前の水準を回復し、それぞれ増資売りに向かった向きは増資分の下落がまるまる利幅になった構図である。

昨年も春先に「希薄化は買い?」のタイトルでJVC・ケンウッドHDを取り上げた記憶があるが、株価の回復を追い風に資本増強を選ぶ動きが目立ってきているなか、その成長戦略が好望視されるものを選べば労せずして目先掬いでも一回転を狙える地合いに近年は変わってきている。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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