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日銀出資証券の春

さて、国土交通省の公示地価の発表を控えこのところこれをテコに期待先行で急騰してきたものに含み資産関連の所謂土地持ち企業群があった。ザッと挙げても東京都競馬に東京テアトル、よみうりランドに東京ドーム、それに帝国ホテルや松屋等々簿価の安い資産持ちがけっこう楽しませてくれた。

果たしてこの公示では地価に底入れの兆しが明らかになったものの、所謂材料出尽くし感から週末にかけてこれらは売り先行となっているが、上記銘柄以外にもう一つ含みという観点から急騰し抜群のパフォーマンスを上げてきたものに「日本銀行」がある。

最低単元でも1,000万近くとなり、最近は100万前後日中動く事で腕に自信のある向きしか参戦しないだろうが、此処は美味しいロケーションの土地もさることながら金融政策の一環として国債、ETF等々買い入れたものが今や莫大な利益になっており、その出資証券は昨年衆院解散時の30,500円から一昨日の年初来高値94,000円まで実に3倍以上に化けたことになる。

今月中旬の日経紙には「新・日銀 脱デフレへの道」として特集が組まれていたが、「白」から「黒」への交代劇で今後の政策もこの出資証券と併せ注目されてゆくことになろう。


百貨店も啓蟄

本日で日経平均は5日の続伸となり引け値での11,900円台回復は08年9月以来、約4年5ヶ月ぶりのこと。東証業種別株価指数は全33業種中、31業種が上昇したが、業種といえばこのところ堅調が目立つもののひとつに百貨店株がある。

三越伊勢丹HD、Jフロントリテイリングなどは約2年11ヶ月ぶりの高値で本日も年初来高値を更新、昨日は約2年9ヶ月ぶりの高値を付けた高島屋や松屋も年初来高値更新しているが、上記の大手含めた4社が月初に発表した2月既存店売上高は高額品の販売が上向いている事でこの辺をテコに物色が向かった模様だ。

ちょうど先週初めの当欄では「円安駆け込み」として値上げ前の駆け込みでルイ・ヴィトンの売上が前年同期比2倍に膨らんだ旨を書いたが、株高効果はジワリ浸透し高級ブランド系は全般でも前年同期比で25%前後の伸びを見せており、この辺も時計や美術品等と併せ相乗効果が出ている。

ところで上記の百貨店株の中には最近の倉庫株よろしく売り上げ云々より含み資産モノとして買われているものもあり、今更ながらかつてこんな部分に目を付けられ株を集められた経緯などが思い出される昨今の光景である。


ニッチな株365

さて、株式市場同様にアベノミクスの影響で為替も急速に水準訂正?が進みボラタイルな動きとなってきた事でFXの方も投資家回帰から温まっている感じであるが、FX同様に株価指数も品揃えに顔を出す東京金融取引所ではこれも同様に売買が活況になっている模様だ。

先月の月間売買高は38万4,697枚となり、これは上場来の取引数量という。前月比では6.4%の増加だが前年同期比では161.5%の大幅増加であり、個別で内外4種類あるなかでやはり馴染みがあるのか「日経225」が主力となっておりそれの前年同月比は176%増と急増している。

同一指数でもどの商品に取組むかは人それぞれだが、これはなかなか痒いところに手が届くというか例えば深夜の大証先物のナイト・セッションが終了した後も更に3時間ほど取引可能でこの辺は高ボラティリティーな時ほど重宝するだろうし、またこれと近いところで祝日も扱える点などある意味ニッチな部分のニーズのいい受け皿となろう。メジャー指数は他にも数多く今後の拡充にも期待したいところである。


撫子銘柄

春一番も吹き、昨日は女子の健やかな成長を祈る年中行事の雛祭りであったが、ちょうどそんな時期に因んでかどうなのか先週は東証から女子社員を積極活用し経営効率も高いという、女性が活躍出来る企業としての所謂「なでしこ銘柄」17社を選定している。

東証がこうした特定のテーマ毎に関連する銘柄をピックアップして公表するのは今回が初めてではなく、これまでには「ESG」(社会的要請)とか「特許価値」などのテーマで選定されてきた経緯があるが、今回のものなどザッと見てみるにやはりこれまで女性絡みの記事で取り上げられた記憶のある企業が多い。

中には全くこの手のイメージが湧いてこない企業も混じっていたが、それとは逆に真っ先にこの手で思い浮かぶ真ん中だろうと思われる企業がエントリーされていなかったりしたのも意外であった。この辺は指標項目が多岐にわたり業種で1つの選定ということもあったのかもしれないが新しい発見でもあった。

こうした取り組みは投資の新しい尺度になる切っ掛け作りとのことだが、商品開発の観点からもETFそのほかの組成など枝葉が広がる余地があり、こういった部分でも裾野の広がりに期待したいところ。


日本版ISA

月末の日経平均は305.39円高と3日ぶりに急反発、売買代金は2兆円を超え特に本日は野村アセットの上限2,000億円規模投信2本の設定があったのも後押したようだ。何れにしてもこれで月間ベースでは7ヶ月連続の上昇となり、上記の投信関係含めここからでもまだまだ個人資金の流入等が続きそうだ。

さてこの個人に関連しては、毎年100万円までの株式や投信等からのキャピタルゲインや配当について最長5年の間非課税にするという所謂「日本版ISA」が最近の話題になっている。来年からの導入を前に今年10月に口座が解禁されるが、三菱UFJFGなど早速同制度向けの専用投資信託を開発する姿勢を見せている。

その専用口座は当初4年間は1つの金融機関にしか開けなく、上記のような銀行グループ始め顧客争奪戦の様相となるかどうかだが、証券界の反応は販促費や手数料等々考慮するに下手をすれば持ち出しにさえなりかねず、中小など対面系ほどこの辺は今ひとつ及び腰というか乗り切れないというのが実情らしい。

業界総出で盛り上がるという機運にならないこの辺がある意味ジレンマだが、これで思い浮かぶのがETFか。これまた手数料など採算性の問題から似たような状況であったと思うが、「貯蓄から投資」を実現させるまたとない好機云々の前にこうした壁の存在もまた課題になってくるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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