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循環停滞

昨日の日経紙・スクランブルには「IPO後遺症悩む個人」と題して、3月以降のIPOの初値が公開価格を下回るような冴えない動きを続けていることで、IPOで潤った個人マネーが主力株や次のIPO銘柄に回って相場全体が活気づくメカニズムが働きにくくなり、連れて新興指数も下落している旨が載っていた。

同項の冒頭にも出ていたが例えばジャパンディスプレイ、これも直前に公開価格割れとなった日立マクセル同様に公開価格割れで上場、その後も上値の重たい動きを続けていたが週明けには上場時の会社側予想から一転サプライズな下方修正発表で急落、続いて本日も序盤から続急落となっている。

同社に関しては話題性はあったものの、業種自体が常に競合に晒され既に市場から消えていったエルピーダの連想も一部にあり当初より海外勢には警戒されていたのだが、それでも下限で決まったとはいえ公開価格は高過ぎたと言わざるを得ないだろう。しかし、上場時からの動きを見るにやはり株価は正直と改めて感じる。


西武HD再上場

昨日は周知の通り、かつての西武鉄道が有価証券報告書の虚偽記載で上場廃止となって以来約9年ぶりに西武HDとして東証一部にはれて再上場をはたした。注目の初値は公開価格の1,600円と変わらずで寄付いたものの、あと揉み合いを経てジリジリと上昇し初日は意外?にも高値引けとなり、本日もザラバでは高値を更新する場面があった。

意外?としたのも、もともと2,300円ともいわれた想定価格から実際フタを開けてみれば仮条件下限価格の1,600円で決定、初値の下馬評は同業他社との比較で更にディスカウントが囁かれていたからに他ならないが、こんな一件で当初売り出しを予定していた筆頭株主のサーベラス・グループがドタキャンし売り出し株数が当初予定の約三分の一に減少した経緯もある。

これほどいろいろな背景から思惑?のある再上場でなければ其れなりに落ち着いた想定価格となっていたのかもしれないが、西武といえばやはり当欄で3年ほど前に55年の歴史に幕を下ろした赤プリについて触れた事があったが、ここも気が付けばはや再来年までに新生ホテルが稼働となる。鉄道事業の成長は見込み辛いだけにこうした分野へ活路を見出せるかどうか、土壇場でゴネたサーベラスの側の思惑とも相俟って今後の動きにも目が離せない。


行使水準

昨日の日経紙には「株高が役員・社員潤す」として、自分が勤める会社の株価が上昇し、値上がり益を手に出来るストックオプションを使う上場企業の社員が増えている旨が載っていた。昨年度に役員や従業員が権利を行使した企業数は一昨年に比べて倍増し、06年度以来7年ぶりの高水準となったという。

ストックオプションというと昨年もあったように外資系等に在籍していた役員などが国税とヤリあっているのがしばしば話題になるが、近年は一般でも縁が無いというわけではなく同紙にも書いてあるように一般社員からバイトに至るまで企業によっては普及してきている。

何れにしてもこうしたインセンティブが適う事で恩恵を実感できれば更なる意欲向上に繋がろうというもの。そういえばかつての上場取引員の中にもストックオプションを導入したところもあったが、余談ながらその他未上場組でも現金のかわりに株式付与などでお茶を濁していたところもあったもののほどなく消えたところもあったなと思い出す。


羹に懲りて

今週の日経紙に「NISA 5000億円流入」として、今年から始まったNISA(少額投資非課税制度)を通じ個人マネーが開始後3か月間で5000億円規模にのぼった旨の記事があった。うち女性の利用が全体の4割を占め、3か月調査で年代別では中高年層に偏っている状況が浮き彫りになったという。

なるほどそんな層を映してかNISA開始3か月で買われた銘柄別ではトップが武田薬品工業、それに続いてみずほFG、キャノンといった高配当イメージな銘柄がベスト3を占め、それら以外にはソフトバンクなども見られた。冒頭のベスト3を見るに所謂キャピタルゲイン狙いというよりはインカムゲイン重視といった選好具合がヒシヒシと伝わってくる。

このトップに輝いた武田薬品だが今週は降ってわいたようなアクトス訴訟問題で懲罰賠償金60億ドルとの陪審評決が伝わりザラバ400円を超える急落の憂き目に遭っている。年初来安値更新でそれこそ年間配当もたった数時間で吹き飛ぶような値下がりだが、これ以外のソフトバンクも今や裁定のオモチャに振り回され乱高下が続いている。

ディフェンシブや高成長イメージなど安定人気の銘柄もあの東日本大震災で崩壊した東電然りで昨今は何が起こるかわからず安穏としていられないのが現状。NISAは投資未経験者の開拓が課題としているが、付和雷同的な銘柄一辺倒で予想外な動きに泡を食ってロスカットでもしようものなら損益通算も使えず枠は消滅、やはり怖いものだと羹に懲りて膾を吹くというようにならぬよう各々留意されたい。


小口化促進

新年度初日の日経平均は5日ぶりの小反落となったが、今月から東京証券取引所など全国の証券取引所は個人投資家にとって利便性を高めより売買し易い環境を整える狙いから、株式の売買単位を100株と1,000株の2種の移行期間を経て最終的には100株に一元化するように企業に促してゆくことが先に発表されている。

もともと2007年ごろからこの売買単位を集約する取組を進めているらしいが、新興企業などひところは売買単位がそれこそ千差万別で、確かに瞬時に発注する時などロクに単位も確認せずに発注し約定総額が意図したものと可也乖離していてヒヤッとした向きも多いだろうし、ほか小口の向きも売買単位が1,000株だと銘柄によっては躊躇する向きも居たろう。

例外的にダイエーなど含めた5銘柄は本日以降もこれ以外の売買単位で売買されるが、現状で売買単位が100株の上場企業は全体の66%、同1,000株は34%あるというが、この部分が100株へ切り替え促進対象となる模様。

ところで売買単位縮小といえばREITも上場44銘柄のうち14銘柄が今年に入り分割を実施、これによって一口当たりの価格が下がりこれまた個人投資家が買い易くなったが、これ等もNISA等踏まえての利便性向上を狙った動きなのはいうまでもなく今後も分割の動きが加速するのかどうか注目しておこう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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